順序尺度 (ジュンジョスケイド) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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順序尺度 (ジュンジョスケイド) の読み方

日本語表記

順序尺度 (ジュンジョスケイド)

英語表記

ordinal scale (オーディナルスケール)

順序尺度 (ジュンジョスケイド) の意味や用語解説

データは、その性質に応じていくつかの種類に分類され、これらを「尺度の水準」と呼ぶ。この尺度の水準の理解は、システムエンジニア(SE)がデータを取り扱う上で、適切なデータベース設計、データ処理、そしてデータ分析を行うために極めて重要である。「順序尺度」は、この尺度の水準の一つで、データ間に明確な順序や大小の関係は存在するものの、その間隔に具体的な意味や等しい差がないデータを指す。 順序尺度のデータは、例えば「非常に不満」「不満」「普通」「満足」「非常に満足」といった段階的な評価や、「低」「中」「高」といった優先度、「A、B、C」といった成績など、日常生活やビジネスにおいて頻繁に用いられる。これらのデータは、そのカテゴリ間に「満足」は「普通」よりも良い、「高」は「中」よりも優先度が高いといった、一方向の明確な順序関係を持っている点が特徴である。この特性により、データの並べ替えやランキング付けが可能となる。この点が、単にカテゴリを区別するだけで順序を持たない「名義尺度」(例:性別、血液型、都道府県名)とは大きく異なる。名義尺度では、カテゴリ間に優劣や順序の概念は存在しない。 一方で、順序尺度は、そのカテゴリ間の「間隔」に意味がないという点で、より高度な情報を持つ「間隔尺度」や「比例尺度」とは区別される。間隔尺度(例:温度の摂氏や華氏、西暦)では、データ間の間隔が等しく、その差に意味がある。例えば、摂氏20度と30度の差は10度であり、30度と40度の差も同じく10度で、この10度という差は物理的に等しい意味を持つ。比例尺度(例:身長、体重、時間)は、間隔尺度の特性に加え、絶対的なゼロ点が存在し、比率にも意味がある。例えば、100kgは50kgの2倍の重さであると明確に言える。しかし、順序尺度では、「非常に満足」と「満足」の間の「満足度の差」が、「普通」と「不満」の間の差と全く同じであるとは限らない。たとえ順序尺度データを数値で「1, 2, 3, 4, 5」と表現したとしても、これはあくまで順序を示すための便宜的な記号であり、「5」が「1」の5倍の価値を持つわけでも、各数値の間隔が物理的・感覚的に均等であるわけでもない点に注意が必要である。 この順序尺度の特性は、システム開発においてデータの集計や分析を行う際に重要な考慮点となる。例えば、順序尺度で収集されたアンケート結果に対し、平均値を計算することは技術的には可能だが、その結果の解釈には細心の注意が必要である。「満足度の平均が3.5」という数値が、間隔が等しくない以上、具体的にどのような状態を指すのか、その意味は曖昧になることが多い。そのため、順序尺度データに対しては、最頻値(最も頻繁に出現する値)や中央値(データを順序付けした際の中央の値)といった統計量の方が、データの傾向を適切に把握する上で有用な場合が多い。 SEが順序尺度を理解することは、データベース設計におけるカラムのデータ型選択や制約設定、さらにはアプリケーションが提供するデータ分析機能の設計に直結する。例えば、アンケート結果を格納するテーブルにおいて、順序尺度である満足度データを数値型(例:INT型)で格納する場合でも、その数値に対して意味のない算術演算(平均値の安易な計算など)が行われないよう、アプリケーション層で制御したり、データ利用者への注意喚起を行う必要がある。また、ユーザーが求めている情報が順序関係にあるのか、それとも間隔や比率に意味を持つ定量的なデータなのかを正しく把握することで、最も適切なデータ収集方法や表示方法を提案できる。データの種類と性質を正確に理解することは、単にデータをデータベースに保存するだけでなく、そのデータが持つ価値を最大限に引き出し、ビジネス上の意思決定に役立てるためのシステムの基盤を築く上で不可欠なスキルである。順序尺度の特性を理解し、適切にデータを取り扱う能力は、SEとして信頼性の高いシステムを構築するための重要な一歩と言える。

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