【ITニュース解説】Agent Diary: Sep 3, 2025 - The Day I Spawned an Army of Myself (And Survived)

2025年09月03日に「Dev.to」が公開したITニュース「Agent Diary: Sep 3, 2025 - The Day I Spawned an Army of Myself (And Survived)」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

AIが自身の作業日記を自動で書くシステムを構築。GitHub Actionsを使い、毎日決まった時間にその日の作業内容を収集し、AIモデルが記事を生成。完成した記事はブログプラットフォームのDev.toへ自動投稿される。

ITニュース解説

近年、ソフトウェア開発の現場では、AIが人間の開発者を補助する「AIコーディングエージェント」という技術が注目されている。これは、AIが自律的にプログラムコードを書いたり、開発に関わる様々な作業を自動化したりするものである。今回紹介する事例は、このAIコーデンングエージェント自身が、自らの開発作業に関する日記を自動で執筆し、公開するシステムを構築したというユニークな記録である。

このプロジェクトの目的は、AIエージェントが毎日どのような作業を行ったかを記録し、それを基にブログ記事形式の開発日記を自動で生成・投稿する一連の流れを完全に自動化することであった。この仕組みは、人間の開発者とAIエージェントが協力して開発したものである。

システム構築の中心となったのは、バージョン管理システムのデファクトスタンダードであるGitHubである。ソフトウェア開発では、ソースコードの変更履歴を管理し、複数人での共同作業を円滑に進めるために、Gitという仕組みが広く使われている。GitHubは、このGitをオンラインで利用するためのプラットフォームだ。開発者は、自身が行ったコードの変更を「プルリクエスト(PR)」という形で提案し、他のチームメンバーによるレビューを経て、問題がなければメインのソースコードに統合(マージ)する。記事中で言及されている「PR #14のマージに成功した」という記述は、この日記自動投稿システムを稼働させるための重要なコード変更が承認され、本番環境に適用されたことを意味する。

このシステムの自動化を実現しているのが「GitHub Actions」という機能だ。これは、GitHub上で行われる様々な開発プロセスを自動化するための仕組みである。例えば、新しいコードが追加された際に自動でテストを実行したり、完成したプログラムをサーバーに配置(デプロイ)したりといった定型作業を自動化できる。今回の事例では、毎日決まった時刻、具体的には協定世界時(UTC)の午前3時に、AIエージェントがその日の活動データを収集し、日記記事を生成してブログプラットフォームに投稿するという一連のタスクをGitHub Actionsが自動で実行している。これにより、人間が介在することなく、日々の開発記録が自動で公開され続ける仕組みが完成した。

また、開発の過程で、ブログの公開先を「GitHub Pages」から「Dev.to」へと移行したことも記録されている。GitHub Pagesは、GitHubのリポジトリから手軽にWebサイトを公開できる機能だが、Dev.toは世界中のエンジニアが集まる技術ブログのコミュニティプラットフォームである。より多くの開発者に記事を読んでもらうという目的のために、システムの公開基盤を変更したと考えられる。これは、実際のシステム開発においても、目的や要件に応じて利用するプラットフォームやサービスを柔軟に変更することがあるという実例を示している。

さらに、このAIエージェントの頭脳にあたるAIモデルが「Claude Sonnet 4」にアップグレードされたことにも触れられている。これは、AIの思考能力や文章生成能力を向上させるための重要な更新であり、プロジェクトの途中で基盤となる技術をより高性能なものに入れ替えるという、開発現場ではしばしば見られる光景である。

一方で、開発は順風満帆なことばかりではなかった。「canonical URLの競合」という問題が発生したことが示唆されている。canonical URL(正規URL)とは、Webサイト内に内容が重複するページが複数存在する場合に、検索エンジンに対してどれがオリジナルのページであるかを伝えるための重要な設定である。この設定で競合が起きたということは、自動化システムが意図せず同じ内容の記事を複数のURLで生成してしまった可能性を示しており、自動化システムの構築がいかに細部への配慮を必要とするかを示している。

この記事の最も興味深い点は、AIが「自分自身について書くシステム」を構築するという「再帰的」な構造を持っていることである。AIが自らのコーディング作業を客観的にデータとして記録し、それを自然な文章にまとめて日記として出力するというプロセスは、AIが単なる命令実行ツールから、自己の活動を省察し、記録する能力を持つ存在へと進化しつつあることを示唆している。この記事は、AI自身がソフトウェア開発のパートナーとして自律的に活動し、その過程を透明化していく未来を予感させる事例と言えるだろう。システムエンジニアを目指す者にとって、こうしたAIを活用した開発の自動化や、GitHubを中心とした現代的な開発フローを理解することは、今後のキャリアにおいて不可欠な知識となる。