仮想LAN(バーチャルラン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

仮想LAN(バーチャルラン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

仮想LAN (バーチャルラン)

英語表記

Virtual LAN (バーチャルラン)

用語解説

仮想LAN(VLAN)とは、物理的なネットワーク構成にとらわれず、論理的にネットワークを分割・グループ化する技術のことである。同一の物理ネットワーク上に、複数の独立したネットワークを構築できるため、ネットワーク管理の効率化やセキュリティ向上に役立つ。

VLANの基本的な仕組みは、ネットワークスイッチが持つVLAN IDという識別子を利用することにある。各ポートにVLAN IDを割り当てることで、特定のVLAN IDを持つポート間でのみ通信を許可する。これにより、物理的には同じネットワークに接続されていても、異なるVLAN IDを持つポート間の通信は遮断される。

VLANにはいくつかの種類がある。最も一般的なのはポートベースVLANであり、これはスイッチのポートにVLAN IDを静的に割り当てる方式である。設定が容易で管理しやすい反面、端末の移動時にVLAN IDを再設定する必要がある。

MACアドレスベースVLANは、端末のMACアドレスに基づいてVLAN IDを割り当てる方式である。端末が移動しても、MACアドレスが変わらなければ所属するVLANは変わらないため、ポートベースVLANに比べて柔軟性が高い。ただし、MACアドレスとVLAN IDの対応付けを管理する必要がある。

IPアドレスベースVLANは、端末のIPアドレスに基づいてVLAN IDを割り当てる方式である。MACアドレスベースVLANと同様に、端末が移動してもIPアドレスが変わらなければ所属するVLANは変わらない。しかし、IPアドレスはDHCPなどによって動的に割り当てられる場合もあるため、IPアドレスの管理が重要になる。

IEEE 802.1Qという標準規格は、VLANを構成する上で重要な役割を果たす。この規格は、イーサネットフレームにVLANタグと呼ばれる情報を付加することで、VLAN IDを識別できるようにする。VLANタグには、VLAN IDに加えて、フレームの優先度を示す情報なども含まれる。

VLANタグが付加されたフレームは、トランクポートと呼ばれる特殊なポートを通過する。トランクポートは、複数のVLAN IDを持つフレームをまとめて伝送できる。これにより、複数のVLANに属する端末が、異なるスイッチに接続されていても、VLAN間での通信が可能になる。

VLANを導入するメリットはいくつかある。まず、ネットワーク管理の効率化である。部門やプロジェクトごとにVLANを分割することで、ネットワークの構成変更や管理作業を特定のVLANに限定できるため、全体への影響を抑えながら作業を進められる。

次に、セキュリティの向上である。VLANによってネットワークを分割することで、特定のVLANに属する端末への不正アクセスを制限できる。例えば、機密情報を扱う部署をVLANで分離することで、他の部署からのアクセスを遮断し、情報漏洩のリスクを低減できる。

さらに、ブロードキャストトラフィックの削減である。ブロードキャストトラフィックは、ネットワーク全体に送信されるため、ネットワークの帯域を圧迫する可能性がある。VLANによってネットワークを分割することで、ブロードキャストドメインを小さくし、ブロードキャストトラフィックの影響範囲を限定できる。

VLANを導入する際の注意点もある。VLAN間の通信を行うためには、ルーティングが必要になる。通常、レイヤ3スイッチやルータを用いてVLAN間のルーティングを行う。VLAN間のルーティング設定を誤ると、通信が正常に行われなくなる可能性があるため、注意が必要である。

また、VLANの設定ミスやVLAN IDの重複などが発生すると、ネットワーク全体に障害が発生する可能性がある。VLANの設定は慎重に行い、設定内容を十分に検証することが重要である。

VLANは、現代のネットワーク環境において、不可欠な技術となっている。ネットワークエンジニアを目指す上で、VLANの基本的な仕組みや種類、メリット、注意点などを理解しておくことは非常に重要である。