角括弧(カツコ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

角括弧(カツコ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

かくかっこ (カクカツコ)

英語表記

square brackets (スクエアブラケッツ)

用語解説

角括弧は、[]の二つの記号からなる一組の記号である。ITの分野において、これらは単なる装飾的な記号ではなく、プログラミング言語、データ構造、正規表現、ドキュメンテーションなど、多岐にわたる文脈で特定の意味や機能を持つ重要な要素として利用されている。システムエンジニアを目指す上で、角括弧が使われる様々な場面とその役割を理解することは、コードの読解力や記述能力を向上させるために不可欠である。

角括弧の最も代表的な使用例は、プログラミング言語における「配列」や「リスト」といったデータ構造の定義と要素へのアクセスである。配列は、複数の同じ種類のデータを順番に格納する箱のようなものであり、各データには0から始まる一意の番号(インデックス)が割り当てられている。このインデックスを指定して、特定の要素を読み書きする際に角括弧が用いられる。例えば、PythonやJavaScriptなどの言語では、my_list = [10, 20, 30]のように角括弧で囲んで配列を定義し、my_list[0]と記述することで最初の要素である10にアクセスする。JavaやC言語のような静的型付け言語においても、int[] myArray = new int[3];のように配列を宣言し、myArray[0] = 10;のように要素へ値を代入する際に角括弧を使用する。多次元配列、例えば表のような構造を扱う際には、my_matrix[0][1]のように角括弧を複数連ねて使用し、行と列のインデックスを指定する。これは、メモリ上の連続した領域から特定のデータを効率的に参照するための、プログラミングにおける基本的な記法である。

配列以外にも、プログラミング言語における角括弧の用途は多岐にわたる。Pythonにおける「辞書(Dictionary)」やJavaScriptにおける「オブジェクト(Object)」のような、キーと値のペアを管理するデータ構造では、特定の「キー」を指定して対応する「値」にアクセスする際に角括弧が使用される。例えば、Pythonでmy_dict = {'name': 'Alice', 'age': 30}と定義された辞書から名前を取得する際には、my_dict['name']のように記述する。これは、属性名が動的に変化する場合や、特定の文字を含む属性名にアクセスする場合に特に有効な記法である。

また、一部の言語では、角括弧を使って簡潔に新しいデータ構造を生成する「内包表記」が利用される。Pythonの「リスト内包表記」はその典型であり、[x * 2 for x in range(5)]のように記述することで、[0, 2, 4, 6, 8]というリストを簡潔に生成できる。これは、ループ処理とリスト追加を一行で記述でき、コードの可読性と効率性を高める。さらにPython 3.5以降で導入された「型ヒント」では、List[str]Dict[str, int]のように、ジェネリック型(汎用的な型)の具体的な内容を示すために角括弧が使用され、コードの静的解析を助け、可読性を向上させる役割を担っている。

プログラミング言語の範疇を超えても、角括弧は重要な意味を持つ。例えば、「正規表現」では、角括弧は「文字クラス」を定義するために使われる。[abc]と記述すれば「a、b、cのいずれか一文字」にマッチし、[0-9]と記述すれば「0から9までの数字のいずれか一文字」にマッチする。[^abc]のように、先頭にキャレット(^)を置くと「a、b、c以外のいずれか一文字」という否定の意味になる。これは、特定のパターンを持つ文字列を検索したり、置換したりする際に非常に強力な機能となる。

ドキュメンテーションやコマンドラインインターフェース(CLI)のヘルプメッセージでは、角括弧は「オプションの引数」を示す慣習的な記法として頻繁に登場する。例えば、command [options] <filename>のような表記を見た場合、optionsの部分は入力しなくてもコマンドが実行できることを意味し、実際のコマンド入力時には角括弧自体は含めない。これは、ユーザーにコマンドの構文を明確に伝えるための視覚的なヒントとして機能する。

マークアップ言語やデータ形式においても、角括弧は特定の意味を持つ場合がある。例えば、Markdown記法では、リンクを記述する際に[表示テキスト](URL)のように角括弧で表示テキストを囲む。これは、人間の目には表示されないURLと、ユーザーに見せるテキストを明確に区別するための記法である。また、データベースのクエリ言語であるSQLの一部の方言(例: SQL Server)では、テーブル名やカラム名にスペースや特殊文字が含まれる場合に、[Table Name]のように角括弧で囲むことで、予約語や他のオブジェクトと区別する目的で利用されることがある。

このように、角括弧はITの様々な分野で、データの集まり、特定の要素の指定、パターンの定義、オプションの表現など、多様な役割を担っている。これらの用途を一つずつ理解し、それぞれの文脈における意味を正確に把握することは、システム開発における基礎力を高める上で非常に重要である。