仮想NIC(バーチャルエヌアイシー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

仮想NIC(バーチャルエヌアイシー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

仮想NIC (カソウエヌアイシー)

英語表記

virtual NIC (バーチャルエヌアイシー)

用語解説

仮想NIC(Virtual Network Interface Card)とは、物理的なネットワークインターフェースカード(NIC)をソフトウェア的にエミュレートしたもので、仮想環境においてネットワーク接続を実現するために用いられる。物理NICがハードウェアであるのに対し、仮想NICはソフトウェアによって実現される点が大きな違いだ。

仮想NICの最も重要な役割は、仮想マシン(VM)がネットワークにアクセスできるようにすることだ。仮想化技術を用いると、1台の物理サーバ上で複数の仮想マシンを動作させることができる。それぞれの仮想マシンは独立したOSとアプリケーションを持ち、ネットワークに接続するためにはNICが必要となる。しかし、物理サーバに搭載された物理NICの数は限られているため、全ての仮想マシンに物理NICを割り当てることは現実的ではない。そこで、仮想NICが登場する。

仮想NICは、ハイパーバイザと呼ばれる仮想化ソフトウェアによって作成・管理される。ハイパーバイザは、物理NICを仮想化し、複数の仮想NICとして仮想マシンに提供する。各仮想マシンは、自身に割り当てられた仮想NICを通してネットワークにアクセスすることができる。仮想マシンから見ると、仮想NICは物理NICとほぼ同じように見えるため、特別な設定をすることなく、既存のネットワークプロトコルやアプリケーションを利用することができる。

仮想NICにはいくつかの種類がある。代表的なものとして、以下の3つが挙げられる。

  1. ブリッジ接続:仮想NICを物理NICに直接接続する方法。仮想マシンは、物理ネットワーク上の他のデバイスと同じネットワークセグメントに属し、同じIPアドレス範囲を使用する。物理ネットワーク上の他のデバイスと同様に、直接通信することができる。ブリッジ接続は、仮想マシンが物理ネットワーク上の他のデバイスと直接通信する必要がある場合に適している。

  2. NAT(Network Address Translation)接続:仮想NICをハイパーバイザが提供する仮想ネットワークに接続する方法。仮想マシンは、ハイパーバイザが提供するプライベートIPアドレス範囲を使用する。仮想マシンから外部ネットワークへのアクセスは、ハイパーバイザによってNAT変換される。NAT接続は、仮想マシンのIPアドレスを隠蔽し、セキュリティを向上させる効果がある。また、物理ネットワークのIPアドレス範囲を消費しないため、IPアドレスの枯渇を防ぐことができる。

  3. ホストオンリー接続:仮想NICをハイパーバイザが提供するホストOSのみがアクセス可能な仮想ネットワークに接続する方法。仮想マシンは、ホストOSとのみ通信が可能で、外部ネットワークにはアクセスできない。ホストオンリー接続は、仮想マシンを隔離し、安全な環境でテストや開発を行う場合に適している。

仮想NICを利用するメリットはいくつかある。まず、物理NICの数を気にすることなく、必要な数の仮想マシンにネットワーク接続を提供できる。これにより、サーバのリソースを効率的に活用することができる。次に、仮想マシンの移動や複製が容易になる。仮想NICはソフトウェア的に定義されるため、物理的な制約を受けることなく、仮想マシンを別の物理サーバに移動したり、複製したりすることができる。また、仮想NICの設定変更も容易に行うことができる。ネットワーク構成の変更やトラブルシューティングの際に、迅速に対応することができる。さらに、仮想NICを利用することで、ネットワークセキュリティを向上させることができる。例えば、仮想マシンを隔離したり、特定のトラフィックを制限したりすることで、セキュリティリスクを軽減することができる。

仮想NICの設定は、ハイパーバイザによって異なる。一般的には、ハイパーバイザの管理コンソールから、仮想マシンのネットワーク設定を変更することで、仮想NICの種類やIPアドレス、MACアドレスなどを設定することができる。また、仮想NICのドライバは、通常、ハイパーバイザに同梱されているため、別途インストールする必要はない。

仮想NICは、仮想化環境において不可欠な要素であり、その種類や設定方法を理解することは、システムエンジニアにとって非常に重要だ。仮想NICを適切に活用することで、サーバのリソースを効率的に活用し、ネットワークセキュリティを向上させることができる。