シェアポイント (シェアポイント) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
シェアポイント (シェアポイント) の読み方
日本語表記
シェアポイント (シェアポイント)
英語表記
SharePoint (シェアポイント)
シェアポイント (シェアポイント) の意味や用語解説
シェアポイントは、マイクロソフト社が提供する企業向けの情報共有・共同作業プラットフォームである。組織内で発生する多種多様な情報を一元的に管理し、社員間の連携や業務プロセスを効率化することを主な目的としている。具体的には、ドキュメント管理、社内ポータルサイトの構築、プロジェクト管理、業務フローの自動化といった機能を提供し、企業内の情報ハブとしての役割を果たす。オンプレミス環境で利用する「SharePoint Server」と、クラウドサービスとして提供される「SharePoint Online」(Microsoft 365の一部)の二つの形態がある。これにより、企業は情報共有基盤を柔軟に構築し、ビジネスにおける生産性向上とコラボレーションの強化を実現できる。システムエンジニアを目指す者にとって、このプラットフォームが企業のデジタル変革において果たす役割と技術的な側面を理解することは非常に重要である。 シェアポイントの歴史は長く、初期はWebベースのドキュメント管理システムとして登場した。その後、ポータルサイト、共同作業スペース、業務アプリケーション基盤へと進化を遂げ、現在では企業のデジタルワークプレイスの中核を担う存在となっている。特に、クラウド版であるSharePoint Onlineの登場は、メンテナンス負荷の軽減や常に最新の機能を利用できるという点で、多くの企業に採用される要因となった。 主要な機能としてまず挙げられるのが、高度なドキュメント管理機能である。シェアポイントでは、ファイルやフォルダを格納する「ドキュメントライブラリ」を通じて、文書の一元管理が可能だ。単にファイルを保存するだけでなく、ファイルのバージョン管理を行い、過去の版にいつでも戻せるようにする。また、ファイルを誰かが編集中の場合は「チェックアウト」することで、他のユーザーが同時に編集して変更が衝突するのを防ぎ、編集完了後に「チェックイン」することで最終的な変更を確定させる。これにより、複数人での共同作業において、常に最新かつ正確な文書を維持できる。加えて、Microsoft Officeアプリケーション(Word、Excel、PowerPointなど)との連携が深く、ブラウザ上での共同編集や、デスクトップアプリケーションからの直接保存もサポートされている。 次に、組織内外に向けた情報発信や情報共有の拠点となる「サイト」の構築機能がある。シェアポイントには、部門ごとの情報共有に特化した「チームサイト」、組織全体のお知らせやニュース配信に適した「コミュニケーションサイト」、特定の目的に合わせたカスタムサイトなど、多様なサイトテンプレートが用意されている。これらのサイトは、情報を整理するための「ページ」で構成され、テキスト、画像、動画、ドキュメントライブラリ、リストなどの様々なコンテンツを「Webパーツ」として配置することで、柔軟にレイアウトをカスタマイズできる。これにより、企業は自社のニーズに合わせたポータルサイトや部門サイト、プロジェクトサイトなどを容易に構築し、情報の可視性を高め、必要な情報へのアクセスを迅速化できる。 さらに、構造化された情報を管理するための「リスト」機能も重要な要素である。リストは、データベースのテーブルに似ており、特定のデータを項目(列)ごとに定義して管理できる。例えば、タスクリスト、連絡先リスト、お知らせリスト、FAQリストなど、多様な用途に合わせたリストを作成し、情報の入力、閲覧、検索、フィルタリングが可能となる。これにより、Excelファイルなどで管理されがちな定型的な情報を、シェアポイント上で一元的に管理し、チーム全体で共有・更新できる。リストはWebデータベースとしての役割も果たし、カスタムアプリケーションのデータソースとしても利用できる。 業務プロセスの自動化を支援する「ワークフロー」機能もシェアポイントの強みである。かつてはSharePoint Designerなどで作成されていたが、現在は「Power Automate」との連携により、より高度で複雑なワークフローをノーコード/ローコードで実現できる。例えば、ドキュメントの承認フロー、新規社員のオンボーディングプロセス、経費精算の申請・承認プロセスなどを自動化し、手作業によるミスや遅延を削減し、業務効率を大幅に向上させることが可能となる。 強力な「検索」機能も特徴の一つだ。シェアポイントに格納されたドキュメント、リストアイテム、Webページなどのあらゆるコンテンツを対象に、高速かつ関連性の高い検索結果を提供できる。キーワード検索はもちろん、プロパティによる絞り込みや、特定のユーザーに向けたパーソナライズされた検索結果表示も可能であり、必要な情報を素早く見つけ出す手助けとなる。 セキュリティとアクセス権限の管理も非常に詳細に行える。サイト、ドキュメントライブラリ、リスト、さらには個々のファイルやリストアイテムに至るまで、細やかな権限レベルを設定できる。これにより、機密性の高い情報へのアクセスを厳密に制御し、情報漏洩のリスクを低減する。ユーザー認証はActive DirectoryやAzure Active Directory (Microsoft Entra ID) と連携し、一元的なユーザー管理を実現する。 システムエンジニアの視点からは、シェアポイントは単なるツールではなく、一つの開発・運用プラットフォームとして捉えられる。オンプレミス版のSharePoint Serverでは、サーバー構成、データベース設計、パッチ適用、バックアップ戦略など、インフラストラクチャに関する深い知識が求められる。一方、SharePoint Onlineでは、マイクロソフトがインフラを管理するため、管理者は主にサイトコレクションの管理、権限設定、容量監視、ユーザープロファイルの管理などに注力することになる。 カスタマイズの面では、「SharePoint Framework (SPFx)」が中心的な開発モデルとなる。SPFxは、モダンなWeb技術(TypeScript, React, Angularなど)を用いて、カスタムのWebパーツや拡張機能を開発するためのフレームワークである。これにより、標準機能ではカバーできない特定のビジネス要件に応じた機能追加やUIの改善が可能となる。また、SharePointのREST APIやPowerShellスクリプトを活用することで、外部システムとの連携や管理作業の自動化も実現できる。 シェアポイントは、Microsoft 365エコシステムの中核を成すサービスの一つであり、Teams、OneDrive、Outlook、Power Apps、Power BI、Power Automateといった他のサービスとの密接な連携が強みだ。例えば、Teamsのチャネルにシェアポイントのドキュメントライブラリを接続したり、Power Appsで作成したカスタムフォームをシェアポイントのリストに連携させたりと、多様なシナリオで統合的なソリューションを構築できる。 メリットとしては、情報の一元化によるアクセスの容易性、共同作業の促進による生産性向上、堅牢なセキュリティ機能、そしてMicrosoft 365の他のサービスとのシームレスな連携が挙げられる。一方で、デメリットとしては、その機能の豊富さゆえに、適切な設計と運用が行われないと、かえって情報が散乱したり、利用者が混乱したりする可能性がある点が挙げられる。また、カスタマイズには専門的な知識やスキルが必要となる場合も多い。 システムエンジニアを目指す上で、シェアポイントは企業のデジタルワークプレイス戦略において不可欠な要素であり、その機能、アーキテクチャ、開発手法、運用管理の側面を理解することは、将来のキャリアにおいて大きな資産となるだろう。クラウドサービスへの移行が進む中で、SharePoint Onlineとそれに付随するMicrosoft 365のサービス群に対する理解は、ますます重要性を増している。