新規開発 (シンキカイハツ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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新規開発 (シンキカイハツ) の読み方

日本語表記

新規開発 (シンキカイハツ)

英語表記

new development (ニューディベロップメント)

新規開発 (シンキカイハツ) の意味や用語解説

新規開発とは、IT分野において、これまで存在しなかった新しいシステム、アプリケーション、サービスなどをゼロから作り出す活動を指す。既存のシステムを改修したり、機能を追加したりする「改修開発」や「機能改善」とは異なり、ビジネス上の新たな要求、市場機会、技術的な進歩などに対応するため、全く新しい価値を生み出すことを目的とする。企業が競争力を高めたり、業務プロセスを根本から変革したり、新しい顧客体験を提供したりする際に不可欠な取り組みである。 新規開発は、一般的に複数の段階を経て行われる。まず、システムやサービスを開発するに至った背景、解決したい課題、達成したい目標を明確にする「企画」の段階がある。この段階で、プロジェクトの実現可能性や費用対効果が検討される。次に、ユーザーが何を求めているのか、システムがどのような機能を持つべきか、どのような性能が必要かといった、具体的な要求を詳細に定義する「要件定義」のフェーズに進む。この要件定義は、プロジェクトの成功を大きく左右する重要な工程であり、関係者間で認識のずれがないよう、綿密なコミュニケーションが求められる。 要件定義が固まった後、システム全体の骨格や構造を設計する「基本設計」を行う。ここでは、システムの主要な機能ブロック、データベースの構造、ユーザーインターフェースの大まかな設計、他のシステムとの連携方法などが決定される。続く「詳細設計」では、基本設計で定められた内容に基づき、個々のプログラムモジュールがどのように動作するか、画面や帳票の具体的なレイアウト、データベースの物理的な構造など、開発者が直接コードを記述するために必要な詳細情報をすべて明確にする。この段階では、将来の運用や保守のしやすさも考慮に入れる必要がある。 設計が完了すると、「開発・実装」のフェーズに入る。ここでは、詳細設計書に基づいてプログラマが実際にコードを記述し、機能を作り上げていく。各モジュールが正しく動作するかを確認する単体テストもこの段階で行われる。開発されたモジュールは、順次統合され、「結合テスト」にてモジュール間の連携が正しく行われるかを確認する。さらに、システム全体が要件定義書の内容通りに動作し、期待される性能や品質を満たしているかを検証する「システムテスト」を実施する。最後に、実際にシステムを利用するエンドユーザーが、自分たちの業務要件を満たしているかを確認する「ユーザー受け入れテスト(UAT)」を行い、問題がなければシステムは「本稼働」へと移行する。 新規開発プロジェクトは、多くのステークホルダーが関わり、技術的な課題やスケジュール、予算の制約など、様々なリスクを伴う。そのため、プロジェクトの計画、実行、監視、制御を行う「プロジェクト管理」が非常に重要となる。スコープの逸脱、予算超過、品質問題、スケジュール遅延といったリスクを適切に管理し、プロジェクトを成功に導くためには、明確な目標設定、効果的なコミュニケーション、そして適切な開発手法の選択が不可欠である。開発手法としては、厳格な計画に基づいて段階的に進める「ウォーターフォールモデル」や、短いサイクルで開発とテストを繰り返しながら柔軟に進める「アジャイル開発」などがあり、プロジェクトの特性や要件に応じて最適なものが選択される。新規開発は単なる技術的な作業に留まらず、ビジネス戦略と密接に結びついた、企業活動の中核をなす重要なプロセスである。

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