クエリ文字列 (クエリ文字列) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
クエリ文字列 (クエリ文字列) の読み方
日本語表記
クエリ文字列 (クエリ文字列)
英語表記
query string (クエリーストリング)
クエリ文字列 (クエリ文字列) の意味や用語解説
クエリ文字列とは、Webブラウザ(クライアント)からWebサーバーへ情報を渡すための仕組みの一つである。これは、WebサイトのURLの末尾に付加されるデータ群を指し、主にGETリクエストにおいて、サーバー側で動的にコンテンツを生成するために必要なパラメータを伝える役割を担う。URLは通常、Webリソースの場所を示すが、クエリ文字列はそのリソースに対してどのような操作や条件を適用するかを補足する情報として機能する。具体的には、ベースとなるURLの後に疑問符「?」が続き、その後ろに「キー=値」の形式で記述された情報が連結される。複数の情報がある場合は、アンパサンド「&」で区切って連ねるのが基本的な構造である。この仕組みにより、ユーザーの検索キーワードやフィルター条件、表示するページ番号といった多種多様な情報をサーバーに送信し、それに基づいて表示内容を変更することが可能となる。 クエリ文字列の最も主要な役割は、Webアプリケーションにおいて、ユーザーからの要求や指定をサーバーに正確に伝えることにある。HTTPプロトコルは本来、一度の通信で完結し、過去の通信状態を記憶しない「ステートレス」な性質を持つ。このため、ユーザーがどのような検索条件を入力したか、どのページを見ているかといった情報をサーバーが継続的に把握するには、何らかの形で情報を受け渡す必要がある。クエリ文字列は、このような情報の受け渡しを実現する最も手軽で一般的な方法の一つである。 具体的な構造を詳細に見ると、まず「`http://example.com/search`」のようなベースURLがあり、その直後に疑問符「`?`」が置かれる。この疑問符は、これ以降がクエリ文字列であることを示す区切り文字である。疑問符の後には、最初のパラメータとして「`キー=値`」のペアが記述される。例えば、検索キーワードを送信したい場合は「`q=検索語句`」のようになる。「`q`」がパラメータ名(キー)であり、「`検索語句`」がそのパラメータに割り当てられたデータ(値)である。さらに別のパラメータを追加したい場合は、アンパサンド「`&`」を区切り文字として利用し、「`&キー2=値2`」という形式で連結していく。例えば、「`http://example.com/search?q=query_string&category=it&page=1`」というURLの場合、「`q`」というキーには「`query_string`」という値、「`category`」というキーには「`it`」という値、「`page`」というキーには「`1`」という値がそれぞれ割り当てられていることを意味する。サーバーサイドのプログラムは、これらのキーと値のペアを解析し、それに応じた処理を実行したり、データベースからデータを取得したりして、動的なWebページを生成するのである。 クエリ文字列に記述される値には、Webページ上で特別な意味を持つ文字や、日本語などのマルチバイト文字が含まれることがある。これらの文字をそのままURLに記述すると、URLの構文規則に違反したり、正しく解釈されなかったりする可能性がある。この問題を解決するために、「URLエンコーディング」あるいは「パーセントエンコーディング」と呼ばれる処理が適用される。例えば、スペース文字は「`%20`」に、日本語の文字は複数の「`%XX`」形式のシーケンスに変換される。これにより、どのような文字であってもURLの一部として安全に転送され、サーバー側ではエンコードされた文字列を元の形にデコードして利用することが可能となる。このエンコーディングは、Webブラウザが自動的に行う場合もあれば、JavaScriptなどのクライアントサイドスクリプトで明示的に行う場合もある。 クエリ文字列は、さまざまなWebアプリケーションで広く利用されている。最も身近な例は、検索エンジンの検索窓に入力されたキーワードである。ユーザーがキーワードを入力して検索ボタンを押すと、そのキーワードがクエリ文字列としてURLに付加され、検索結果ページが表示される。オンラインショッピングサイトでの商品カテゴリや価格帯による絞り込み検索、ブログやニュースサイトでのページネーション(次ページ、前ページへの移動)、Web広告の効果測定のためのトラッキング情報なども、クエリ文字列を利用して実装されることが多い。特定の状態をブックマークとして保存したり、URLをコピーして他のユーザーと共有したりする際にも、クエリ文字列は非常に役立つ。 クエリ文字列の利用には、いくつかのメリットと注意点がある。メリットとしては、そのシンプルさから実装が容易であること、そしてURLに情報が含まれるため、ブラウザの「戻る」ボタンや「進む」ボタンが期待通りに機能し、ブックマークや共有がしやすい点が挙げられる。一方で、注意点も存在する。第一に、クエリ文字列で送信できるデータ量には制限がある。WebブラウザやWebサーバーによって異なるが、一般的にURL全体の長さには数百から数千文字程度の制限があるため、非常に大量のデータを渡すのには不向きである。第二に、セキュリティに関する懸念がある。クエリ文字列はURLに直接表示されるため、パスワードやクレジットカード番号などの機密情報を渡すべきではない。これらの情報はブラウザの履歴やサーバーのアクセスログにも記録されやすいため、情報漏洩のリスクが高まる。第三に、多数のパラメータが含まれる場合、URLが非常に長くなり、可読性が低下するという問題もある。 クエリ文字列以外にも、クライアントからサーバーへ情報を渡す方法は存在する。例えば、フォームデータやファイルアップロードなどで利用される「POSTリクエスト」では、情報はURLではなくHTTPリクエストのボディ(本体)に含めて送信される。これにより、大量のデータを送ることができ、URLに表示されないため機密情報の送信にも適している。また、RESTfulなAPI設計では、リソースの識別子をURLのパスの一部として表現する「パスパラメータ」も頻繁に用いられる。その他にも、CookieやWebストレージ、セッションといった技術が、クライアントとサーバー間で状態を管理するために利用される。しかし、クエリ文字列は依然として、Webにおける情報の受け渡しにおいて、その手軽さと汎用性から非常に重要な役割を担っている。