ウォームサイト(ウォームサイト)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
ウォームサイト(ウォームサイト)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ウォームサイト (ウォームサイト)
英語表記
warm site (ウォームサイト)
用語解説
ウォームサイトとは、災害やシステム障害などの緊急事態が発生した際に、事業継続(BCP)を可能にするためのバックアップシステムの一形態である。
ウォームサイトは、コールドサイト、ホットサイトと並び称されることが多い。これらの違いは、バックアップシステムの稼働準備状況にある。コールドサイトは、建物や電源設備など、システムを稼働させるための最低限のインフラのみが用意されている状態を指す。ホットサイトは、本番環境とほぼ同等のシステムが常に稼働状態にあり、即座に切り替えが可能な状態を指す。ウォームサイトは、この中間に位置し、コールドサイトよりは設備が整っており、ホットサイトよりはコストを抑えられるのが特徴だ。
具体的には、ウォームサイトには、サーバーやネットワーク機器などのハードウェアが事前に設置されていることが多い。ただし、ソフトウェアやデータは定期的にバックアップされ、必要に応じてリストアされる。ホットサイトのようにリアルタイムでデータが同期されているわけではないため、切り替えにはある程度の時間を要する。しかし、コールドサイトのようにゼロからシステムを構築する必要はないため、比較的短時間でシステムを復旧させることができる。
ウォームサイトの構築には、いくつかの考慮事項がある。まず、復旧目標時間(RTO:Recovery Time Objective)を明確に定める必要がある。RTOとは、システム停止後、どれくらいの時間で復旧させなければならないかという目標値である。ウォームサイトの構築は、このRTOを達成できるように設計されるべきだ。RTOが短いほど、ホットサイトに近い構成が必要となり、コストも高くなる。
次に、バックアップ頻度とリストア手順を定める必要がある。ウォームサイトでは、データは定期的にバックアップされる。バックアップ頻度は、データの重要度や変更頻度によって決定される。また、リストア手順は、緊急時に迅速かつ正確にシステムを復旧させるために、詳細に記述され、定期的にテストされるべきだ。
さらに、ウォームサイトの物理的な場所も重要である。本番環境と同一の地域にウォームサイトを設置すると、広域災害が発生した場合に、両方のシステムが同時に停止してしまう可能性がある。そのため、ウォームサイトは、本番環境とは異なる、地理的に離れた場所に設置することが望ましい。
ウォームサイトは、事業継続計画(BCP)の中核をなす要素の一つである。BCPとは、企業が災害やシステム障害などの緊急事態に遭遇した場合でも、事業を継続できるようにするための計画である。ウォームサイトは、BCPにおけるシステム復旧戦略の重要な選択肢となり得る。
ウォームサイトのメリットとしては、コストと可用性のバランスが取れている点が挙げられる。ホットサイトに比べて初期費用や運用コストを抑えながら、コールドサイトよりも迅速なシステム復旧が可能となる。また、定期的なバックアップとリストアのテストを通じて、システム運用能力の向上にもつながる。
一方、デメリットとしては、ホットサイトに比べて復旧に時間がかかる点が挙げられる。また、バックアップ頻度によっては、データ損失が発生する可能性がある。そのため、ウォームサイトの導入にあたっては、RTOやデータ損失許容度などを十分に検討する必要がある。
ウォームサイトは、中小企業から大企業まで、幅広い規模の企業で導入されている。特に、RTOが数時間から数日程度で許容されるシステムや、コストを抑えつつもある程度の可用性を確保したい場合に適している。
近年では、クラウドサービスの普及により、ウォームサイトの構築も容易になっている。クラウドプロバイダーは、多様なバックアップサービスやディザスタリカバリーサービスを提供しており、これらのサービスを活用することで、自社でハードウェアを準備することなく、ウォームサイトを構築することが可能となる。
ウォームサイトは、事業継続のための重要な戦略の一つであり、適切な計画と運用によって、企業の事業継続性を高めることができる。システムエンジニアを目指す上で、ウォームサイトの概念と構築方法を理解しておくことは、非常に重要であると言えるだろう。