オープンソース(オープンソース)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

オープンソース(オープンソース)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

オープンソース (オープンソース)

英語表記

open source (オープンソース)

用語解説

オープンソースとは、ソフトウェアのソースコードが一般に公開されており、誰でも無償で利用、改変、再配布できる開発モデルおよびそのソフトウェアを指す。この概念は単に「無料である」ことを意味するだけでなく、利用者に対しソースコードへのアクセスと、それを自身の目的に合わせて自由に利用・修正できる「自由」を提供することを本質とする。プログラミングの設計図にあたるソースコードが公開されているため、利用者はソフトウェアの内部動作を詳細に把握でき、必要に応じて機能を追加したり、不具合を修正したりすることが可能になる。これは、特定の企業が権利を独占し、ソースコードを非公開とする「プロプライエタリソフトウェア」と対極にある考え方だ。現代のITシステムにおいて、オープンソースソフトウェアはサーバーインフラからデスクトップアプリケーション、モバイルアプリ、そして開発ツールに至るまで、極めて広範な領域で活用され、IT技術の進化を加速させる重要な原動力となっている。

オープンソースの概念が広まるまでには、ソフトウェア開発の歴史的経緯がある。コンピューターが初期の段階にあった頃、ソフトウェアはハードウェアの一部として提供され、研究者や開発者の間で自由に共有され、改良が加えられるのが一般的だった。しかし、1970年代から80年代にかけてソフトウェアの価値が認識され始めると、企業がソフトウェアを商品として販売し、そのソースコードを企業秘密として非公開にするプロプライエタリ(独占的)な開発モデルが主流となった。これに対し、ソフトウェアの自由な共有と利用を提唱する運動として、リチャード・ストールマンが提唱した「フリーソフトウェア運動」が生まれた。この運動の理念は、ソフトウェアが「自由」であるべきという哲学的な側面が強かったが、ビジネスでの受容性を高めるために、より実用的な側面を強調し、ソースコードの公開と自由な利用を主眼に置いた「オープンソース」という用語が1990年代後半に誕生した。これにより、フリーソフトウェアの理念を基盤としつつも、企業や商用利用においても受け入れられやすい形で、オープンソースは爆発的に普及していくこととなる。

オープンソースソフトウェアの具体的な定義は、Open Source Initiative (OSI) によって策定された「オープンソースの定義」という10の原則に基づいている。これらの原則は、ソースコードの自由な再配布、ソースコードの開示義務、派生作品の許可、著作者のソースコードの完全性の維持、個人や集団に対する差別の禁止、適用分野に対する差別の禁止、ライセンスの配布、ライセンスが特定の製品に限定されないこと、ライセンスが他のソフトウェアを制限しないこと、そしてライセンスが技術的に中立であることなどを定める。これらの原則は、単にソフトウェアが無料で利用できることだけでなく、利用、研究、改変、そして再配布といった自由が保証されていることを意味する。これが、オープンソースソフトウェアが提供する本質的な価値だ。

オープンソースソフトウェアの利用には多くのメリットがある。第一に、多くのオープンソースソフトウェアは無償で利用できるため、導入コストを大幅に削減できる。特に個人開発者やスタートアップ企業にとっては、高価な商用ソフトウェアのライセンス費用を気にすることなく、高度なツールやインフラを利用できる点が大きな利点だ。第二に、ソースコードが公開されているため、ソフトウェアの透明性が高い。これにより、セキュリティ上の脆弱性や不具合があれば、世界中の開発者の目に触れ、素早く発見・修正される可能性が高まる。結果として、プロプライエタリソフトウェアよりも信頼性が向上する場合も少なくない。第三に、利用者は自身のニーズに合わせてソースコードを改変し、カスタマイズできる柔軟性を持つ。特定の機能が必要な場合や、既存システムとの連携を強化したい場合に、自ら手を加えて最適なソリューションを構築することが可能だ。第四に、世界中の開発者が共同で開発を進めるため、技術革新のスピードが速く、多様な機能やアイデアが迅速に取り込まれる傾向がある。特定の企業の方針に依存せず、コミュニティ主導で進化していくため、特定のベンダーに縛られる「ベンダーロックイン」のリスクを回避できる。また、システムエンジニアを目指す初心者にとっては、実際に動作するコードを読み解き、その設計思想や実装方法を学ぶ絶好の教材となる。

一方で、いくつかの課題も存在する。オープンソースソフトウェアは、多くの場合、公式の有償サポートが提供されないか、提供されても限定的であるため、問題が発生した際のサポート体制がプロプライエタリソフトウェアに比べて手薄になることがある。問題解決は主にコミュニティのフォーラムやドキュメントに頼ることになり、利用者が自力で解決策を探すスキルが求められる場合が多い。また、特定の機能や修正が必要になった際に、それを実現するための開発リソースを自社で確保するか、外部の専門家に依頼する必要があるため、隠れたコストが発生する可能性も考慮すべき点だ。さらに、オープンソースライセンスにはGPL、MIT、Apache Licenseなど多種多様なものがあり、それぞれに利用条件や再配布条件、改変後の公開義務など、異なる制約が課されている。これらのライセンスを正確に理解し、遵守しなければ、意図しないライセンス違反を犯すリスクがある。特に商用利用や再配布を伴うプロジェクトにおいては、ライセンスの適切な管理が不可欠となる。

現代のIT分野において、オープンソースソフトウェアはインフラの根幹を支える存在となっている。代表的なものとしては、サーバーOSの「Linux」、Webサーバーの「Apache HTTP Server」や「Nginx」、データベースの「MySQL」や「PostgreSQL」、プログラミング言語の「Python」や「Java」、バージョン管理システムの「Git」、コンテナ技術の「Docker」、オーケストレーションツールの「Kubernetes」など、数え上げればきりがない。これらのソフトウェアは、クラウドサービス、ビッグデータ処理、機械学習、Webアプリケーション開発といったあらゆる分野で利用され、その進化を支えている。

システムエンジニアを目指す者にとって、オープンソースの理解と活用は必須スキルとなりつつある。プロジェクトにおいて、適切なオープンソースソフトウェアを選定し、既存システムと連携させ、時にはコミュニティに貢献することで、より高品質で効率的なシステム開発が可能になる。ソースコードが公開されていることで、システムの内部構造を深く理解し、自身の技術力を高める機会も豊富にある。オープンソースは単なる無料ツールではなく、共有と協調によってイノベーションを生み出す、現代IT社会の重要な基盤なのである。

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