オープンリレー(オープンリレー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

オープンリレー(オープンリレー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

オープンリレー (オープンリレー)

英語表記

open relay (オープンリレー)

用語解説

オープンリレーとは、メールサーバの設定不備によって、本来許可されていない第三者からのメール送信を中継してしまう状態を指す。これはセキュリティ上の重大な問題であり、スパムメールやフィッシング詐欺などの温床となる可能性がある。

オープンリレーの仕組みを理解するには、まずメールの送信プロセスを把握する必要がある。通常、メールを送信する際には、メールソフト(メールクライアント)からメールサーバに接続し、認証を経てメールを送信する。メールサーバは、送信元と送信先を確認し、適切なサーバを経由して宛先までメールを配送する役割を担う。

しかし、メールサーバの設定が不適切である場合、誰でもメールサーバを経由してメールを送信できてしまう状態が発生する。これがオープンリレーである。具体的には、メールサーバが送信元のIPアドレスや認証情報を適切に確認せず、外部からの接続を無条件に受け入れてしまう場合に起こりやすい。

オープンリレーが放置されると、悪意のある第三者は、自分のメールサーバを経由せずに、オープンリレーになっているメールサーバを悪用して大量のスパムメールを送信したり、身元を隠してフィッシング詐欺などの悪質な行為を行ったりすることが可能になる。被害者は、信頼できる組織や人物からのメールと信じてしまい、個人情報や金銭を詐取されるリスクが高まる。

オープンリレーは、被害者だけでなく、オープンリレーを許容しているメールサーバの管理者にも深刻な影響を及ぼす。まず、自社のメールサーバがスパムメールの発信源としてブラックリストに登録されてしまう可能性がある。ブラックリストに登録されると、自社からのメールが相手先に届きにくくなり、業務に支障をきたすことになる。また、オープンリレーを悪用した不正アクセスや情報漏洩のリスクも高まるため、セキュリティ対策の強化が必要となる。

オープンリレーの対策としては、メールサーバの設定を厳格化することが重要である。具体的には、以下の対策が挙げられる。

  1. 認証の強化: メール送信時にSMTP認証(SMTP-AUTH)を必須とする。SMTP認証とは、メールサーバに接続する際に、ユーザ名とパスワードによる認証を求める方式である。これにより、正当なユーザのみがメールを送信できるようになる。

  2. リレー制限の設定: 許可するリレー(メール転送)の範囲を明確に設定する。例えば、自社ドメインのメールアドレスを持つユーザからのメールのみリレーを許可したり、特定のIPアドレスからの接続のみリレーを許可したりする。

  3. 送信元IPアドレスの確認: メール送信元のIPアドレスを確認し、不審なIPアドレスからの接続を拒否する。逆引きDNSを参照して、送信元IPアドレスのドメイン名を確認することも有効である。

  4. 最新のセキュリティパッチの適用: メールサーバソフトウェアやOSに脆弱性が発見された場合、速やかに最新のセキュリティパッチを適用する。脆弱性を放置すると、第三者に悪用されるリスクが高まる。

  5. 定期的な監査: メールサーバの設定状況を定期的に監査し、オープンリレー状態になっていないか確認する。オープンリレーチェックツールを利用して、自動的にチェックすることも可能である。

  6. SPF、DKIM、DMARCの設定: SPF (Sender Policy Framework)、DKIM (DomainKeys Identified Mail)、DMARC (Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance) は、メールの送信元を認証する技術であり、これらを適切に設定することで、なりすましメールやフィッシング詐欺対策に有効である。これらの技術は、メールサーバが受信したメールの送信元が正当なものであるかを検証し、不正なメールを排除するのに役立つ。

オープンリレーは、一度発生すると被害が拡大しやすいセキュリティ上の脅威である。システムエンジニアは、メールサーバの設定を適切に行い、オープンリレーを防止するための知識と技術を習得しておく必要がある。また、定期的な監査や監視を行い、万が一オープンリレーが発生した場合でも、迅速に対応できるよう備えておくことが重要である。