ストコン (ストコン) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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ストコン (ストコン) の読み方

日本語表記

ストック・コントロール (ストック・コントロール)

英語表記

Stored Control (ストアードコントロール)

ストコン (ストコン) の意味や用語解説

ストコンとは、ストレージコントローラの略であり、ストレージシステムにおいてデータ入出力(I/O)を管理・制御する中核的な装置または機能を指す。システムエンジニアにとって、ストレージシステム全体の性能、信頼性、可用性を理解する上で、ストコンの役割と機能の理解は不可欠である。サーバーと物理的なストレージデバイス(ハードディスクドライブやソリッドステートドライブなど)の間に入り、データの読み書き要求を仲介・処理することで、ストレージシステムが効率的かつ安定して動作することを可能にする。 ストコンの主な役割は、サーバーからのデータアクセス要求を適切に処理し、物理的なストレージデバイスからデータを読み出したり、書き込んだりすることにある。単にデータを転送するだけでなく、データの整合性を保ち、アクセス性能を向上させ、障害発生時のデータ保護を行うなど、多岐にわたる重要な機能を提供する。 詳細にわたるストコンの機能を見ていく。まず、ストコンの最も基本的な機能はデータパス制御である。サーバーから「このデータを読み込みたい」あるいは「このデータを書き込みたい」といったI/Oリクエストが来ると、ストコンはそのリクエストを解釈し、適切なストレージデバイスにアクセスするよう指示を出す。そして、デバイスからのデータをサーバーに返す、あるいはサーバーからのデータをデバイスに書き込むという一連の処理を管理する。 次に、性能向上に大きく寄与するキャッシュメモリの管理機能がある。ストコンは高速なキャッシュメモリを内蔵しており、頻繁にアクセスされるデータや、これから書き込まれるデータを一時的に保持する。これにより、物理ストレージデバイスへの直接アクセスを減らし、データの読み書き速度を大幅に向上させる。例えば、サーバーがデータを要求する際、そのデータがキャッシュメモリにあれば、ディスクから読み出すよりもはるかに高速にデータを返せる。これをリードキャッシュと呼ぶ。また、サーバーからの書き込み要求があった際、まずデータをキャッシュメモリに書き込み、サーバーには書き込み完了を応答し、その後ゆっくりと物理ディスクに書き込むことで、書き込み処理を高速化する。これをライトキャッシュと呼ぶ。ライトキャッシュは揮発性メモリを用いるため、停電などによるデータ消失を防ぐために、バッテリーバックアップや不揮発性メモリが搭載されることが一般的である。 さらに、ストコンはRAID(Redundant Array of Independent Disks)制御を担当する。RAIDは複数の物理ディスクを組み合わせて、あたかも一つの論理ディスクであるかのように見せる技術であり、データの冗長化による信頼性向上や、複数のディスクにデータを分散して書き込むことによる性能向上を実現する。ストコンは、RAIDレベル(RAID 0, 1, 5, 6, 10など)に応じたデータの配置、パリティ計算、ミラーリングといった複雑な処理を自動で行い、障害発生時には失われたデータを再構築する機能も提供する。 LUN(Logical Unit Number)管理もストコンの重要な機能の一つである。物理的なストレージ領域を、サーバーが認識できる論理的な単位に分割し、個々のサーバーに割り当てる。サーバーからは、物理的なディスク構成が見えず、割り当てられたLUNのみが見えるため、ストレージの管理が容易になる。 これらの基本機能に加え、現代のストコンはより高度な機能も提供する。例えば、スナップショット機能は、特定の時点のストレージデータの状態を「静止画像」のように保存する。これは、バックアップやデータ復旧、開発環境でのデータ複製などに利用される。また、レプリケーション機能は、ストレージ内のデータを別のストレージシステムに複製し、災害対策(DR)や高可用性(HA)の実現に貢献する。同期レプリケーションと非同期レプリケーションがあり、それぞれデータ損失のリスクと性能特性が異なる。 ストレージの利用効率を高める機能として、シンプロビジョニングがある。これは、実際に消費する容量だけを割り当て、必要に応じて容量を拡張していく方式であり、初期投資を抑えつつストレージを柔軟に利用できる。また、データ重複排除やデータ圧縮といった機能もストコンに組み込まれており、ストレージ容量の節約とコスト削減に貢献する。特定のアプリケーションやサーバーに対してI/O性能の優先度を設定するQoS(Quality of Service)機能も提供され、重要な業務アプリケーションの安定稼働を支援する。 物理的な構成としては、ストコンは専用のCPU、メモリ、ASIC(特定用途向け集積回路)、そしてサーバーや他のストレージネットワークに接続するためのネットワークインターフェース(Fibre Channel、iSCSI、NVMe-oFなど)で構成されることが一般的である。高い信頼性が求められるため、多くのエンタープライズ向けストレージシステムでは、ストコン自体が二重化(デュアルコントローラ構成)されており、一方のコントローラに障害が発生しても、もう一方が処理を引き継ぐことで、システムの停止を防ぐ仕組みが採用されている。 ストコンは、ストレージシステムの性能、信頼性、拡張性、そしてデータ保護の全てに影響を与える、まさにストレージシステムの「頭脳」である。このため、システムエンジニアがシステム設計や運用を行う際には、ストコンの能力や特性を十分に理解することが、適切なストレージ選択と安定したシステム構築に直結する。

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