システムインテグレーション (システムインテグレーション) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
システムインテグレーション (システムインテグレーション) の読み方
日本語表記
システムインテグレーション (システムインテグレーション)
英語表記
system integration (システムインテグレーション)
システムインテグレーション (システムインテグレーション) の意味や用語解説
システムインテグレーションとは、企業が抱えるITに関する課題を解決するため、複数の異なるIT要素、例えばハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、アプリケーションなどを組み合わせて、一つの機能する情報システムを構築する一連の活動を指す。これは「システムを統合する」という意味合いが込められており、企業の業務を効率化し、競争力を強化するための重要な手段となる。このサービスを提供する専門企業をシステムインテグレーター、あるいはSIer(エスアイアー)と呼ぶことが多い。 現代の企業活動はITなしには成り立たない。しかし、ITシステムは非常に複雑で、技術の進化も速いため、自社のリソースだけで最適なシステムを構築・運用することは困難な場合が多い。そこで、ITに関する専門知識と経験を持つシステムインテグレーターが、顧客のビジネス課題を深く理解し、それに最適なITソリューションを企画、設計、開発、導入、そして運用・保守まで一貫して支援する。 システムインテグレーションのプロセスは、一般的に以下のフェーズで構成される。 まず、「要件定義」がある。このフェーズでは、システムインテグレーターが顧客の業務内容や「困っていること」「実現したいこと」を徹底的にヒアリングし、どのようなシステムが必要で、どのような機能があれば課題が解決できるのかを明確にする。これは「何を作るか」を定める最も重要な工程であり、顧客とシステムインテグレーターの間で認識の齟齬がないよう、具体的な機能や性能、セキュリティ要件などを文書化する。 次に、「設計」フェーズに移る。要件定義で決まった内容を基に、実際にシステムを構築するための設計図を作成する。設計は大きく分けて二段階で行われる。一つは「基本設計」で、システム全体の構造、データベースの構成、画面のレイアウト、他システムとの連携方法など、大まかな設計を行う。これは顧客にも確認してもらい、システムの全体像を理解してもらうための重要な工程である。もう一つは「詳細設計」で、基本設計の内容を基に、プログラマーが実際にコードを書けるレベルまで、個々の機能や処理の流れ、データの扱い方などを具体的に記述する。 設計が完了すると、「開発・実装」フェーズに入る。ここでは、詳細設計書に基づいて、実際にプログラムのコーディングを行う。同時に、システムを動かすために必要なハードウェア(サーバー、PC、周辺機器など)を選定し、設置・設定を進める。また、ネットワーク環境の構築や、システムが利用するデータベースの構築もこのフェーズで行われる。複数の異なるソフトウェアやハードウェアを連携させるための調整も重要な作業となる。 開発されたシステムが要件通りに機能するかを確認するのが「テスト」フェーズである。テストは段階的に行われる。まず「単体テスト」で、個々のプログラムが設計通りに動作するかを確認する。次に「結合テスト」で、複数のプログラムやモジュールが連携して正しく動作するかを検証する。さらに「システムテスト」では、システム全体が要件定義書に記述された機能や性能、セキュリティ要件を満たしているか、実際の利用環境に近い形で総合的に確認する。最後に「受け入れテスト」として、顧客自身がシステムを操作し、期待通りの動作をするかを確認し、問題がなければシステムの受け入れを承認する。 テストを経て承認されたシステムは、「導入・移行」フェーズで実際の業務で使用する本番環境へ導入される。この際、既存システムからのデータ移行作業が必要になることも多く、慎重に進められる。また、システム利用者への操作説明やトレーニングもこのフェーズで実施し、スムーズな運用開始を支援する。 システムが稼働を開始した後は、「運用・保守」フェーズに入る。ここでは、システムが安定して稼働しているかを監視し、障害が発生した際には迅速に対応する。法改正やビジネス環境の変化に応じた機能追加や改修、システムの性能改善、セキュリティ対策の更新なども継続的に行われる。システムを安全かつ安定的に使い続けるためのあらゆる活動が含まれる。 システムインテグレーターは、これらの全工程を通じて、顧客のビジネス課題をIT技術で解決する役割を担う。単に技術的な作業を行うだけでなく、プロジェクト全体の進捗、品質、コスト、リスクを管理し、プロジェクトを成功に導くためのマネジメントも重要な業務となる。また、市場には様々なIT製品や技術が存在するため、それらの中から顧客に最適なものを選択し、組み合わせる専門知識も求められる。このようにシステムインテグレーションは、企業のIT戦略を具現化し、ビジネスの成長を支える上で不可欠な活動であり、システムエンジニアを目指す者にとって、その全体像を理解することは非常に重要である。