差集合 (サシュウゴウ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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差集合 (サシュウゴウ) の読み方

日本語表記

差集合 (サシュウゴウ)

英語表記

set difference (セットディファレンス)

差集合 (サシュウゴウ) の意味や用語解説

集合論における差集合とは、二つの集合に対して、一方の集合からもう一方の集合の要素を取り除いた結果として得られる集合のことである。より具体的に言うと、集合Aと集合Bがあるとき、Aの差集合B(A - B、またはA \ Bと表記されることが多い)は、Aに属する要素のうち、Bにも属する要素をすべて取り除いた集合である。 差集合を理解するためには、まず集合の概念を理解する必要がある。集合とは、明確に区別できる要素の集まりのことである。例えば、{1, 2, 3}は1, 2, 3という3つの要素からなる集合である。集合は、要素の順序に依存せず、同じ要素が複数回現れても意味は変わらない。 差集合は、このような集合同士の関係性を表す演算の一つである。集合Aと集合Bが与えられたとき、A - B は「AからBを引いたもの」と考えることができる。これは、Aの要素のうち、Bにも含まれている要素をAから取り除く操作に対応する。例えば、A = {1, 2, 3, 4, 5}、B = {3, 5, 6}の場合、A - B = {1, 2, 4}となる。これは、Aの要素である1, 2, 3, 4, 5のうち、Bにも含まれる3と5をAから取り除いた結果である。 同様に、B - Aも定義できる。この場合、B - Aは、Bの要素のうち、Aにも含まれる要素をすべて取り除いた集合となる。上記の例では、B - A = {6}となる。なぜなら、Bの要素である3, 5, 6のうち、Aにも含まれる3と5をBから取り除いた結果が6だけになるからである。 重要な点として、一般的にA - BとB - Aは異なる集合になる。つまり、差集合の演算は可換ではない。これは、引き算が可換ではないことと似ている。 差集合は、ベン図を用いて視覚的に理解することもできる。ベン図は、集合を円で表し、円の重なり具合によって集合の関係性を示す図である。A - Bは、Aの円のうち、Bの円と重なっていない部分に対応する。同様に、B - Aは、Bの円のうち、Aの円と重なっていない部分に対応する。 差集合は、プログラミングにおいても頻繁に利用される概念である。多くのプログラミング言語では、集合を扱うためのデータ構造(例えば、Setなど)が提供されており、差集合を求めるためのメソッドや関数が用意されている。例えば、Pythonでは、setオブジェクトに対して `-` 演算子を用いることで、差集合を簡単に計算できる。 差集合は、データベースのクエリにおいても重要な役割を果たす。例えば、あるテーブルから別のテーブルに含まれるレコードを除外したい場合に、差集合の概念を利用することができる。SQLでは、`EXCEPT` 句を用いることで、差集合を求めることができる。 さらに、差集合は、ソフトウェア開発における変更管理やバージョン管理の分野でも活用される。例えば、二つのバージョンのファイル群を比較し、一方のバージョンにしか存在しないファイルを特定する場合に、差集合の概念を利用することができる。 具体例として、あるECサイトの顧客データがあり、過去一ヶ月以内に購入した顧客の集合Aと、過去一ヶ月以内にレビューを書いた顧客の集合Bがあったとする。このとき、A - Bは、過去一ヶ月以内に購入したが、まだレビューを書いていない顧客の集合を表す。この情報を利用して、レビューを促すためのメールを送るなどの施策を打つことができる。 このように、差集合は、様々な分野で応用可能な基本的な概念である。特にシステムエンジニアを目指す場合、差集合の概念を理解しておくことは、データベースの操作、データ分析、ソフトウェア開発など、様々な場面で役立つだろう。

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