シリアルインターフェース (シリアルインターフェース) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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シリアルインターフェース (シリアルインターフェース) の読み方

日本語表記

シリアルインターフェース (シリアルインターフェース)

英語表記

serial interface (シリアルインターフェース)

シリアルインターフェース (シリアルインターフェース) の意味や用語解説

シリアルインターフェースは、コンピューターや電子機器間でデータを送受信する際の方式の一つである。その名の通り「シリアル(直列)」に、つまり一度に1ビットずつ、データ信号を一本の通信路(またはごく少数の通信路)を通して順番に送り出す方式を指す。これは、複数の通信路を使い、一度に複数のビット(例えば8ビットや16ビット)を並行して送り出す「パラレルインターフェース」とは対照的である。初期のコンピューターではパラレルインターフェースも広く使われていたが、現代の高速なデータ通信においては、多くの主要なインターフェースがシリアル方式を採用している。その主な理由は、高速化に伴う信号品質の問題や、配線数の削減によるコスト・スペースのメリットにある。 詳細について説明する。シリアルインターフェースの基本的な動作原理は、送信側がデータをビット列に分解し、それを定められたタイミングで一本の信号線に連続して送り出すことである。受信側はそのビット列を順番に受け取り、元のデータに再構築する。 シリアル通信には、大きく分けて同期式と非同期式がある。非同期シリアル通信の代表例であるRS-232Cでは、送信されるデータビットの前後には、通信の開始を示すスタートビットと、終了を示すストップビットが付加される。これにより、受信側はいつデータの読み取りを開始し、いつ終了するかを判断できるため、別途クロック信号を共有する必要がない。また、データの誤りを検出するためにパリティビットが追加されることもある。 一方、同期シリアル通信では、データ信号とは別にクロック信号用の線も設けられるか、あるいはクロック信号がデータ信号に埋め込まれて送信される。これにより、送信側と受信側は正確なタイミングでデータのやり取りを行うことができ、非同期方式よりも高速かつ効率的な通信が可能となる。現代の高速シリアルインターフェースの多くは、この同期方式を高度に発展させたものである。 シリアルインターフェースがパラレルインターフェースに比べて優位とされた理由はいくつかある。第一に、配線数の削減である。パラレルインターフェースは一度に複数のビットを転送するため、そのビット数に応じた数の信号線が必要となる。例えば8ビットを転送するには8本の信号線が、さらにグランド線や制御線を含めると10本以上の線が必要になる。これに対し、シリアルインターフェースはデータ送信用と受信用、そしてグランド線など、最小限の数(多くの場合2本から数本)の信号線で済む。これにより、ケーブルは細く、コネクタは小型になり、製造コストの削減、省スペース化、機器の軽量化に貢献する。 第二に、高速化への対応である。パラレルインターフェースでは、複数の信号線が並行してデータを転送する際、各信号線に電気信号が到達するタイミングにわずかなズレ(スキュー)が生じやすい。このスキューは、信号が高速になるほど顕著になり、データの正確な受信を困難にする要因となる。結果として、パラレルインターフェースの転送速度には物理的な限界があった。シリアルインターフェースは一本の信号線でデータを逐次転送するため、このようなスキューの問題が発生せず、高周波数のクロックを使って非常に高速なデータ転送を実現できる。現代の高速シリアル通信では、差動信号伝送や複雑な信号変調技術を用いることで、ギガヘルツ(GHz)帯域の超高速通信を可能にしている。 第三に、ノイズ耐性と長距離伝送への適応性である。配線数の少なさから、相互の信号干渉が少なく、ノイズの影響を受けにくい。また、差動信号伝送(二本の信号線に逆相の信号を流し、受信側でその差を検出する方式)を用いることで、コモンモードノイズ(両方の線に共通して入るノイズ)を効果的に除去し、より長距離での安定した通信を実現する。 歴史を振り返ると、かつてコンピューターの周辺機器接続の主流はパラレルインターフェースであった。例えば、プリンター接続に使われたパラレルポート(セントロニクス準拠)や、ハードディスク接続に使われたパラレルATA(PATA)などが挙げられる。しかし、前述の理由から、現代ではシリアルインターフェースが主流となっている。 代表的なシリアルインターフェースとしては、古いパーソナルコンピューターや組み込み機器で広く使われたRS-232C(COMポート)、現代のほとんどの周辺機器接続に用いられるUSB(Universal Serial Bus)、ハードディスクやSSDの接続に特化したSATA(Serial ATA)、コンピュータ内部の拡張カード接続に用いられるPCI Express(PCIe)、そしてネットワーク通信の標準であるEthernetなどがある。これらはいずれも、シリアルデータ転送の原則に基づきながら、それぞれの用途に合わせて高度に最適化されたプロトコルと物理層を持つ。例えば、USBは給電機能とホットプラグ(電源を入れたまま抜き差しできる機能)をサポートし、SATAはデータ転送に加えて電源供給も考慮されている。PCIeは、複数のシリアルレーンを束ねることで、さらに高い帯域幅を実現している。組み込みシステムでは、SPI(Serial Peripheral Interface)やI2C(Inter-Integrated Circuit)といった、よりシンプルな同期シリアルインターフェースも広く使われている。 シリアルインターフェースは、そのシンプルながらも高性能な設計思想により、今日の情報通信技術を支える基盤となっている。配線の簡素化、信号品質の維持、そして究極の高速化という要求に応え続けることで、今後もその進化は止まることなく、私たちのデジタルライフを豊かにしていくだろう。

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