スピードクラス (スピードクラス) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
スピードクラス (スピードクラス) の読み方
日本語表記
スピードクラス (スピードクラス)
英語表記
Speed Class (スピードクラス)
スピードクラス (スピードクラス) の意味や用語解説
スピードクラスは、主にSDメモリーカードやmicroSDカードといったフラッシュメモリ系の記録メディアにおける、データの最低書き込み速度を保証するための規格である。デジタルカメラやビデオカメラ、スマートフォン、ドローンなどの機器で動画を撮影する際、映像データを途切れることなく安定してカードに記録し続ける必要がある。もし書き込み速度が映像データの生成速度に追いつかない場合、コマ落ちが発生したり、録画が途中で停止したりする問題が生じる。このような事態を防ぐため、機器メーカーとカードメーカーの間で共通の指標としてスピードクラスが定められた。利用者は、使用する機器が要求するスピードクラス以上のカードを選択することで、安定した記録性能を確保できる。スピードクラスには、登場した年代や対応するバスインターフェースによって、大きく分けて「スピードクラス」「UHSスピードクラス」「ビデオスピードクラス」の三種類が存在し、それぞれ異なるロゴマークでカード上に表記されている。これらの規格は、単に速度が速いか遅いかを示すだけでなく、特定の用途において必要とされる最低限の性能を保証するという重要な役割を担っている。 スピードクラスの規格は、技術の進歩と高画質化するコンテンツの要求に応じて進化してきた。まず最初に策定されたのが「スピードクラス」であり、一般的に丸の中に数字が書かれたロゴで示される。これにはClass 2、Class 4、Class 6、Class 10の4段階が存在する。この数字はそのまま最低保証書き込み速度をMB/s(メガバイト毎秒)単位で表しており、例えばClass 10であれば、最低でも毎秒10MBの書き込み速度が保証されることを意味する。標準画質やHD画質の動画撮影で主に使用されていた規格である。次に、より高速なデータ転送を実現するために登場したのが「UHSスピードクラス」である。UHSはUltra High Speedの略で、SDカードのデータ転送バスインターフェース規格であるUHS-IやUHS-IIに対応したカードで利用される。UHSスピードクラスには、UHSスピードクラス1(U1)とUHSスピードクラス3(U3)の2種類がある。U1は最低10MB/s、U3は最低30MB/sの書き込み速度を保証する。U1はスピードクラスのClass 10と同等の最低保証速度だが、UHS対応機器で使用することで、最大転送速度の面でより高いパフォーマンスを発揮できる可能性がある。フルHD動画の高フレームレート撮影や、初期の4K動画撮影においてU3が推奨されることが多かった。カード上には「U」の中に数字が書かれたロゴで表記される。そして、4Kや8Kといった超高解像度動画、360度動画、VRコンテンツといった、さらに大容量で高いビットレートのデータを扱う需要に応えるため、最も新しく策定されたのが「ビデオスピードクラス」である。これは「V」の横に数字が書かれたロゴで示され、V6、V10、V30、V60、V90といった種類が存在する。この数字も同様に最低保証書き込み速度をMB/s単位で示しており、V30は30MB/s、V90は90MB/sの最低書き込み速度を保証する。ビデオスピードクラスは、特に高解像度・高フレームレートの動画記録における安定性を重視して設計されており、UHSスピードクラス3とV30、UHSスピードクラス1とV10、スピードクラス Class 6とV6は、それぞれ同等の最低保証速度を持つ下位互換性のある指標となっている。 これらのスピードクラスを選択する際に最も重要なのは、使用する機器(ホストデバイス)が要求する規格を確認することである。カメラの取扱説明書や仕様書には、使用可能なSDカードの種類や、特定の動画モードで撮影するために必要なスピードクラスが明記されている。例えば、4K/60pでの撮影にはV30以上が必要、といった指定がある。この指定よりも低いクラスのカードを使用すると、前述の通り録画エラーの原因となる。逆に、要求されるクラスよりも高性能なカードを使用することは問題ないが、機器側の性能が上限となるため、カードの性能を最大限に引き出せるとは限らない。また、SDカードのパッケージには「最大読み出し速度 170MB/s」のように、非常に高速な数値が大きく表示されていることが多い。これは最大転送速度であり、特定の条件下で達成可能な理論上の最高速度を示す。一方で、スピードクラスが保証するのは「最低書き込み速度」である。安定した連続書き込みが求められる動画撮影などでは、瞬間的な最大速度よりも、常に維持される最低速度の方がはるかに重要となる。したがって、製品を選ぶ際には、最大転送速度だけでなく、必ずスピードクラスのロゴを確認し、自身の用途と機器の要求に合致したものを選ぶ必要がある。システムエンジニアを目指す上でも、このようなハードウェアの性能指標を正しく理解し、スペックシートを読み解く能力は、適切なシステム構成を検討する際に不可欠な知識となる。