オフショア開発(オフショアカイハツ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
オフショア開発(オフショアカイハツ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
オフショア開発 (オフショアカイハツ)
英語表記
Offshore development (オフショアディベロップメント)
用語解説
オフショア開発とは、ソフトウェア開発やシステム開発の一部、または全部を海外の企業や拠点に委託することだ。人件費の安い海外に委託することで、開発コストを削減することを主な目的としている。
オフショア開発の歴史は、1980年代にアメリカ企業がインドの企業にソフトウェア開発を委託したことに遡る。当初は、単純なプログラミング作業やテスト作業などが中心だったが、技術の進歩やコミュニケーション手段の多様化に伴い、より高度な開発業務もオフショアで実施されるようになった。近年では、アジア地域だけでなく、東欧や中南米など、オフショア開発の委託先は世界中に広がっている。
オフショア開発には、いくつかの種類がある。一つは、請負契約による開発だ。この場合、発注企業は開発要件を定義し、オフショア企業は要件に基づいてシステムを開発する。発注企業は、開発プロセスに深く関与する必要はなく、完成したシステムを受け取るだけで済む。もう一つは、ラボ型開発と呼ばれる形態だ。この場合、発注企業はオフショア企業に専属の開発チームを組成してもらい、自社の指示に基づいて開発を進める。ラボ型開発は、請負契約に比べて柔軟性が高く、継続的な開発に適している。また、ブリッジSEと呼ばれる、発注企業とオフショア企業間のコミュニケーションを円滑にする役割を担う担当者を配置することが一般的だ。
オフショア開発のメリットは、主にコスト削減、リソースの確保、開発期間の短縮の3点にある。コスト削減は、オフショア開発の最も大きなメリットだ。人件費の安い海外に委託することで、開発コストを大幅に削減できる。特に、大規模な開発プロジェクトの場合、その効果は大きい。リソースの確保は、国内で十分な開発リソースを確保できない場合に有効だ。特に、特定のスキルを持ったエンジニアが不足している場合、オフショア企業を活用することで、必要なリソースを確保できる。開発期間の短縮は、オフショア企業が24時間体制で開発を行うことで実現できる。特に、時差を利用することで、開発期間を短縮できる。
一方で、オフショア開発にはデメリットも存在する。主なデメリットは、コミュニケーションの難しさ、品質管理の難しさ、文化や商習慣の違いだ。コミュニケーションの難しさは、言語や文化の違いによって生じる。特に、開発要件の伝達や進捗状況の確認など、細かなコミュニケーションが必要な場合に問題となることが多い。品質管理の難しさは、地理的に離れているため、開発状況を直接確認することが難しいことに起因する。そのため、品質管理体制を整え、定期的な進捗報告やレビューを行う必要がある。文化や商習慣の違いは、開発プロセスや契約内容に影響を与える可能性がある。そのため、事前に文化や商習慣の違いを理解し、適切な対応策を講じる必要がある。
オフショア開発を成功させるためには、いくつかのポイントがある。まず、明確な開発要件を定義することだ。開発要件が曖昧な場合、オフショア企業との間で認識のずれが生じ、手戻りが発生する可能性がある。次に、適切なオフショア企業を選定することだ。オフショア企業の技術力や実績、コミュニケーション能力などを評価し、自社のニーズに合った企業を選ぶ必要がある。また、密なコミュニケーションを心がけることも重要だ。定期的な進捗報告やレビューを行い、オフショア企業との間で認識のずれが生じないように努める必要がある。最後に、品質管理体制を確立することだ。テスト計画の策定やテストの実施、品質レビューなどを行い、品質を確保する必要がある。
オフショア開発は、コスト削減やリソースの確保など、多くのメリットがある一方で、コミュニケーションの難しさや品質管理の難しさなど、いくつかのデメリットも存在する。オフショア開発を成功させるためには、メリットとデメリットを理解した上で、適切な計画を立て、実行する必要がある。近年では、ニアショア開発という選択肢も存在する。ニアショア開発とは、海外でも比較的近い国や地域に開発を委託することだ。これにより、オフショア開発のデメリットであるコミュニケーションの難しさを軽減できる可能性がある。システムエンジニアを目指す上で、オフショア開発に関する知識は不可欠だ。オフショア開発の現状や動向を常に把握し、プロジェクトに最適な開発手法を選択できるようになることが重要だ。