【ITニュース解説】Two Days, One App: How AI Turned Me into an Under‑8 Tennis Umpire
2025年09月04日に「Dev.to」が公開したITニュース「Two Days, One App: How AI Turned Me into an Under‑8 Tennis Umpire」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
テニス審判の依頼に戸惑った筆者は、8歳以下試合のスコア管理アプリを開発。ChatGPTやClaudeなどのAIとコーディングツールを活用し、わずか2日間で完成させた。このアプリは審判の不安を解消し、App Store公開に至った。AIと少しの努力で役立つものを生み出せる実例だ。
ITニュース解説
このニュース記事は、ごく普通の人がAIの力を借りて、わずか二日間で実用的なアプリを開発し、そのアプリが実際の生活でどのように役立ったかを描いている。筆者はある週末、地元のテニスコーチから急遽、8歳以下のリーグ戦の審判を依頼された。彼はかつてサッカーの審判で苦い経験があり、再びその役目を務めることに強い不安を感じていたが、自分の息子も出場することもあり、引き受けることにした。
準備期間は実質たった8時間しかなかった。筆者はスコアを間違える、保護者から指摘される、子供たちが不安を感じるといった最悪のシナリオを想像し、落ち着かない気持ちになっていた。この不安を解消するため、彼はアンダー8のルールを確認し、スコアを記録するツールを作り、コールを練習するという三段階の計画を立てた。そしてその時、スコア記録ツールをAIの力を借りて作れるのではないかというアイデアがひらめいたのだ。
開発のスタートは、テニスのアンダー8ルールと、必要なアプリの機能を箇条書きでChatGPTに与えることから始まった。例えば、「プレイヤーの名前を入力する」「どちらが最初にサーブするか選択する」「試合開始ボタンを押す」といった試合の設定、「10ポイントで試合終了」「最初のサーブは右側から」「その後は2ポイントごとにサーブを交代し、左側から打つ」「ポイントごとに選手はサイドを交代する」「6ポイントごとにコートの端を交代する」といった採点ルール、そして「スコア」「サーブを打つ選手」「サーブを打つべきサイド」を表示するといったユーザーインターフェースの要件を提示した。これらは決して整った形式ではなかったが、ChatGPT-4はこれをコーディングエージェントが理解しやすい、構造化されたプロンプトへと変換する役割を果たした。
次に、筆者はCursorというAIコーディングツールを起動し、Claude 3.7 SonnetというAIエージェントと連携させた。彼らは開発計画を立てるためにアイデアを出し合い、いくつかのやり取りを経て、しっかりとした計画ができた。その後、筆者はClaudeにReactコードとVercelを使ったデプロイ環境のセットアップを依頼し、開発は本格的に始まった。
開発は反復的なプロセスで行われた。まずアプリをロードし、仮想のラリーを試してみる。そこで「『エンドチェンジ』のアラートをオレンジ色に点滅させることはできないか」といった改善点を見つける。その修正点を普通の言葉でAIエージェントに伝え、エージェントがコードを修正する。そして、アプリを更新して結果を確認する、というサイクルを繰り返した。このプロセスにより、二日目の深夜にはアプリが稼働する状態になった。開発されたアプリは、まだ粗削りな部分もあったが、スマートフォンで問題なく動作するのを見た筆者は、確かな満足感を得たという。完成後すぐにコーチにアプリのリンクを送ると、コーチからは「素晴らしい!」という感嘆の返信が届き、筆者の自信につながった。
そして迎えた試合当日、筆者は開発したアプリを手にコートに立った。他の審判をしている父親からも「スコアリングの宿題は済ませたのかい?」と聞かれ、アプリを見せると、エンドチェンジの指示やポイントの取り消し機能に驚いていた。筆者は彼にもリンクを送り、審判台へ向かった。試合が始まると、アプリは的確にスコアを表示し、サーブを打つべきサイドを指示してくれた。選手が間違った場所に立っても、「矢印が左側と言っているよ」と伝えるだけで、スムーズに試合を進行できた。6ポイントごとのエンドチェンジもアプリの指示で自然に行われた。15分後、筆者は落ち着いて「ゲーム、ケビンが10対7で勝ちました」とコールし、子供たちはネット越しに握手をした。この時、筆者はシンプルなアプリと少しの集中力で、すべてがうまくいくことを実感したという。
その後、このアプリはReact Nativeを使って書き直され、App Storeで公開されている。Android版も現在Googleの審査中とのことである。筆者は、自動テストもなく、デプロイの仕組みもなく、Reactの知識も十分ではない状態から、自力でApp Storeに公開できるような、本当に役立つものを開発し、提供できるとは夢にも思わなかったと語っている。しかし、少しのAIの力と、不安を乗り越えて何かを成し遂げようとする気持ちが、想像以上に自分を遠くまで連れて行ってくれたと述べている。今後の目標として、タイブレークモードの追加や、各ポイントがどのように獲得されたかを示すスタッツ(統計)ページの作成を挙げている。これは保護者が子供の練習に役立つパターンを見つけ、より効果的な練習ができるようにするためである。
この物語は、プログラミング経験が浅くても、AIという強力なツールを活用すれば、短期間で実用的なアプリケーションを開発し、実際に役立てることができるという可能性を示している。AIは、アイデアを具体的なコードに変換し、開発のプロセスを効率化する強力なパートナーになり得るのである。