サーバライセンス (サーバライセンス) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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サーバライセンス (サーバライセンス) の読み方

日本語表記

サーバーライセンス (サーバーライセンス)

英語表記

server license (サーバーライセンス)

サーバライセンス (サーバライセンス) の意味や用語解説

サーバライセンスとは、サーバー上で稼働するソフトウェアの利用に関して、その正当な利用権を規定する契約形態を指す。ソフトウェアの開発元が知的財産権を持つソフトウェア製品を、ユーザーがサーバー環境で利用するために、開発元から取得する必要がある許諾である。これは、単にソフトウェアの複製物を取得することとは異なり、そのソフトウェアを特定の条件下で稼働させ、サービスを提供するための権利を購入することを意味する。ソフトウェアの利用範囲や課金形態は製品によって多岐にわたり、システムを構築・運用する上でコストやコンプライアンスに直結する極めて重要な要素となる。 詳細に説明すると、サーバライセンスは、ソフトウェアの適正な利用を保証し、開発元の知的財産権を保護するための仕組みとして存在する。企業が業務システムやWebサービスを構築する際、OS、データベース管理システム、アプリケーションサーバー、グループウェア、さらには各業務アプリケーションなど、多種多様なソフトウェアをサーバー上で利用する。これらのソフトウェアにはそれぞれライセンスが紐づいており、その利用形態に応じた適切なライセンスを取得しなければならない。 サーバライセンスの一般的な課金形態やモデルにはいくつかの種類がある。最も基本的なものは「サーバー単位ライセンス」で、これはソフトウェアを導入する物理的または仮想的なサーバーの台数に基づいて課金される。例えば、データベースソフトウェアを3台のサーバーにインストールして稼働させる場合、3つのサーバーライセンスが必要となる。 次に「プロセッサ(CPU)単位ライセンス」がある。これはサーバーに搭載されているCPUの数、またはCPUのコア数に基づいて課金される形式である。高性能なサーバーほど多数のCPUやコアを持つため、それに比例してライセンス費用も高くなる傾向がある。特に、多くの計算資源を必要とするデータベースや大規模な仮想化基盤などで採用されることが多い。 「ユーザー単位ライセンス」も頻繁に見られる形式だが、これは厳密にはクライアント側のライセンスであり、通常は「クライアントアクセスライセンス(CAL)」と呼ばれる。サーバーソフトウェア自体にはライセンスが必要な一方で、そのサーバーソフトウェアにアクセスして利用するユーザーやデバイスに対してもライセンスを求める場合がある。CALには、特定のユーザーが何台のデバイスからでもアクセスできる「ユーザーCAL」と、特定のデバイスが何人のユーザーからでもアクセスできる「デバイスCAL」の二種類が存在する。例えば、グループウェアを導入した場合、サーバーソフトウェアのライセンスに加え、そのグループウェアを利用する全社員分のCALが必要になる、といったケースである。 また、「同時接続数ライセンス」という形式も存在する。これは、同時にサーバーソフトウェアに接続して利用できる最大数に基づいて課金されるものである。例えば、Webアプリケーションや特定の業務システムにおいて、同時に100セッションまでしかアクセスできないライセンスを購入した場合、101セッション目の接続は拒否されることになる。実際のユーザー数よりも同時に利用するピーク数が少ない場合に、コストを抑える効果が期待できる。 これらのライセンス形態は、単独で適用されることもあれば、組み合わせて適用されることもある。例えば、サーバーOSにはサーバー単位のライセンスが必要で、それに加えて、そのOS上で動作するデータベース管理システムにはCPU単位のライセンス、そしてそのデータベースを利用するアプリケーションのユーザーにはCALが必要、といった複合的なケースが一般的である。 ライセンスの違反は、単なる契約不履行以上の重大な問題を引き起こす可能性がある。ソフトウェア開発元による監査の対象となり、発覚した場合には、正規のライセンス費用の数倍に及ぶ違約金や損害賠償を請求されることがあり、企業としての信頼性やブランドイメージを著しく損なう。最悪の場合、著作権法違反として法的措置を取られる可能性も存在する。そのため、システムを導入・運用する企業は、自社が保有するソフトウェアライセンスの種類、数、利用状況を正確に把握し、常にコンプライアンスを遵守する体制を構築することが不可欠である。このライセンス管理は、単に法律を遵守するだけでなく、不必要なライセンス費用を削減し、コスト最適化を図る上でも極めて重要である。 近年では、クラウドコンピューティングの普及により、サーバライセンスの考え方にも変化が生じている。IaaS(Infrastructure as a Service)のようなクラウドサービスでは、仮想サーバー環境を提供するクラウドプロバイダーがOSなどの基本ソフトウェアのライセンスを月額課金の一部として提供することが多い。一方で、特定のデータベースソフトウェアやアプリケーションソフトウェアについては、ユーザーが既存のオンプレミスライセンスを持ち込む「BYOL(Bring Your Own License)」モデルや、クラウドベンダーが提供する従量課金制のライセンスを利用するモデルが存在する。クラウド環境では、物理サーバーの概念が希薄になり、仮想プロセッサ数や利用時間に応じた課金体系が主流となるため、オンプレミス環境とは異なるライセンス戦略が求められる。 システムエンジニアとして、これらのサーバライセンスの多様な形態と、それがシステム全体のコスト、設計、運用、そして法的リスクに与える影響を理解することは、極めて重要なスキルである。適切なライセンス管理は、企業のITガバナンスを強化し、持続可能なシステム運用を実現するための基盤となる。

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