スナップショット (スナップショット) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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スナップショット (スナップショット) の読み方

日本語表記

スナップショット (スナップショット)

英語表記

snapshot (スナップショット)

スナップショット (スナップショット) の意味や用語解説

スナップショットとは、ある特定の時点におけるシステムやデータの状態を記録する技術を指す。これは、データの実体をその時点のまま複製するのではなく、その時点のデータを参照可能な状態として保持する機能である。ファイルシステム、ストレージ、仮想マシン、データベースなど、様々なITシステムにおいて利用され、システムの安定稼働やデータ保護の基盤となる重要な概念である。その主な目的は、システム障害時における迅速な復旧、特定の時点へのロールバック、あるいはテストや開発のための環境複製を効率的に行うことである。スナップショットは、データやシステムの「瞬間的な状態」を捉え、その時点の情報を後から利用可能にするための論理的な記録として機能する。 スナップショットの動作原理は、その実装によって異なるが、多くの場合「コピーオンライト(Copy-on-Write: CoW)」という技術に基づいている。CoW方式では、スナップショットが作成された時点では、実際にデータブロックが複製されるわけではない。代わりに、元のデータブロックへのポインタやメタデータが記録される。スナップショット作成後、元のデータ領域に何らかの書き込み変更が発生した場合、変更される前のオリジナルのデータブロックが、別の差分領域へとコピーされる。その後、元のデータブロックには新しいデータが上書きされる。このメカニズムにより、スナップショットは常に作成時点のオリジナルのデータブロックを参照し続けることができ、同時にシステムは最新のデータで稼働を継続できる。スナップショットからシステムやデータを復元する際には、スナップショットが参照するオリジナルのデータブロック群と、その後の変更で差分領域に退避されたデータブロック群を組み合わせることで、過去の特定時点の状態が再現される。 仮想マシン環境では、スナップショットは仮想マシンのメモリ状態、ディスクの状態、CPUレジスタの状態といった、実行中のシステム全体の状態を保存する機能として広く利用される。これにより、仮想マシンを容易に過去の任意の時点に戻したり、スナップショット作成時点の状態から複数の分岐を作成し、並行して異なるテストや開発を行ったりすることが可能となる。ストレージシステムにおいては、ファイルシステムやLUN(Logical Unit Number)の論理的なコピーとして機能し、災害復旧(DR)戦略の一環や、バックアップ処理の前段階として利用されることが多い。データベース管理システムでは、特定のトランザクションコミット時点のデータ整合性を保った状態を記録し、データベースのバックアップ、レプリケーション、テスト環境の構築などに活用される。 スナップショットは、フルバックアップとは根本的に異なる点がある。フルバックアップはデータの実体を完全にコピーするため、バックアップには時間とストレージ容量が必要となるが、スナップショットは差分情報やポインタに依存するため、作成が非常に高速で、初期のストレージ消費も少ない。しかし、元のデータが存在するボリュームやストレージが完全に破損した場合、スナップショット単独では復旧が困難な場合があるため、スナップショットはフルバックアップの代替ではなく、補完的な役割を果たすものと理解すべきである。 複数のスナップショットを時間的に連結して保持する「スナップショットチェーン」を形成する場合もあるが、チェーンが長くなると性能劣化のリスクが高まったり、管理が複雑になったりする可能性がある。そのため、スナップショットは一時的な用途に限定し、不要になったスナップショットは速やかに削除することが推奨される。特に仮想マシンのスナップショットは、長期間保持し続けると差分データが肥大化し、ディスク容量を圧迫するだけでなく、仮想マシンのI/O性能に悪影響を与えたり、スナップショットの削除や統合処理に多大な時間を要したりすることがある。したがって、スナップショットはあくまで特定の時点の状態を一時的に保持するためのツールとして位置づけ、永続的なデータ保護には別途、専用のバックアップソリューションやレプリケーション技術を組み合わせる運用が一般的である。このように、スナップショットはITインフラストラクチャにおけるデータ管理と可用性向上のために不可欠な技術であり、その特性と運用上の注意点を理解することが、システムエンジニアを目指す上で重要となる。

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