ストレージネットワーク (ストレージネットワーク) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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ストレージネットワーク (ストレージネットワーク) の読み方

日本語表記

ストレージネットワーク (ストレージネットワーク)

英語表記

Storage Area Network (ストレージエリアネットワーク)

ストレージネットワーク (ストレージネットワーク) の意味や用語解説

ストレージネットワークとは、複数のサーバ(コンピュータ)とストレージデバイス(データを保存する機器)を専用または汎用のネットワークで接続し、ストレージリソースを効率的に共有・管理するためのシステムである。従来の各サーバが個別のストレージを持つ方式(DAS: Direct Attached Storage)では、ストレージの共有が困難であり、容量の無駄が生じやすく、管理も複雑になるという問題があった。ストレージネットワークは、これらの課題を解決し、データの集約、共有、高速なアクセス、高い可用性、そして容易な拡張性を提供する基盤として、現代のエンタープライズシステムにおいて不可欠な技術となっている。 詳細を説明する。従来のDirect Attached Storage (DAS) 方式では、各サーバが自身に直接接続されたハードディスクなどのストレージを利用していた。この方式は構成が単純で安価に導入できる利点がある一方で、特定のサーバでしかそのストレージを利用できないため、データ共有の制約が大きかった。また、サーバごとにストレージ容量を個別に管理する必要があり、未使用の容量が発生しやすく、全体としてのリソース利用効率が低かった。さらに、特定のサーバのストレージ容量が不足した場合でも、他のサーバの余剰容量を流用することはできず、個別に増設する必要があったため、拡張性や管理面で多くの課題を抱えていた。 このような背景から、データ量の爆発的な増加や、複数のサーバが共通のデータにアクセスする必要性、そしてサーバ仮想化技術の普及に伴い、ストレージリソースを効率的に共有し、一元的に管理できる仕組みが強く求められるようになった。そこで登場したのがストレージネットワークである。 ストレージネットワークは、主にSAN (Storage Area Network) とNAS (Network Attached Storage) の二つの主要な形態に分類できる。 SANは、サーバとストレージをブロックレベルで接続する専用の高速ネットワークである。ブロックレベルとは、ストレージの最小単位であるブロック(通常は512バイトや4KB)単位でデータを読み書きするアクセス方式を指す。サーバはSANに接続されたストレージを、あたかも自身のローカルディスクであるかのように認識し、利用することができる。SANの代表的なプロトコルはFibre Channel (FC) で、これは専用の光ファイバケーブルとFibre Channelスイッチを用いて、非常に高速かつ低遅延なデータ転送を実現する。Fibre Channel SANは、大規模なデータベースシステムや仮想化基盤など、高いI/O性能と信頼性が求められる環境で広く採用されている。近年では、IPネットワーク上でFibre Channelプロトコルを動作させるFCoE (Fibre Channel over Ethernet) や、既存のイーサネットインフラを利用してブロックアクセスを実現するiSCSI (Internet Small Computer System Interface) も普及しており、比較的安価にSANを構築できる選択肢となっている。iSCSIは、Fibre Channelに比べて導入コストが低い一方で、通常のIPネットワークにトラフィックが混在することで性能が影響を受ける可能性もあるため、専用ネットワークの設計やQoS (Quality of Service) の考慮が必要となる場合がある。 NASは、IPネットワークを通じてファイルレベルでストレージを提供するシステムである。ファイルレベルとは、ファイルやディレクトリの単位でデータを読み書きするアクセス方式を指す。NASデバイス自体がOSやファイルシステムを持ち、ファイルサーバとして機能する。サーバやクライアントPCは、既存のLANに接続されたNASに、NFS (Network File System) やCIFS/SMB (Common Internet File System/Server Message Block) といったプロトコルを用いてアクセスし、ファイルを共有する。NASの利点は、既存のネットワークインフラをそのまま利用できるため導入が容易で、ファイル共有に特化している点である。Webサーバのコンテンツやユーザーのホームディレクトリなど、多数のクライアントがファイルを共有する用途に適している。SANと比較して導入コストが低く、管理も比較的容易である。 ストレージネットワークの導入により、いくつかの大きな利点が得られる。第一に、ストレージリソースの集約と共有が可能になる。これにより、容量の利用効率が向上し、ストレージの無駄を削減できる。複数のサーバで同じデータにアクセスできるようになるため、システムの柔軟性が高まる。第二に、高い可用性と耐障害性の実現である。ストレージネットワークでは、ストレージデバイスや接続パスを冗長化することが容易であり、一部のコンポーネントに障害が発生してもシステム全体の停止を防ぐことができる。また、データのバックアップや災害対策のためのレプリケーション(複製)も効率的に行えるようになる。第三に、優れた拡張性である。ストレージ容量や性能が必要になった際、システムを停止することなくストレージを追加したり、既存のストレージプールを拡張したりすることが容易になる。最後に、管理の効率化である。ストレージを一元的に管理できるため、複数のサーバに分散したストレージを個別に管理する手間が省け、運用コストの削減にも寄与する。 ストレージネットワークは、ITインフラの根幹をなす技術として、今後もクラウドサービスとの連携や、データ量の増大に対応するためのソフトウェア定義ストレージ (SDS) の進化など、多様な形で発展していくことが予想される。

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