オンコール保守(オンコールホシュ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
オンコール保守(オンコールホシュ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
オンコール保守 (オンコールホシュ)
英語表記
On-call maintenance (オンコールメンテナンスト)
用語解説
オンコール保守とは、システムやサービスに障害が発生した場合に、待機している担当者が連絡を受け、対応を行う保守体制のことである。特に、24時間365日稼働が求められるシステムにおいて重要な役割を果たす。
オンコール保守の目的は、システム停止時間を最小限に抑え、事業継続性を確保することにある。障害発生時、迅速な初動対応を行い、切り分け、復旧作業を進めることで、顧客への影響を最小限に留める。
オンコール保守は、大きく分けて「待機」と「対応」の2つのフェーズから構成される。
待機フェーズでは、担当者は通常業務から離れ、緊急時の連絡に備える。自宅待機、または指定された場所での待機が一般的であり、連絡手段として電話、メール、チャットなどが用いられる。待機時間中は、連絡を受けられる状態を維持する必要がある。例えば、十分なバッテリー残量を確保した携帯電話を常に携帯し、通知音を確実に聞き取れるようにしておく。また、緊急時にアクセスが必要となるドキュメントやツールをすぐに利用できるように準備しておくことも重要である。
対応フェーズでは、連絡を受け次第、速やかに状況を把握し、対応を開始する。まず、障害の内容、影響範囲、緊急度などを確認し、適切な対応方針を決定する。次に、過去の事例やドキュメントを参照しながら、切り分け作業を行う。ログの確認、システムの監視、テストなどを通じて、障害の原因を特定する。原因特定後は、復旧作業を行う。システムの再起動、設定変更、プログラム修正など、状況に応じて適切な手段を選択する。復旧作業が完了したら、再発防止策を検討し、必要に応じてシステム構成の見直しや運用手順の改善を行う。
オンコール保守体制を構築する際には、いくつかの重要な要素がある。
まず、担当者の選定である。オンコール担当者には、システムに関する深い知識と、トラブルシューティング能力が求められる。障害発生時は、限られた情報から迅速に状況を把握し、適切な判断を下す必要があるため、経験豊富なエンジニアが適している。
次に、連絡体制の確立である。障害発生時の連絡経路を明確にし、担当者全員が確実に連絡を受けられるようにする必要がある。電話、メール、チャットなど、複数の連絡手段を用意し、状況に応じて使い分けることが望ましい。また、連絡担当者を明確にし、責任の所在を明らかにしておくことも重要である。
さらに、ドキュメントの整備も欠かせない。システムの構成図、運用手順書、過去の障害事例などを整理し、担当者がいつでも参照できるようにしておく必要がある。ドキュメントが充実しているほど、障害発生時の対応が迅速かつ的確になる。
また、定期的な訓練も重要である。模擬障害を発生させ、オンコール担当者が実際に対応する訓練を行うことで、対応能力の向上を図ることができる。訓練を通じて、連絡体制の確認、切り分け手順の習熟、復旧作業の練習などを行う。
オンコール保守を行う上で、注意すべき点もある。
まず、担当者の負担軽減である。オンコール待機は、担当者にとって精神的な負担が大きい。長時間にわたる待機や、夜間・休日の呼び出しは、生活リズムを崩し、健康を害する可能性もある。そのため、オンコール担当者の人数を増やしたり、ローテーションを組むなどして、負担を分散する必要がある。
次に、情報共有の徹底である。障害対応の状況や、得られた知見をチーム内で共有することで、再発防止や対応能力の向上につなげることができる。情報共有には、障害報告書、ナレッジベース、会議など、さまざまな手段を活用できる。
オンコール保守は、システムの安定稼働を支える重要な役割を担う。適切な体制を構築し、運用することで、事業継続性を高め、顧客満足度向上に貢献することができる。近年では、クラウドサービスの普及に伴い、オンコール保守の重要性はますます高まっている。クラウド環境では、システム構成が複雑化し、障害の原因特定が難しくなる場合があるため、高度な知識と経験を持つオンコール担当者の存在が不可欠となる。また、自動化ツールや監視ツールを活用することで、障害の早期発見や自動復旧を可能にし、オンコール担当者の負担軽減にもつながる。