仮想化(カソウカ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

仮想化(カソウカ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

仮想化 (カソウカ)

英語表記

Virtualization (ヴァーチャライゼーション)

用語解説

仮想化とは、物理的なハードウェア資源を抽象化し、複数の独立した環境として利用できるようにする技術のこと。システムエンジニアを目指す上で、仮想化の理解は不可欠と言える。

仮想化の概要としては、まず物理サーバー、ストレージ、ネットワークといったハードウェア資源をソフトウェアによって分割・統合し、あたかも複数の独立したシステムであるかのように見せる点を押さえる必要がある。これにより、1台の物理サーバー上で複数のオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションを同時に実行することが可能になる。この技術によって、サーバーの利用効率が向上し、インフラの運用コスト削減にも繋がる。

より詳細な仕組みを見ていくと、仮想化にはいくつかの種類があることがわかる。代表的なものとして、以下の3つが挙げられる。

  1. ハードウェア仮想化(ハイパーバイザー型): これは、物理サーバーのハードウェア上にハイパーバイザーと呼ばれる仮想化ソフトウェアを直接インストールし、その上で複数の仮想マシン(VM)を動作させる方式だ。ハイパーバイザーは、各VMにCPU、メモリ、ストレージなどのハードウェア資源を割り当て、VM間のリソース競合を調整する役割を担う。代表的なハイパーバイザーとしては、VMware ESXiやMicrosoft Hyper-Vなどがある。ハードウェア仮想化のメリットは、各VMが独立したOSを持つため、互いのVMに影響を与えにくい点だ。また、高いパフォーマンスを発揮しやすいという利点もある。

  2. OS仮想化(コンテナ型): この方式では、OSのカーネルを共有し、その上で複数の独立したコンテナを動作させる。各コンテナは、アプリケーションとその実行に必要なライブラリや設定ファイルなどをパッケージ化して保持する。ハードウェア仮想化と異なり、各コンテナは独自のOSを持たないため、より軽量で高速に動作するのが特徴だ。代表的なコンテナ技術としては、DockerやKubernetesなどがある。OS仮想化は、アプリケーションの開発・デプロイメントを効率化する上で非常に有効な技術であり、近年、クラウドネイティブな環境で広く利用されている。

  3. アプリケーション仮想化: これは、アプリケーションを物理環境から切り離し、仮想環境で実行する方式だ。アプリケーションは、サーバー上で実行され、ユーザーはネットワークを通じてその画面を操作する。これにより、ユーザーは自身のPCにアプリケーションをインストールする必要がなくなり、管理者はアプリケーションの一元管理が可能になる。Citrix Virtual AppsやVMware Horizonなどが代表的な製品として挙げられる。

仮想化のメリットは多岐にわたる。まず、サーバー統合によるコスト削減効果は大きい。複数の物理サーバーを1台の物理サーバーに集約することで、ハードウェアの購入費用、電気代、設置スペースなどを削減できる。また、システムの可用性向上にも貢献する。仮想化環境では、VMのライブマイグレーション(稼働中のVMを別の物理サーバーに移動させる技術)が可能になるため、物理サーバーのメンテナンス時にもシステムを停止させることなく運用を継続できる。さらに、災害対策(DR)環境の構築も容易になる。VMのバックアップやレプリケーションを簡単に行えるため、万が一の災害時にも迅速な復旧が可能になる。

仮想化技術は、現代のITインフラにおいて基盤となる技術であり、クラウドコンピューティングの発展にも大きく貢献している。クラウド環境では、仮想化技術を活用することで、必要な時に必要な分だけのコンピューティング資源を柔軟に利用できる。システムエンジニアを目指す上で、仮想化の原理原則を理解し、様々な仮想化技術を使いこなせるようになることは、非常に重要なスキルとなる。