ウェブシステム(ウェブシステム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
ウェブシステム(ウェブシステム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ウェブシステム (ウェブシステム)
英語表記
web system (ウェブシステム)
用語解説
ウェブシステムとは、インターネットを通じてWebブラウザから利用できる情報システムの総称である。ユーザーは特別なソフトウェアを個別にインストールすることなく、パソコンやスマートフォンなどの端末に標準搭載されたWebブラウザさえあれば、世界中のどこからでもシステムにアクセスし、その機能を利用できる点が最大の特徴だ。これにより、情報の共有や処理が場所や時間に縛られずに行える。伝統的なデスクトップアプリケーションが個々の端末上で動作し、その端末に限定された機能を提供するのに対し、ウェブシステムはサーバー上で動作するアプリケーションと、それを表示・操作するためのWebブラウザが連携することで成立している。この仕組みにより、システムの一元管理が可能となり、機能の更新やセキュリティパッチの適用が容易になるほか、複数ユーザー間でのデータ共有や協調作業が効率的に行えるようになる。例えば、オンラインショッピングサイトやSNS、企業内で利用される勤怠管理システムや顧客管理システムなども、すべてウェブシステムの一種である。
ウェブシステムは、一般的にクライアント、Webサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバーという複数の要素が連携して機能する。クライアントとは、ユーザーが操作するWebブラウザのことであり、HTML、CSS、JavaScriptなどの技術を用いて表示される画面を通じてユーザーからの入力を受け付け、Webサーバーへとリクエストを送信する役割を担う。
Webサーバーは、クライアントからのHTTPまたはHTTPSプロトコルによるリクエストを受け付け、静的なコンテンツ、例えば画像ファイルやHTMLファイルなどを直接クライアントに返したり、動的な処理が必要な場合にはそのリクエストをアプリケーションサーバーへと転送したりする。WebサーバーとしてはApache HTTP ServerやNginxなどが広く利用されている。
アプリケーションサーバーは、ウェブシステムの中心的なロジックを処理する部分である。Webサーバーから転送されたリクエストに基づき、ユーザー認証、データ処理、計算処理など、システム固有のビジネスロジックを実行する。この処理には、Java、Python、PHP、Ruby、Node.jsといったプログラミング言語が用いられ、Spring Framework、Django、Laravel、Ruby on Rails、Express.jsなどのフレームワークが開発効率を高めるために利用されることが多い。アプリケーションサーバーは、必要に応じてデータベースサーバーと通信し、データの読み書きを行う。
データベースサーバーは、ウェブシステムで取り扱うあらゆるデータを永続的に保存し管理する役割を担う。ユーザー情報、商品データ、注文履歴など、システムが動作するために不可欠な情報を格納しており、アプリケーションサーバーからの要求に応じてデータの検索、挿入、更新、削除といった操作を提供する。代表的なデータベースとしては、MySQL、PostgreSQL、Oracle Databaseといったリレーショナルデータベースや、MongoDBのようなNoSQLデータベースがある。
これらの要素が連携する際の典型的な動作は以下のようになる。まず、ユーザーがWebブラウザでURLを入力したりリンクをクリックしたりすると、WebブラウザはWebサーバーに対してHTTPリクエストを送信する。Webサーバーはこのリクエストを受け取ると、要求されたリソースが静的なものであれば直接Webブラウザに返し、動的な処理が必要な場合はアプリケーションサーバーに処理を依頼する。アプリケーションサーバーは、依頼された処理を実行する過程で、必要に応じてデータベースサーバーからデータを取得したり、データを保存したりする。処理が完了すると、アプリケーションサーバーは結果をHTML形式などのWebブラウザで表示可能な形式に整形し、Webサーバーへと返す。Webサーバーはこれを受け取り、最終的にWebブラウザへと応答として送信する。Webブラウザはこの応答を受け取ると、内容を解析し、ユーザーの画面に表示する。
ウェブシステムの開発においては、単に機能を実現するだけでなく、いくつかの重要な点を考慮する必要がある。第一に、セキュリティ対策は最も重要だ。ユーザーデータの保護や不正アクセスからの防御のため、認証・認可の仕組み、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった脆弱性への対策が必須となる。次に、パフォーマンスとスケーラビリティも重要な要素である。システムが多くのユーザーからのアクセスを処理できるよう、応答速度の最適化や、将来的な利用者増加に対応できる設計が求められる。また、システムが常に利用可能であること(可用性)も重要であり、障害発生時の迅速な復旧や、複数のサーバーを連携させて稼働を継続する冗長化構成の検討が必要となる。さらに、システムの保守性や拡張性、そしてユーザーが直感的に操作できるユーザビリティも、長期的な運用を成功させるためには欠かせない要素である。ウェブシステムは、これらの多岐にわたる技術と考慮事項が複雑に絡み合って構築されており、システムエンジニアを目指す者にとって、その全体像を理解することは非常に重要だ。