光学ディスク (コウガクディスク) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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光学ディスク (コウガクディスク) の読み方

日本語表記

光学ディスク (コウガクディスク)

英語表記

Optical disc (オプティカルディスク)

光学ディスク (コウガクディスク) の意味や用語解説

光学ディスクは、レーザー光を用いてデータを記録し、また読み出す記憶媒体の一種である。円盤状の形状を持ち、その内部にデジタルデータを物理的な変化として刻み込むことで情報を保持する。このデータは、光ピックアップと呼ばれる装置から照射されるレーザー光の反射率の変化を検知することで読み取られる。CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray Disc(BD)がその代表的な種類として広く普及しており、音楽、映像、ソフトウェア、各種データなど、多岐にわたる情報の保存に利用されてきた。 光学ディスクへのデータ記録は、ディスク表面に微細な凹凸、すなわち「ピット」と「ランド」(平坦な部分)を形成することで行われる。これらのピットとランドの並びがデジタルデータとしての0と1を表現する。読み出し時には、レーザー光がディスク表面に照射され、ピットに当たると光が散乱し、ランドに当たると光が直接反射する。この反射光の強さや位相の変化をセンサーが検出することで、0と1のデジタル信号に変換され、情報が読み取られる仕組みである。書き込み可能な光学ディスクでは、特殊な記録層が用いられ、レーザー光の熱によってその層の物理的・化学的性質(例えば相変化や色素の変化)を不可逆的または可逆的に変化させることでデータを記録する。 CDは1980年代に登場し、主に音楽のデジタル記録媒体として普及した。その容量は約700MBで、後にデータ記録用のCD-ROM(Read-Only Memory)、一度だけ書き込み可能なCD-R(Recordable)、複数回書き換え可能なCD-RW(ReWritable)が登場し、パソコンのデータバックアップやソフトウェア配布にも利用された。CDは赤色レーザー光を使用しており、比較的波長が長いため記録密度には限界があった。 1990年代半ばには、CDの数倍から数十倍の容量を持つDVDが登場した。DVDも赤色レーザーを使用するが、レーザーの焦点をより小さく絞り、記録トラックのピッチを狭めることで大幅な高密度化を実現した。これにより、片面一層で4.7GB、片面二層で8.5GB、両面二層では最大17GBのデータを記録できるようになり、高画質な映画の配布や大容量のデータバックアップに広く利用された。DVDには、読み出し専用のDVD-ROMのほか、一度書き込み可能なDVD-RやDVD+R、複数回書き換え可能なDVD-RWやDVD+RW、ランダムアクセス性に優れたDVD-RAMなど、用途に応じた様々な種類が開発された。 2000年代に入ると、さらなる大容量化と高精細映像への対応を目指し、Blu-ray Discが登場した。Blu-ray Discは、それまでの赤色レーザーに代わり、波長の短い青紫色レーザーを使用する。波長が短くなることで、レーザーの焦点をさらに小さく絞ることが可能となり、記録密度を飛躍的に向上させた。これにより、片面一層で25GB、片面二層で50GBのデータを記録できるようになった。さらに、複数層化により最大128GBの容量を持つBDXL規格も登場した。Blu-ray Discは、フルハイビジョン(Full HD)や4Kといった高精細映像の記録・再生、大容量のゲームソフトウェアや業務用データの保存に不可欠な存在となった。BD-ROM、一度書き込み可能なBD-R、複数回書き換え可能なBD-REといった種類がある。 光学ディスクは、長期間にわたるデータの保存に適しているという利点を持つ。磁気メディアとは異なり磁気の影響を受けず、またディスク自体が物理的に堅牢であるため、適切な保管環境であれば比較的安定してデータを保持できる。一度書き込まれたデータは改ざんが困難であるため、アーカイブ用途にも適している。メディア単価が安価であり、対応ドライブも広く普及していたことから、データの物理的な配布手段としても非常に一般的であった。 しかし、光学ディスクにはいくつかの欠点も存在する。ディスク表面は傷や汚れに弱く、これらが発生するとデータが読み取れなくなる可能性がある。また、データを記録・読み出す際のアクセス速度は、SSD(Solid State Drive)などのフラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)と比較して遅い傾向がある。特にランダムアクセス性能は限定的であり、OSの起動やアプリケーションの実行には不向きである。書き換え回数に上限があるものや、一度しか書き込めない種類も多く、頻繁なデータの更新が必要な用途には向かない。 近年では、高速なインターネット回線の普及とクラウドストレージサービスの発展、そして大容量で高速なSSDやHDDの低価格化により、光学ディスクの利用頻度は減少傾向にある。特にソフトウェアのダウンロード配布が主流となり、個人レベルでのデータバックアップもクラウドサービスやUSBメモリ、外付けHDDに移行が進んでいる。しかし、高精細な映画パッケージや特定のゲームソフトウェアの配布、あるいは特定の法規制に基づいた長期的なアーカイブ保存、オフライン環境でのデータ配布など、特定の用途においては依然として光学ディスクが重要な役割を担っている。システムエンジニアを目指す上では、過去から現在に至るデータ記録技術の変遷を理解する上で、光学ディスクの原理と進化を知ることは基礎的な知識として有益である。

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