営業利益(エイギョウリェキ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

営業利益(エイギョウリェキ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

営業利益 (エイギョウリイキ)

英語表記

operating income (オペレーティングインカム)

用語解説

営業利益とは、企業が「本業」で稼いだ利益のことである。IT企業であれば、システム開発、ソフトウェア販売、クラウドサービスの提供、Webサイト制作といった、その企業が主軸としている事業活動から生み出された利益を指す。企業の財務諸表には様々な利益の指標が存在するが、中でも営業利益は、その企業が持つ本来の事業の収益力、つまり「稼ぐ力」を最も直接的に示す重要な指標として位置づけられている。企業の経営が健全であるか、事業が順調に成長しているかを判断する上で、投資家や取引先だけでなく、そこで働く従業員、特に会社の事業に深く関わるシステムエンジニアにとっても理解しておくべき基本的な概念である。

次に、営業利益の算出方法と詳細について解説する。営業利益は、損益計算書において「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」を差し引くことによって計算される。この計算式を理解するためには、それぞれの項目が何を示しているかを知る必要がある。まず「売上高」とは、製品やサービスの提供によって得られた代金の総額である。システム開発会社であれば、顧客から受け取る開発委託料や、自社開発したソフトウェアのライセンス販売収入、保守サービスの月額料金などがこれにあたる。この売上高から「売上原価」を差し引いたものが「売上総利益」であり、一般的に「粗利」とも呼ばれる。売上原価は、売上を上げるために直接必要となった費用のことだ。例えば、システム開発プロジェクトにおいては、開発に直接従事したエンジニアの人件費、プロジェクトで使用したサーバーの費用、購入した外部ソフトウェアのライセンス費用などが含まれる。この売上総利益は、提供する製品やサービスそのものが持つ、基本的な収益力を示す指標となる。

しかし、企業活動は製品やサービスを開発・製造するだけで完結するわけではない。それらを顧客に販売するための営業活動や、会社全体を運営・管理するための活動が必要不可欠である。これらの活動にかかる費用が「販売費及び一般管理費」、通称「販管費」である。販売費には、営業担当者の給与、広告宣伝費、販売促進のためのイベント費用などが含まれる。一方、一般管理費には、経理や人事、総務といったバックオフィス部門の人件費、オフィスの賃料、水道光熱費、通信費、開発に直接関わらない研究開発費など、企業を維持管理するために必要な間接的な費用が含まれる。売上総利益から、これら本業を営む上で発生した全ての経費である販管費を差し引くことで、最終的に本業から得られた純粋な利益、すなわち「営業利益」が算出される。

営業利益を正しく理解するためには、他の利益指標との違いを明確に区別することが重要である。前述の「売上総利益」は、あくまで製品やサービスの直接的なコストを引いただけの利益であり、企業の営業活動や管理活動の効率性は反映されていない。次に「経常利益」は、営業利益に「営業外収益」を加え、「営業外費用」を差し引いたものである。営業外収益とは、預金の利息や有価証券の配当金など、本業以外の財務活動から経常的に得られる収益を指す。営業外費用は、金融機関からの借入金に対する支払利息などが代表例である。経常利益は、本業の儲けに財務活動の成果を加味した、企業全体の総合的な収益力を示す指標といえる。さらに、経常利益に、固定資産の売却益などの一時的な「特別利益」を加え、災害損失などの「特別損失」を差し引くと「税引前当期純利益」が算出され、そこから法人税などを支払った残りが、最終的な会社の利益である「当期純利益」となる。このように利益には複数の段階があるが、企業の事業そのものの実力や健全性を評価する際には、一時的な要因や財務活動の影響を受けない営業利益が最も重視される。

システムエンジニアにとって、営業利益を理解することは、自身の業務やキャリアを考える上で非常に有益である。第一に、自社や所属部門の経営状況を客観的に把握できる。営業利益が継続的に伸びていれば、会社が安定しており、昇給や賞与、福利厚生の充実、新しい技術への投資余力があると考えられる。逆に営業利益が低迷または赤字であれば、コスト削減の圧力が高まったり、事業の見直しが行われたりする可能性を示唆している。第二に、自身の業務が会社の利益にどう貢献しているかを意識できるようになる。例えば、開発プロセスの効率化によって人件費(売上原価)を削減したり、顧客の課題を解決する付加価値の高い機能を実装して売上向上に貢献したりすることは、すべて営業利益の増加に直結する。このようなコスト意識やビジネス視点を持つことは、エンジニアとしての市場価値を高める上で不可欠である。第三に、技術選定やツール導入の際にも、その投資が営業利益にどのような影響を与えるかという視点で判断を下すことができるようになる。単に技術的な優位性だけでなく、コスト削減や生産性向上を通じて、いかにして企業の収益に貢献できるかを説明できるエンジニアは、組織にとって極めて重要な存在となる。以上のように、営業利益は企業の経営状態を映す鏡であり、システムエンジニアがビジネスの全体像を理解し、より高いレベルで業務を遂行するための羅針盤となるのである。

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