周辺機器 (シュウヘンキ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

周辺機器 (シュウヘンキ) の読み方

日本語表記

周辺機器 (シュウヘンキ)

英語表記

Peripheral devices (ペリフェラルディバイス)

周辺機器 (シュウヘンキ) の意味や用語解説

周辺機器とは、コンピュータ本体（中央演算処理装置や主記憶装置など、主要な処理を担う部分）に接続され、その機能や能力を拡張したり、特定の目的を達成するために用いられる装置の総称である。コンピュータシステムは、単体でも基本的な演算や処理を行うが、外部からのデータ入力、処理結果の出力、データの永続的な保存、あるいは他のコンピュータとの通信といった、私たちが日常的に利用する多くの機能は、これら周辺機器の存在によってはじめて実現される。システムエンジニアを目指す者にとって、周辺機器はコンピュータシステムを設計、構築、運用する上で不可欠な要素であり、その種類、機能、接続方法、そして役割を深く理解することは極めて重要である。 周辺機器は、その役割に応じて主に以下のカテゴリに分類できる。一つ目は「入力機器」で、ユーザーからの情報や指示をコンピュータに与える装置である。二つ目は「出力機器」で、コンピュータが処理した結果をユーザーに提示する装置である。三つ目は「記憶機器」で、データを永続的に保存し、必要に応じてコンピュータが読み書きできるようにする装置である。そして四つ目は「通信機器」で、コンピュータが他のコンピュータやネットワークと情報をやり取りするための装置である。これらの周辺機器が組み合わさることで、今日の多機能で複雑なコンピュータシステムが構築され、多様な用途に利用されている。 入力機器の代表的なものとしては、キーボードやマウスが挙げられる。キーボードは文字や数字、各種コマンドをコンピュータに入力するための装置であり、マウスは画面上のポインタを操作し、アイコンの選択やドラッグアンドドロップといった直感的な操作を可能にする。これら以外にも、紙媒体の画像や文字をデジタルデータに変換するスキャナ、人間の音声をデジタルデータとして入力するマイク、静止画や動画をリアルタイムでコンピュータに取り込むウェブカメラ、画面に直接触れることで操作を行うタッチパネル、あるいは現実世界の様々な物理量を検出するセンサーなども入力機器に含まれる。これらの機器は、物理的な情報や人間の意図をコンピュータが理解できるデジタル信号に変換し、システムに供給する役割を担う。 出力機器としては、コンピュータが処理した結果を視覚的に表示するディスプレイが最も一般的である。ディスプレイは、テキスト、画像、動画などあらゆるデジタル情報を人間の目に理解できる形で表現する。また、コンピュータ内のデジタルデータを紙媒体に出力するプリンタも重要な出力機器である。プリンタには、インクを噴射するインクジェットプリンタや、トナーを使用するレーザープリンタなど、様々な方式が存在し、用途に応じて選択される。さらに、音声データを出力し、人間が聴覚で認知できるようにするスピーカーやヘッドホンも出力機器の一種である。これらの機器は、コンピュータ内部のデジタルデータを人間が知覚できる形に変換し、情報伝達を可能にする。 記憶機器は、コンピュータが電源を切ってもデータが失われないように、情報を永続的に保存するために使用される。コンピュータ本体に内蔵されるストレージとは別に、外部に接続して使用するものが周辺機器としての記憶機器となる。具体的には、大容量のデータを保存できる外付けハードディスクドライブ（HDD）や、高速な読み書きが可能なソリッドステートドライブ（SSD）が挙げられる。これらは大量のファイルやプログラム、バックアップデータを保管するために広く用いられる。また、小型で持ち運びが容易なUSBメモリやSDカード、あるいはCD/DVD/Blu-rayディスクを読み書きするための光学ドライブなども記憶機器の一種である。これらの機器は、データの長期保存と高速なアクセスを可能にし、システムのデータ管理能力を大幅に向上させる。 通信機器は、コンピュータが他のコンピュータやネットワーク（インターネットなど）と情報を送受信するために不可欠な装置である。有線接続の場合、イーサネットケーブルを介してネットワークに接続するためのネットワークアダプタ（一般にLANカードと呼ばれる）が一般的である。無線接続の場合には、Wi-Fiアダプタがその役割を担う。さらに、インターネットサービスプロバイダと接続するために、アナログ信号とデジタル信号を相互に変換するモデムや、複数のネットワーク機器を接続し、データのルーティングを行うルーターも通信機器に含まれる。これらの機器は、コンピュータをグローバルな情報ネットワークに接続し、情報の共有やリモートアクセス、クラウドサービスの利用を可能にする基盤となる。 周辺機器をコンピュータ本体に接続する際には、適切なインターフェースが必要となる。最も普及しているのはUSB（Universal Serial Bus）であり、様々な種類の周辺機器を汎用的に接続できる。その他にも、ディスプレイ接続用のHDMIやDisplayPort、高速なデータ転送が必要なThunderboltなど、目的や機器に応じた多様なインターフェースが存在する。無線接続では、近距離通信のためのBluetoothや、広範囲なネットワーク接続のためのWi-Fiが広く利用されている。周辺機器が正しく機能するためには、多くの場合、専用のソフトウェアである「デバイスドライバ」がコンピュータにインストールされている必要がある。デバイスドライバは、オペレーティングシステムが周辺機器と適切に通信し、その機能を制御するための「翻訳者」のような役割を果たす。 現代のコンピュータシステムにおいて、周辺機器は単なる補助装置という枠を超え、システムの機能性や拡張性を決定する重要な要素となっている。例えば、仮想現実（VR）用のヘッドセットやウェアラブルデバイス、IoT（Internet of Things）のセンサーなど、新たな技術の登場に伴い、周辺機器の種類も多様化し、その役割も変化している。これらの機器は、クラウドサービスとの連携を通じて、より高度な機能や新たなユーザー体験を提供する。システムエンジニアを目指す者にとって、これらの周辺機器の機能、互換性、性能、そしてセキュリティについて深く理解し、システムの要件に応じて最適な周辺機器を選択・構成できる能力は、非常に価値の高いスキルとなる。適切な周辺機器の選定と管理は、システムの安定性、性能、そしてユーザーの利便性に直結するため、その重要性は今後も増していく一方である。