シリアルATA2 (シリアルエーティーエーツー) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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シリアルATA2 (シリアルエーティーエーツー) の読み方

日本語表記

シリアルATA 2 (シリアルエーティーエーツー)

英語表記

Serial ATA II (シリアルエーティーエーツー)

シリアルATA2 (シリアルエーティーエーツー) の意味や用語解説

シリアルATA2は、コンピュータの内部ストレージデバイス、具体的にはハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、あるいは光学ドライブなどをマザーボードに接続するためのインターフェース規格であるSerial ATA(SATA)の改良版だ。初代SATAの登場後、より高速なデータ処理が求められるようになり、それに伴いストレージインターフェースも進化する必要が生じた結果として開発された規格である。一般にはSATA IIやSATA 3Gb/sといった名称でも広く知られており、データ転送速度の向上といくつかの新機能の追加が主な特徴だ。システムエンジニアを目指す上で、PCのハードウェア構成や性能を理解することは不可欠であり、ストレージデバイスの接続規格としてのシリアルATA2の役割と特性を把握しておくことは非常に重要である。 シリアルATA2の正式名称は「Serial ATA Revision 2.0」であり、前述の通り「SATA 3Gb/s」とも表記される。この規格における最も重要な進化点は、データ転送速度が初代SATAの1.5 Gbit/s(ギガビット/秒)から3.0 Gbit/sへと倍増したことだ。この理論上の最大転送速度は、データ転送時の符号化(8b/10bエンコーディング)のオーバーヘッドを考慮すると、実効的なデータ転送速度では約300 MB/s(メガバイト/秒)に相当する。この速度向上は、特に大容量ファイルの転送や、複数のアプリケーションが同時にストレージにアクセスするような環境において、システムの応答性や処理性能の向上に貢献した。 データ転送速度の向上に加え、シリアルATA2では「NCQ(Native Command Queuing)」という画期的な機能が導入された。NCQは、ホストコントローラからストレージデバイスに送られる複数のデータ読み書きコマンドの実行順序を、デバイス自身が最適化する技術である。具体的には、HDDのヘッドの物理的な移動距離を最小限に抑えるようにコマンドの順番を並べ替えることで、特にランダムアクセス性能や、複数のI/O要求が同時に発生するマルチタスク環境下での処理効率を大幅に向上させる。これにより、ドライブの物理的な最大速度が変わらなくても、体感的な性能やシステムの応答性が向上する効果が見られた。初期のSSDが登場した際にも、この高速インターフェースとNCQ機能がその性能を最大限に引き出す上で重要な役割を果たした。 さらに、シリアルATA2ではNCQ以外にも、いくつかの利便性や信頼性を高める機能が追加または強化された。「ポートマルチプライヤ」は、一つのSATAホストコントローラポートに対して複数のSATAデバイスを接続できるようにする技術であり、主に外部ストレージエンクロージャや、多数のドライブを必要とするサーバー環境などで利用される。また、システムの電源を入れたままストレージデバイスの抜き差しができる「ホットプラグ」機能がさらに洗練され、システムの運用性やメンテナンス性を向上させた。複数のHDDを搭載するシステムにおいては、電源投入時に全てのドライブが同時に最大電流を消費することによる電力負荷の急増を避けるため、各ドライブが順次起動するようにタイミングを調整する「スタッガードスピンアップ」機能も導入され、システムの安定性向上に寄与した。 初代SATAから引き継がれた利点も多く存在する。例えば、従来のIDE(PATA)規格で使われていた幅広のフラットケーブルと比較して、シリアルATAのケーブルは細く、PCケース内部のエアフローを改善し、配線を簡素化する効果があった。また、各ストレージデバイスが専用のケーブルでホストコントローラに接続される「ポイント・トゥ・ポイント」接続方式は、信号の干渉を抑え、データ転送の信頼性を高める上で非常に有効だった。 互換性に関しては、シリアルATA2対応のホストコントローラは初代SATAデバイスとの接続が可能であり、その逆も多くの場合は機能する。ただし、SATA 2対応デバイスを初代SATAコントローラに接続した場合、データ転送速度は初代SATAの最大速度である1.5 Gbit/sに制限される。また、ごく一部の初期のSATA 2対応ドライブでは、古いSATAコントローラとの互換性を確保するために、ドライブ側にジャンパピンを設定する必要があるケースも存在した。シリアルATA2は、その後に登場するより高速なSerial ATA Revision 3.0(SATA 6Gb/s)へと至る過渡期において、ストレージインターフェースの性能向上と機能拡張の方向性を決定づけた重要な規格であり、現代のストレージ技術の基礎を築いたものとして理解されるべきだ。

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