個人情報 (コジンジョウホウ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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個人情報 (コジンジョウホウ) の読み方

日本語表記

個人情報 (コジンジョウホウ)

英語表記

personal information (パーソナルインフォメーション)

個人情報 (コジンジョウホウ) の意味や用語解説

個人情報とは、生存する特定の個人を識別できる情報のことを指す。現代のITシステムやWebサービスは、その多くが利用者に関する何らかの情報を扱うため、システム開発に携わるエンジニアにとって個人情報の正しい理解は不可欠である。個人情報の取り扱いは「個人情報の保護に関する法律」(以下、個人情報保護法)によって厳格に定められており、この法律に違反した場合、企業は重大な社会的信用の失墜や法的な罰則を受ける可能性がある。そのため、システムエンジニアは、自身が開発するシステムがどのような情報を扱い、それが個人情報に該当するのかを正確に判断し、法律に準拠した適切な方法で保護する責務を負う。この概念の理解は、安全で信頼性の高いシステムを構築するための基礎となる。 個人情報保護法では、個人情報を大きく二つの類型で定義している。一つ目は、氏名、生年月日、住所、電話番号、顔写真など、その情報単体で特定の個人を識別できる情報である。これらは最も直感的に理解しやすい個人情報の例と言える。例えば、文書やデータベースに「山田太郎、1990年4月1日生」と記録されていれば、それは特定の個人を識別できるため個人情報に該当する。また、メールアドレスも、多くの場合ユーザー名やドメイン名から個人を推測できるため、個人情報として扱われることが一般的である。 二つ目は、個人識別符号が含まれる情報である。個人識別符号とは、それ単体で特定の個人を識別できる、公的に割り当てられた番号や生体情報などを指す。これには、マイナンバー(個人番号)、運転免許証番号、パスポート番号、健康保険の被保険者等記号・番号などが含まれる。また、指紋データ、顔認証データ、虹彩、声紋、歩行態様といった個人の身体的特徴をデータ化したものも個人識別符号に該当する。これらの情報が含まれるデータは、他に氏名などの情報がなくても、それだけで個人情報として扱われる。例えば、システムがある利用者の指紋データのみを保持している場合でも、そのデータは個人情報となる。システムエンジニアは、生体認証などを実装する際に、扱うデータが個人識別符号に該当することを認識し、厳重な管理体制を構築する必要がある。 さらに、個人情報保護法では「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるもの」も個人情報に含めている。これは、情報単体では個人を特定できなくても、事業者が保有する他の情報と組み合わせることで個人が特定できてしまうケースを想定している。システム開発の現場ではこの点が非常に重要となる。例えば、あるECサイトの購買履歴データだけでは、誰の購入履歴かは分からない。しかし、そのデータに顧客IDが付与されており、事業者が保有する顧客マスタと照合すれば、氏名や住所が特定できる場合、この購買履歴データも個人情報として扱わなければならない。したがって、システム設計の際には、データベース間でデータをどのように関連付けるか、どの情報が照合可能かを十分に検討し、保護対象の範囲を正しく見極める必要がある。 個人情報の中でも、特に慎重な取り扱いが求められるものを「要配慮個人情報」と呼ぶ。これには、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実などが含まれる。これらの情報は、本人に対する不当な差別や偏見、その他の不利益が生じないように、特に配慮が必要とされる。法律上、要配慮個人情報の取得は原則として本人の同意を得なければならず、通常の個人情報よりも厳格なルールが課されている。医療情報や採用応募者の経歴などを扱うシステムを開発する場合は、要配慮個人情報に該当するかどうかを確認し、法的な要件を遵守した設計・実装を行うことが強く求められる。 システムエンジニアは、これらの定義を理解した上で、個人情報を保護するための具体的な技術的対策、すなわち安全管理措置を講じる必要がある。これには、データベースに保存する個人情報を暗号化すること、個人情報へのアクセス権限を必要最小限の従業員に限定するアクセス制御を実装すること、外部からの不正アクセスを防ぐためのファイアウォールや侵入検知システムを導入すること、誰がいつ個人情報にアクセスしたかを記録するログを管理することなどが含まれる。システムの設計段階から、どのような個人情報を、何の目的で、どのように取得・利用・保管・廃棄するのかというデータのライフサイクル全体を考慮し、セキュリティを確保する設計思想(プライバシー・バイ・デザイン)を取り入れることが、現代のシステム開発において不可欠な要素となっている。

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