ウェハ(ウエハ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
ウェハ(ウエハ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ウェーハ (ウェーハ)
英語表記
wafer (ウエハー)
用語解説
ウェハとは、半導体集積回路(IC)や太陽電池などを製造するための基板となる薄い円盤状の板のことである。シリコン、炭化ケイ素、サファイアなどの材料で作られる。半導体デバイス製造の出発点であり、ウェハ上に回路パターンを形成し、様々な加工を施すことで、最終的な半導体製品が完成する。
ウェハは、まず高純度のシリコンなどの材料を溶解し、結晶成長させてインゴットと呼ばれる円柱状の塊を作ることから始まる。このインゴットを薄くスライスすることでウェハが得られる。スライスされたウェハは、研磨、洗浄などの工程を経て、表面の平坦性や清浄度を高められる。これらの処理によって、ウェハ上に微細な回路パターンを正確に形成するための準備が整う。
ウェハの製造プロセスは、高度な技術と厳密な品質管理を必要とする。ウェハの品質は、最終的な半導体デバイスの性能や歩留まりに大きく影響するためである。ウェハの表面に傷や不純物があると、回路の形成不良やデバイスの動作不良を引き起こす可能性がある。そのため、ウェハの製造工程では、厳密な検査が行われ、高品質なウェハのみが半導体デバイスの製造に使用される。
ウェハのサイズは、直径で表され、300mm(12インチ)ウェハが現在の主流となっている。以前は200mm(8インチ)ウェハが主流であったが、より大きなウェハを使用することで、一度に製造できるチップの数を増やし、生産効率を向上させることができるため、大口径化が進んでいる。ウェハの大口径化は、半導体製造装置の技術革新によって支えられており、より高度な製造技術が求められる。
ウェハ上には、フォトリソグラフィと呼ばれる技術を用いて回路パターンが形成される。フォトリソグラフィとは、ウェハ上に感光性の材料(フォトレジスト)を塗布し、回路パターンが描かれたマスクを通して光を照射することで、フォトレジストに回路パターンを焼き付ける技術である。この工程を繰り返すことで、ウェハ上に多層の回路が形成される。
回路パターンが形成されたウェハは、エッチング、成膜、ドーピングなどの様々な加工工程を経て、半導体デバイスが作製される。エッチングは、不要な部分の材料を除去する工程であり、成膜は、薄い膜を形成する工程である。ドーピングは、半導体の電気的特性を制御するために、不純物を添加する工程である。これらの工程を組み合わせることで、トランジスタや配線などの半導体デバイスの構成要素がウェハ上に作り込まれる。
ウェハ上に多数の半導体デバイスが作製された後、ウェハは個々のチップに切り分けられる。この工程をダイシングと呼ぶ。ダイシングされたチップは、パッケージングと呼ばれる工程を経て、外部と電気的に接続するための端子が取り付けられる。パッケージングされたチップは、最終的な半導体製品として、様々な電子機器に組み込まれる。
ウェハは、半導体デバイスの製造において、非常に重要な役割を担っている。ウェハの品質や製造技術の向上は、半導体デバイスの高性能化や低コスト化に大きく貢献する。そのため、ウェハに関する研究開発は、半導体産業において非常に重要な位置を占めている。新しい材料や製造技術の開発によって、より高性能で低コストなウェハが実現されれば、半導体デバイスの性能もさらに向上し、様々な分野での応用が広がることが期待される。例えば、AI、IoT、自動運転などの分野では、高性能な半導体デバイスが不可欠であり、ウェハ技術の進歩がこれらの分野の発展を支えることになる。