ゼロデイ攻撃 (ゼロデイコウゲキ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
ゼロデイ攻撃 (ゼロデイコウゲキ) の読み方
日本語表記
ゼロデイ攻撃 (ゼロデイコウゲキ)
英語表記
zero-day attack (ゼロデイアタック)
ゼロデイ攻撃 (ゼロデイコウゲキ) の意味や用語解説
ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアやハードウェアに存在する、まだ一般に知られていない、あるいは開発元(ベンダー)によって修正プログラム(パッチ)が提供されていない脆弱性(セキュリティ上の欠陥)を狙って行われるサイバー攻撃のことだ。この「ゼロデイ」という名称は、脆弱性が公になってから、それに対応する修正プログラムが開発・提供されるまでの日数が「ゼロ日」、つまりベンダーに対策を講じる猶予が全くない状態を意味する。攻撃者は、開発元やセキュリティベンダーがその脆弱性の存在を認識する前に、あるいは認識していても対策が間に合わない期間を狙って攻撃を仕掛けるため、従来のセキュリティ対策では非常に防ぎにくい点が特徴である。これは、ユーザーやシステム管理者が脆弱性の存在を知らないまま、あるいは知っていても対処できないまま攻撃を受けることを意味し、極めて危険な脅威として認識されている。 詳細に入ると、ゼロデイ攻撃は、まず攻撃者が自ら未発見の脆弱性を見つけ出すか、あるいはダークウェブなどで高額な金銭と引き換えに脆弱性情報やそれを悪用するコード(エクスプロイトコード)を購入・入手することから始まる。この脆弱性は、OS(Windows, macOSなど)、ウェブブラウザ(Chrome, Firefoxなど)、オフィスソフト(Microsoft Officeなど)、各種アプリケーション、あるいはネットワーク機器(ルーター、ファイアウォールなど)といった、様々なソフトウェアやハードウェアに存在する可能性がある。攻撃者は、入手した脆弱性を悪用する具体的なエクスプロイトコードを準備し、これをマルウェア(悪意のあるソフトウェア)に組み込んだり、悪意のあるウェブサイトに仕込んだりする。そして、標的となるユーザーが、例えば不審なメールに添付されたファイルを開いたり、改ざんされたウェブサイトを閲覧したり、特定の脆弱なアプリケーションを使用したりした際に、その脆弱性が悪用され、ユーザーのシステムに不正に侵入される。この一連の攻撃が、ベンダーが脆弱性の存在を認識し、修正パッチを開発して提供するまでの「ゼロ日」またはごく短い期間に行われるため、ユーザーは防御策を講じる機会がほとんどない状態で攻撃を受けてしまうのだ。 この攻撃の最も危険な点は、既存のセキュリティ対策が効果を発揮しにくいことにある。一般的なアンチウイルスソフトや侵入検知システム(IDS/IPS)は、既知の脆弱性やマルウェアのパターン(シグネチャ)に基づいて脅威を検出・防御する。しかし、ゼロデイ攻撃で狙われる脆弱性は「未知」のものであるため、これらのシグネチャベースの防御では検知が困難だ。そのため、企業や組織のシステム管理者や一般ユーザーは、攻撃を受けていることに気づかないまま、情報漏洩、システム破壊、データ改ざん、あるいはシステム乗っ取りといった深刻な被害を受けるリスクに晒される。攻撃者は、国家機関、大企業、重要インフラなど、機密情報や経済的価値の高いデータを狙うことが多いが、広く普及しているソフトウェアの脆弱性が悪用された場合、不特定多数の一般ユーザーも無差別に標的となる可能性がある。その結果、広範囲にわたる甚大な被害につながる恐れがある。また、一度侵入を許してしまうと、システムの深部に入り込まれ、継続的に情報を窃取されたり、他のシステムへの足がかりにされたりすることもある。 ゼロデイ攻撃への対策は非常に難しいが、被害を最小限に抑えるための多層的な防御策を講じる必要がある。まず、ベンダーから提供されるセキュリティパッチは、発見された脆弱性への対応として極めて重要であるため、常に最新のパッチを適用し、ソフトウェアやOSを最新の状態に保つことが基本中の基本となる。しかし、ゼロデイ攻撃の特性上、パッチが提供される前に攻撃が実行されるため、これだけでは防御として不十分だ。そこで、振る舞い検知やAI(人工知能)を活用した次世代のセキュリティソリューションの導入が有効となる。これらは、既知のパターンに依存せず、プログラムの異常な挙動や不審な通信をリアルタイムで監視することで、未知の脅威を検知しようとする。また、ネットワークの入口と出口で不正な通信を監視するファイアウォールやIDS/IPSを適切に設定し、多層的な防御体制を構築することも重要だ。エンドポイント(PCやサーバーなど)においても、エンドポイント検知・対応(EDR)ソリューションを導入し、不審な挙動を検知・記録・対応できる体制を整えることが望ましい。システム利用者自身も、不審なメールの添付ファイルを開かない、信頼できないウェブサイトにはアクセスしない、提供元不明のソフトウェアをインストールしない、といった基本的なセキュリティ意識を高く持つことが求められる。さらに、システム設計においては、最小権限の原則を適用し、万一の侵入時にも被害範囲が拡大しないような工夫を凝らすことも有効である。定期的なシステム監査や脆弱性診断を通じて、潜在的なリスクを洗い出し、常にセキュリティレベルの向上に努めることが、ゼロデイ攻撃の脅威からシステムを守るための鍵となる。インシデント発生時には、迅速な被害状況の把握と対応、そして根本的な原因の特定と対策を講じるための体制を事前に整えておくことも不可欠である。