サイネージ (サイネージ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

サイネージ (サイネージ) の読み方

日本語表記

サイネージ (サイネージ)

英語表記

signage (サイネージ)

サイネージ (サイネージ) の意味や用語解説

サイネージとは、電子的な表示装置を用いて情報を発信するシステムの総称である。一般的にはデジタルサイネージという呼称で広く知られており、日本語では電子看板とも呼ばれる。従来の紙媒体のポスターや看板とは異なり、動画や音声を含む動的なコンテンツを表示できる点、ネットワークを通じて遠隔から表示内容をリアルタイムで更新できる点が最大の特徴である。駅の構内、商業施設、空港、店舗の店頭など、公共空間や商業空間で広く活用されており、広告宣伝、販売促進、情報案内、空間演出など多岐にわたる目的で利用される。サイネージは単なる表示装置ではなく、ディスプレイ、コンテンツを再生するプレイヤー、コンテンツを管理・配信するソフトウェア、そしてそれらを接続するネットワークが一体となったシステムとして機能する。システムエンジニアにとっては、これらの構成要素を理解し、顧客の要求に応じて最適なシステムを設計・構築・運用する能力が求められる分野である。 サイネージシステムは、大きく分けてハードウェア、ソフトウェア、コンテンツの三つの要素で構成される。ハードウェアの中核をなすのは、情報を表示するためのディスプレイである。液晶ディスプレイが一般的だが、屋外など高い輝度が求められる場所ではLEDディスプレイが、より高精細な表現が必要な場合は有機ELディスプレイが用いられることもある。設置環境に応じて、防水・防塵性能や耐衝撃性といった耐久性も考慮される。ディスプレイには、コンテンツを再生するための小型コンピュータであるセットトップボックス、通称STBやプレイヤーが接続される。近年では、STBの機能をディスプレイに内蔵したSoC（System on a Chip）搭載モデルも増えており、システムの簡素化に寄与している。これらの機器は、有線LANや無線LAN、モバイル通信網などのネットワークを介してサーバーと通信し、表示すべきコンテンツを受信したり、稼働状況を報告したりする。ソフトウェアは、サイネージシステムの頭脳にあたる部分であり、特にコンテンツ管理システム（CMS）がその中心的な役割を担う。CMSは、管理者がウェブブラウザなどを通じて、コンテンツの登録、表示スケジュールの作成、配信先のディスプレイの指定といった操作を行うためのプラットフォームである。複数のディスプレイを一元管理する機能や、正常に再生されているか監視する死活監視機能も備える。CMSには、自社サーバーで運用するオンプレミス型と、サービス事業者が提供するクラウド型があり、現在は導入や管理の容易さからクラウド型が主流となっている。表示されるコンテンツ自体も重要な構成要素であり、静止画や動画だけでなく、ウェブページを表示する技術であるHTML5を活用したインタラクティブなコンテンツや、外部のデータベースやAPIと連携して天気予報、ニュース、交通情報などをリアルタイムに表示する動的なコンテンツも多用される。システムエンジニアは、これらの構成要素を組み合わせてシステムを構築する。顧客の目的をヒアリングし、設置場所の環境や予算に応じて最適なディスプレイやSTBを選定する。ネットワークの設計やセキュリティ対策も重要な業務である。多数の端末を導入する際には、設定作業を自動化するキッティングという工程も発生する。導入後は、システムの安定稼働を支える運用・保守を担当し、障害発生時の原因究明や復旧作業、CMSの操作支援などを行う。近年、サイネージ技術はさらなる進化を遂げている。ディスプレイにタッチパネルや各種センサーを組み合わせることで、利用者の操作に応じて情報を出し分けるインタラクティブな機能を実現できる。また、ディスプレイの前にいる人の属性（性別、年齢層など）をカメラで分析し、その人に最適化された広告を配信する技術や、視聴時間や人数を計測して広告効果を測定するソリューションも登場している。これらの機能は、AI技術の活用によってさらに高度化が進んでいる。このように、サイネージは単なる情報表示ツールから、データに基づいた双方向コミュニケーションを可能にするインテリジェントなプラットフォームへと進化しており、システムエンジニアが活躍する場面はますます広がっている。