正論理 (セイロンリ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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正論理 (セイロンリ) の読み方

日本語表記

正論理 (セイロンリ)

英語表記

Positive Logic (ポジティブ ロジック)

正論理 (セイロンリ) の意味や用語解説

正論理とは、デジタル回路や論理演算において、物理的な電圧レベルと論理値の対応関係を定める基本的な方式の一つである。この方式では、高い電圧レベルを論理「1」(真、High)に対応させ、低い電圧レベルを論理「0」(偽、Low)に対応させる。これはデジタルシステム設計における最も一般的で直感的な電圧と論理値の割り当て方法であり、デジタル信号の物理的な状態と、論理演算で扱う真偽値との関係を明確に定義することを目的とする。正論理の対義語として、負論理が存在する。 ほとんどの現代のデジタルIC(集積回路)は、この正論理を前提として設計されているため、システムエンジニアがデジタル回路を扱う際には、特に意識せずとも正論理に基づいて思考し、設計を進めることになる。例えば、広く利用されているTTL(Transistor-Transistor Logic)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)といった標準的なロジックファミリでは、電源電圧に近い電圧をHigh(論理1)、GND(グラウンド)に近い電圧をLow(論理0)として扱うことが一般的である。具体的な電圧範囲は、ICの種類や電源電圧によって異なるが、例えば5V系のTTLでは、Highレベルが通常2.0Vから5.0V程度、Lowレベルが0.0Vから0.8V程度と定義されることが多い。CMOSでは、電源電圧の約7割以上をHigh、約3割以下をLowとするなど、より電源電圧に密接な形で定義される。 この正論理の採用により、回路図に描かれる論理ゲートと論理式の対応が非常に直感的になる。例えば、ANDゲートは、すべての入力が論理「1」(高い電圧)である場合にのみ、出力が論理「1」(高い電圧)となる。ORゲートは、いずれかの入力が論理「1」(高い電圧)であれば、出力が論理「1」(高い電圧)となる。NOTゲートは、入力が論理「1」(高い電圧)であれば出力が論理「0」(低い電圧)に、入力が論理「0」(低い電圧)であれば出力が論理「1」(高い電圧)となる。これらの基本的な論理ゲートの動作は、正論理の定義に立脚して確立されており、デジタル回路の振る舞いを理解し、予測するための基盤となっている。 システムエンジニアがデジタルシステムを開発する際には、特別な理由がない限り正論理が前提となるため、マイクロコントローラやFPGA(Field-Programmable Gate Array)のプログラミングにおいても、レジスタの特定のビットが「1」に設定されると機能が有効になる、といった記述は正論理に基づいていると理解して差し支えない。しかし、システムによっては、古い設計資産との互換性や特定のノイズ対策、あるいは特殊なインターフェースの要件から負論理が採用されているケースも存在する。例えば、信号名の末尾に「_n」や「#」が付加されている信号(例: RESET_n、CS#)は、一般的に負論理信号、つまり低い電圧レベルが論理「1」(アクティブ)を示すことが多い。 そのため、新しいシステムを設計したり、既存のシステムを解析したりする際には、常に使用するICのデータシートやシステム全体の仕様書を詳細に確認することが極めて重要である。正論理と負論理が混在するシステムでは、信号の解釈を誤ると、意図しない動作、機能不全、あるいは深刻なバグを引き起こす可能性があり、システムの信頼性や安定性に直接影響を与える。システムエンジニアにとって、正論理がデジタル設計のデファクトスタンダードであることを理解しつつ、負論理の存在と、それが適用されるケースへの注意を払うことが、正確なシステム設計とデバッグにおいて不可欠な知識となる。

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