【ITニュース解説】3Dプリント素材の弾性を利用する

2025年02月19日に「Gihyo.jp」が公開したITニュース「3Dプリント素材の弾性を利用する」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

3Dプリンターで弾性を持つ素材を活用し、様々な部品を製作する事例を紹介。スナップフィット部品は、はめ込みの容易さと固定力を両立。サイドリリースバックルは、ワンタッチで着脱可能。バネを利用したラッチは、部品同士を固定する。これらの応用で、複雑な機構を一体成形で実現できる。

ITニュース解説

3Dプリンターで作成する部品は、従来は硬いものが一般的だったが、材料の弾性を利用することで、より機能的な部品を作れるようになっている。この記事では、3Dプリント材料の弾性を活用した具体的な例として、スナップフィット部品、サイドリリースバックル、バネを利用したラッチの3つを紹介する。

まず、スナップフィット部品について説明する。スナップフィットは、部品同士を工具を使わずに、はめ込むだけで固定できる構造のことだ。プラスチックモデルや家電製品など、身の回りの様々な製品に使われている。3Dプリンターでスナップフィットを作る場合、材料の弾性が重要になる。突起部分を押し込む際に、材料が適度にたわみ、元の形状に戻ることで、しっかりと固定される。記事では、実際の3Dモデルの例を挙げ、設計のポイントを解説している。具体的には、突起の形状、角度、材料の選択などが重要になる。突起の形状は、押し込みやすさと固定強度に影響する。角度は、部品同士がスムーズに嵌合するように調整する必要がある。材料は、柔軟性と耐久性を考慮して選ぶ必要がある。例えば、ABS樹脂やナイロン樹脂などが適している。スナップフィット部品を設計する際には、嵌合する相手側の部品とのクリアランス(隙間)も考慮する必要がある。クリアランスが小さすぎると、嵌合しにくくなり、大きすぎると、固定が緩くなる。適切なクリアランスは、材料や部品の形状によって異なるため、試作を繰り返して調整することが重要だ。

次に、サイドリリースバックルについて説明する。サイドリリースバックルは、リュックサックやベルトなどに使われている、左右から押すことでロックが外れるバックルのことだ。3Dプリンターでサイドリリースバックルを作る場合も、材料の弾性が重要な役割を果たす。ロック機構部分に、適度な弾性を持たせることで、スムーズな着脱が可能になる。記事では、バックルの構造と、各部品の役割を解説している。具体的には、バックルの本体、オス側のパーツ、ロック機構の3つの部分から構成されている。ロック機構は、オス側のパーツを固定する役割を持ち、材料の弾性を利用して、ロックと解除を行う。サイドリリースバックルを設計する際には、ロック機構の強度と耐久性を考慮する必要がある。強度が不足すると、使用中にロックが外れてしまう可能性がある。耐久性が不足すると、繰り返し使用することで、ロック機構が破損してしまう可能性がある。適切な材料を選択し、ロック機構の形状を工夫することで、強度と耐久性を向上させることができる。例えば、POM(ポリアセタール)樹脂は、耐摩耗性に優れており、ロック機構に適している。

最後に、バネを利用したラッチについて説明する。ラッチは、扉や蓋などを固定するために使われる部品で、バネの力でロック機構が動作する。3Dプリンターでバネを利用したラッチを作る場合、バネ部分に、適度な弾性と強度を持たせる必要がある。記事では、バネの形状や材料の選び方を解説している。具体的には、コイルバネや板バネなど、様々な形状のバネがある。コイルバネは、比較的大きな変形に耐えることができ、板バネは、小さなスペースに配置することができる。バネの材料としては、金属製のバネ鋼が一般的だが、3Dプリンターで作成する場合は、TPU(熱可塑性ポリウレタン)などの弾性のある樹脂を使用することができる。バネの設計においては、バネ定数(バネの硬さ)を考慮する必要がある。バネ定数が大きすぎると、操作に大きな力が必要になり、小さすぎると、ロックが甘くなる。適切なバネ定数は、ラッチの用途やサイズによって異なるため、試作を繰り返して調整することが重要だ。また、ラッチ全体の強度も重要になる。特に、ロック機構が動作する部分には、大きな力がかかるため、強度を十分に確保する必要がある。

これらの例からわかるように、3Dプリンターで部品を作る際に、材料の弾性を考慮することで、より複雑で機能的な部品を設計できる。特に、スナップフィット、バックル、ラッチなどの機構部品においては、材料の弾性が重要な役割を果たす。3Dプリンターの可能性を広げる上で、材料の特性を理解し、設計に活かすことは非常に重要だ。今後、さらに多様な材料が登場することで、3Dプリンターで作れる部品の幅はますます広がっていくと考えられる。システムエンジニアを目指す上で、3Dプリンターの知識、特に材料に関する知識は、設計の幅を広げ、新たなアイデアを生み出す上で役立つだろう。

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