仮想IPアドレス(カソウアイピーアドレス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

仮想IPアドレス(カソウアイピーアドレス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

仮想IPアドレス (カソウアイピーアドレス)

英語表記

Virtual IP Address (バーチャルアイピーアドレス)

用語解説

仮想IPアドレスとは、物理的なネットワークインターフェースに直接割り当てられるのではなく、ソフトウェアによって論理的に設定されるIPアドレスのことである。一般的に、高可用性(High Availability: HA)システムやロードバランシングの構成において、サービスを継続的に提供するために利用される。

仮想IPアドレスの基本的な仕組みは、複数の物理サーバーが連携して一つのサービスを提供する場合に、クライアントからのアクセスを受け付ける代表的なIPアドレスとして機能することにある。クライアントは仮想IPアドレスに対してリクエストを送信し、システムはそれを適切な物理サーバーに転送する。もし、いずれかの物理サーバーに障害が発生した場合、仮想IPアドレスは自動的に別の正常なサーバーに引き継がれ、サービスの中断を最小限に抑えることができる。

仮想IPアドレスの実現方法としては、主に以下の二つの方法が挙げられる。一つは、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)やCARP(Common Address Redundancy Protocol)といったプロトコルを用いる方法である。これらのプロトコルは、複数のルーターやサーバー間で仮想IPアドレスを共有し、マスターと呼ばれるアクティブなサーバーが仮想IPアドレスを保持する。マスターサーバーに障害が発生すると、バックアップサーバーが自動的にマスターとなり、仮想IPアドレスを引き継ぐ。もう一つは、ロードバランサーを用いる方法である。ロードバランサーは、クライアントからのリクエストを複数のサーバーに分散させる役割を担う。この際、ロードバランサー自身が仮想IPアドレスを持ち、クライアントからのリクエストを受け付け、それをバックエンドのサーバーに転送する。

仮想IPアドレスを利用するメリットは主に以下の通りである。第一に、サービスの可用性の向上である。サーバーに障害が発生した場合でも、仮想IPアドレスは別のサーバーに引き継がれるため、サービス停止時間を最小限に抑えることができる。第二に、メンテナンス性の向上である。サーバーのメンテナンスを行う際、仮想IPアドレスは別のサーバーに一時的に移動させることができるため、サービスを停止することなくメンテナンス作業を行うことができる。第三に、スケーラビリティの向上である。ロードバランサーと組み合わせて使用することで、トラフィックの増加に応じてサーバーを増やすことが容易になる。

仮想IPアドレスの設定は、OSやミドルウェア、ロードバランサーなど、使用する環境によって異なる。VRRPやCARPを使用する場合は、それぞれのプロトコルの設定ファイルに仮想IPアドレスや優先度などを記述する必要がある。ロードバランサーを使用する場合は、ロードバランサーの設定画面から仮想IPアドレスやバックエンドサーバーの情報を設定する。設定の際には、ネットワークアドレスやサブネットマスク、ゲートウェイなどのネットワークに関する基本的な知識が必要となる。また、セキュリティを考慮し、ファイアウォールなどで不要なポートを閉じるなどの対策も重要となる。

仮想IPアドレスは、現代のITインフラにおいて不可欠な技術の一つである。特に、ビジネス継続性(BCP)の観点から、システムの可用性を高めるための重要な要素として認識されている。システムエンジニアを目指す上で、仮想IPアドレスの仕組みや設定方法について理解しておくことは非常に重要である。

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