システムバス (システムバス) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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システムバス (システムバス) の読み方

日本語表記

システムバス (システムバス)

英語表記

System bus (システムバス)

システムバス (システムバス) の意味や用語解説

システムバスは、コンピュータを構成する主要な電子部品、すなわちCPU(中央演算処理装置)、メインメモリ、そして各種の入出力装置(I/Oデバイス)などを相互に接続し、データや制御信号をやり取りするための共通の伝送路である。コンピュータ内部の各コンポーネントが協調して動作するためには、それらの間で情報を効率的に交換する仕組みが不可欠であり、システムバスはその基盤となる重要な役割を担っている。バスという名称は、複数の乗客が乗り降りする乗り物のバスのように、複数の装置が共通の経路を利用してデータを送受信する様子から来ている。このシステムバスの性能、特にデータ転送速度や一度に転送できるデータ量は、コンピュータ全体の処理能力に直接的な影響を与える。 システムバスは、その役割によって大きく三つの種類に分類される。一つ目はデータバスである。これは、CPUとメモリ、あるいはCPUと入出力装置との間で、処理対象となるデータそのものを送受信するための経路である。データバスの幅、すなわち同時に転送できるビット数が性能を左右する重要な指標となる。例えば、64ビットのデータバスは、32ビットのデータバスに比べて一度に2倍の量のデータを転送できるため、より高速な処理が可能となる。二つ目はアドレスバスである。これは、CPUがデータの読み書きを行う際に、対象となるメインメモリ上の特定の場所(アドレス)や、接続されている入出力装置を識別するための情報を伝達する経路である。アドレスバスの幅は、コンピュータが直接アクセスできるメモリ空間の最大サイズを決定する。例えば、32ビットのアドレスバスを持つシステムでは、2の32乗、すなわち約4ギガバイトまでのメモリ空間を管理することができる。三つ目はコントロールバスである。これは、データバスやアドレスバスの動作を制御し、各装置間の処理のタイミングを調整するための信号を送受信する経路である。CPUからメモリに対してデータの読み込みを指示する信号や書き込みを指示する信号、あるいは入出力装置からの処理要求(割り込み)をCPUに伝える信号などが、このコントロールバスを通じてやり取りされる。これら三つのバスが連携して機能することで、コンピュータ内部の秩序だったデータ交換が実現される。 コンピュータの歴史とともに、システムバスのアーキテクチャも進化を遂げてきた。初期のコンピュータでは、CPU、メモリ、入出力装置といった全てのコンポーネントが一本の共通のバスに接続されるシングルバス方式が主流であった。この方式は構造が単純であるという利点があったが、CPUの性能が向上するにつれて、バスがデータ転送のボトルネックとなり、システム全体の性能向上の妨げとなる問題が顕在化した。この問題を解決するため、用途や速度に応じてバスを複数に分離し、階層化するアーキテクチャが登場した。代表的なものとして、CPUと高速なメモリやキャッシュを接続するための高速な「内部バス(またはプロセッサバス、FSB)」と、比較的低速な周辺機器を接続するための「外部バス(または拡張バス、I/Oバス)」に分離する構成が一般的となった。外部バスの規格としては、古くはISAやEISA、その後PCIやAGPが普及し、現在では高速なシリアル転送方式を採用したPCI Express (PCIe) が主流となっている。さらに近年のコンピュータアーキテクチャでは、性能向上のため、従来チップセットを介していたメモリコントローラをCPUに内蔵し、CPUとメインメモリを専用のメモリバスで直接接続する構成が一般的となっている。また、FSBに代わり、QPIやHyperTransport、Infinity Fabricといったポイント・ツー・ポイント接続の高速インターコネクト技術が採用され、より効率的なデータ転送が実現されている。このように、システムバスはコンピュータの性能を根底から支える基盤技術であり、その構造や規格は、プロセッサ技術の進化と歩調を合わせながら、より高速で効率的なものへと絶えず進化し続けている。

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