共有秘密 (キョウユウヒミツ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
共有秘密 (キョウユウヒミツ) の読み方
日本語表記
共有秘密 (キョウユウヒミツ)
英語表記
shared secret (シェアードシークレット)
共有秘密 (キョウユウヒミツ) の意味や用語解説
共有秘密(きょうゆうひみつ)とは、暗号化通信や認証において、通信を行う複数の主体(例えば、クライアントとサーバー)の間であらかじめ共有されている秘密の情報のことである。 共有秘密は、通信の安全性を確保するための基盤となる重要な要素であり、様々な暗号プロトコルや認証方式で利用されている。例えば、パスワード認証、事前共有鍵(PSK)を用いた暗号化、鍵交換アルゴリズムなど、安全な通信を実現するための多くの仕組みが共有秘密を前提としている。 共有秘密の主な役割は、通信相手の認証と、通信内容の暗号化である。認証においては、共有秘密を知っていることによって、相手が正当な通信相手であることを確認できる。暗号化においては、共有秘密を鍵として利用することで、第三者による盗聴や改ざんを防ぐことができる。 共有秘密には、パスワード、暗号鍵、アクセスキーなど、様々な形態がある。パスワードは、ユーザーが記憶し、認証時にサーバーに伝えることで本人確認を行うための共有秘密である。暗号鍵は、通信内容を暗号化・復号化するために用いられる共有秘密であり、より高度なセキュリティを確保するために用いられる。アクセスキーは、特定のサービスやリソースへのアクセス権限を付与するための共有秘密であり、APIなどを利用する際に用いられることが多い。 共有秘密の管理は、セキュリティにおいて極めて重要である。共有秘密が漏洩した場合、第三者が正当な通信相手になりすましたり、通信内容を盗聴・改ざんしたりすることが可能になるため、厳重な管理が必要となる。 共有秘密の管理方法としては、以下のようなものが挙げられる。 * **安全な保管:** 共有秘密は、暗号化された状態で安全な場所に保管する必要がある。パスワードであれば、ハッシュ化とソルト付与によって、元のパスワードが容易に推測されないようにする必要がある。暗号鍵であれば、ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)などの専用の機器に保管することが望ましい。 * **安全な伝送:** 共有秘密を通信経路上で伝送する場合は、必ず暗号化する必要がある。例えば、TLS/SSLなどの暗号化プロトコルを用いて、通信路を暗号化することで、第三者による盗聴を防ぐことができる。 * **アクセス制御:** 共有秘密へのアクセスは、必要最小限のユーザーに制限する必要がある。また、アクセスログを記録し、不正なアクセスがないか監視する必要がある。 * **定期的な変更:** 共有秘密は、定期的に変更することが望ましい。特に、パスワードは、定期的に変更することで、漏洩リスクを低減することができる。 * **適切な鍵長:** 暗号鍵の鍵長は、十分な強度を持つように選択する必要がある。鍵長が短いと、計算機能力の向上によって、暗号が解読される可能性が高くなる。 * **鍵交換プロトコル:** 安全な鍵交換プロトコルを使用することで、通信相手との間で安全に共有秘密を確立することができる。Diffie-Hellman鍵交換などが代表的な例である。 共有秘密のセキュリティを確保するためには、これらの管理方法を適切に実施することが重要である。特に、システム開発においては、共有秘密のライフサイクル全体を考慮した設計を行うことが重要となる。共有秘密の生成、保管、利用、廃棄といった各段階において、セキュリティ上の脆弱性がないか検証する必要がある。 さらに、共有秘密の漏洩を検知するための仕組みを導入することも重要である。例えば、不正なアクセスや異常な通信パターンを検知することで、漏洩の兆候を早期に発見し、被害を最小限に抑えることができる。 共有秘密は、現代のITシステムにおいて、不可欠な要素である。システムエンジニアを目指す上で、共有秘密の概念と、そのセキュリティ対策について理解しておくことは、非常に重要である。