情報提供依頼書 (ジョウホウテイキョウイライショ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
情報提供依頼書 (ジョウホウテイキョウイライショ) の読み方
日本語表記
情報提供依頼書 (ジョウホウテイキョウイライショ)
英語表記
Request for Information (リクエストフォーインフォメーション)
情報提供依頼書 (ジョウホウテイキョウイライショ) の意味や用語解説
情報提供依頼書とは、企業がシステム導入や業務改善を検討する初期段階において、どのような技術や製品、サービスが存在するのか、市場の動向はどうなっているのかといった情報を、ITベンダー(開発会社)などの専門企業から広く収集するために発行する文書である。英語では「Request for Information」と呼ばれ、その頭文字を取って「RFI」という略称で呼ばれることが一般的である。システム開発プロジェクトの企画・構想フェーズで用いられ、発注者側が抱える漠然とした課題や要望に対して、実現の可能性や解決策の選択肢を探ることを主な目的とする。この段階では、まだ具体的なシステム要件や仕様が固まっていないため、特定の製品の導入や開発を前提とせず、あくまで中立的な立場での情報収集に重点が置かれる。RFIは、その後に続く「提案依頼書(RFP)」や「見積依頼書(RFQ)」とは目的が異なる。RFPが具体的なシステム要件を提示し、ベンダーに実現方法の提案と正式な見積もりを求めるものであるのに対し、RFIは提案や見積もりの前段階として、プロジェクトの方向性を定めるための判断材料を集めるための手段である。したがって、RFIへの回答が直接的な契約に結びつくことは通常ない。 RFIを発行する側、すなわち発注者側の視点から見ると、その作成と送付にはいくつかの重要な目的がある。第一に、自社が抱える課題を解決しうる技術やソリューションの最新動向を把握することである。自社の知識だけでは知り得ない新しい技術や他社の成功事例などを知ることで、より効果的なシステム化計画を立案できる。第二に、どのようなベンダーが存在し、それぞれがどのような強みや実績を持っているのかを調査することである。これにより、将来的にRFPを送付する候補となるベンダーをリストアップすることが可能になる。第三に、プロジェクトの実現可能性や、大まかな費用感、開発にかかる期間などを掴むことである。複数のベンダーから概算の情報を得ることで、プロジェクトの予算やスケジュールを策定する上での重要な参考情報となる。RFIに記載する内容は、まず依頼の背景として、自社の事業概要や現状の業務プロセス、抱えている課題などを説明する。次に、依頼内容として、どのような情報を提供してほしいのかを具体的に記述する。例えば、関連する技術動向、類似のシステム導入事例、貴社が提供可能なソリューションの概要、想定される開発体制、概算費用やスケジュールの目安などが挙げられる。そして、回答の提出期限や提出方法、問い合わせ先といった事務的な要件も明記する。重要なのは、この依頼が情報提供を目的とするものであり、ベンダー選定を約束するものではないことを明記し、ベンダー側が過度な期待を抱かないように配慮することである。 一方、RFIを受け取る側であるベンダーの視点では、これは自社の技術力や知見を潜在的な顧客にアピールする絶好の機会となる。RFIは正式な提案依頼ではないため、回答に多くの工数を割くことは難しい場合もあるが、発注者の課題を深く理解し、的確で有益な情報を提供することで、発注者との良好な関係を築く第一歩となる。質の高い回答は、自社が信頼できるパートナーであることを示し、将来のRFP発行時に声がかかる可能性を高める。RFIへの回答書を作成する際は、依頼された項目に対して忠実に回答することはもちろん、発注者がまだ気づいていない潜在的な課題を指摘したり、自社の持つ独自のソリューションがいかにその課題解決に貢献できるかを具体的に示したりすることが有効である。単なる情報の羅列ではなく、自社の強みや専門性を活かした付加価値のある情報を提供することが、他社との差別化に繋がる。このように、情報提供依頼書はシステム開発の最上流工程において、発注者とベンダーの間の最初の接点となり、双方にとって重要な意味を持つ文書である。発注者にとってはプロジェクトの羅針盤となる情報を手に入れるための手段であり、ベンダーにとっては自社の価値を訴求し、ビジネスチャンスを掴むためのきっかけとなる。このRFIの段階で、いかに有益な情報交換が行われるかが、その後のプロジェクトの成否を左右することもある。