移動体通信(イドウタイツウシン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

移動体通信(イドウタイツウシン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

移動体通信 (イドウタイツウシン)

英語表記

mobile communication (モバイル コミュニケーション)

用語解説

移動体通信とは、移動しながら通信を行うための技術の総称である。携帯電話やスマートフォン、自動車、列車など、移動する物体に取り付けられた通信機器が、基地局などの固定された通信設備と無線で通信することを指す。これにより、場所にとらわれずに音声通話やデータ通信を利用できる。

移動体通信の仕組みは、主に無線技術とネットワーク技術によって構成されている。無線技術は、電波を使って情報を送受信する技術であり、周波数帯や変調方式、多重化方式など、様々な要素が組み合わさって実現されている。ネットワーク技術は、無線区間を介して送受信されたデータを、適切な宛先に転送するための技術であり、通信プロトコルやルーティングなどが用いられる。

移動体通信の歴史は、1979年に日本で開始された自動車電話サービスに始まる。当時はアナログ方式が用いられていたが、その後、デジタル方式へと移行し、通信品質や容量が飛躍的に向上した。1990年代には、携帯電話が普及し始め、2G(第2世代)と呼ばれるデジタル携帯電話システムが登場した。これにより、音声通話だけでなく、ショートメッセージサービス(SMS)などのデータ通信も可能になった。

2000年代に入ると、3G(第3世代)と呼ばれる高速データ通信が可能なシステムが登場した。これにより、携帯電話でインターネットを利用することが一般的になり、動画視聴やオンラインゲームなどが楽しめるようになった。3Gでは、W-CDMAやCDMA2000などの通信方式が用いられた。

2010年代には、4G(第4世代)と呼ばれるさらに高速なデータ通信が可能なシステムが登場した。4Gでは、LTE(Long Term Evolution)やWiMAXなどの通信方式が用いられ、高速なデータ通信が可能になった。これにより、スマートフォンでの高画質動画視聴やオンラインゲーム、クラウドサービスの利用などが快適になった。

そして現在、5G(第5世代)と呼ばれる次世代の移動体通信システムが普及し始めている。5Gは、4Gよりもさらに高速・大容量・低遅延な通信を実現することができ、自動運転、IoT(Internet of Things)、VR/AR(Virtual Reality/Augmented Reality)など、様々な分野での応用が期待されている。5Gでは、Sub6(6GHz以下の周波数帯)やミリ波(30GHz以上の周波数帯)などの周波数帯が用いられ、Massive MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)やビームフォーミングなどの技術が活用されている。

移動体通信の実現には、様々な技術要素が関わっている。まず、無線アクセス技術は、端末が基地局に接続するための技術であり、変調方式、多重化方式、チャネル符号化方式などが含まれる。変調方式は、デジタルデータを電波に乗せるための方式であり、PSK(Phase Shift Keying)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)などが用いられる。多重化方式は、複数の端末が同じ周波数帯を共有するための方式であり、TDMA(Time Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)などが用いられる。チャネル符号化方式は、伝送路で発生する誤りを訂正するための方式であり、ターボ符号やLDPC(Low-Density Parity-Check)符号などが用いられる。

次に、コアネットワーク技術は、無線アクセスネットワークとインターネットなどの外部ネットワークを接続するための技術であり、パケット交換、ルーティング、認証、課金などが含まれる。パケット交換は、データをパケットと呼ばれる小さな単位に分割して送受信する技術であり、IP(Internet Protocol)などが用いられる。ルーティングは、パケットを適切な宛先に転送するための技術であり、OSPF(Open Shortest Path First)やBGP(Border Gateway Protocol)などが用いられる。認証は、端末がネットワークにアクセスする際に、本人確認を行うための技術であり、SIM(Subscriber Identity Module)カードなどが用いられる。課金は、通信サービスの利用料金を計算するための技術であり、データ量や時間に応じて課金される。

移動体通信は、社会インフラとして不可欠な存在となっており、その技術は日々進化し続けている。システムエンジニアは、これらの技術を理解し、より高度で信頼性の高い移動体通信システムを構築・運用していくことが求められる。

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