【ITニュース解説】apache / airflow

2025年09月07日に「GitHub Trending」が公開したITニュース「apache / airflow」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Apache Airflowは、一連の作業の流れ(ワークフロー)を管理するツールだ。Python等のプログラムで処理の順序を定義し、決まった時間に自動実行させたり、実行状況を監視したりできる。

出典: apache / airflow | GitHub Trending公開日:

ITニュース解説

Apache Airflowは、複雑な作業の流れ、すなわち「ワークフロー」をプログラムで作成し、決まった時間に自動実行させ、その実行状況を監視するためのオープンソースプラットフォームである。システム開発、特にデータ処理の分野において、多くの定型的なタスクを自動化する必要がある。例えば、毎日深夜に複数のデータベースからデータを収集し、それを加工・集計して、分析用のデータベースに格納し、最後にレポートを生成するという一連の作業が考えられる。このような複数の手順からなる作業の流れがワークフローである。

従来、このような定期的なバッチ処理は、Linuxのcronのような単純なスケジューラを使って実行されることが多かった。しかし、cronは指定した時間にコマンドを実行するだけのシンプルな機能しか持たないため、複雑なワークフローの管理には限界があった。例えば、「タスクAが成功したら、タスクBとタスクCを並行して実行し、その両方が完了したらタスクDを実行する」といった、タスク間の依存関係を定義することが難しい。また、あるタスクが失敗した際に自動で再実行する仕組みや、エラーが発生したことを管理者に通知する機能、そして多数のタスクが今どの段階にあるのかを一覧で把握する機能などを、すべて自前で実装する必要があり、多大な労力がかかっていた。

Apache Airflowは、こうした課題を解決するために開発された。Airflowの最大の特徴は、ワークフローをPythonのコードとして定義できる点にある。これにより、単なる設定ファイルではなく、プログラミング言語の柔軟性を活かして、動的で複雑なワークフローを記述することが可能になる。ワークフローは「DAG(Directed Acyclic Graph、有向非巡回グラフ)」という概念で表現される。これは、個々の作業単位である「タスク」と、それらの実行順序や依存関係を定義した設計図のようなものである。PythonコードでDAGを定義することで、Gitなどのバージョン管理システムを用いてワークフローの変更履歴を管理したり、チームで共同開発したりすることが容易になるというメリットも生まれる。

DAGは複数のタスクで構成される。各タスクは「オペレーター」と呼ばれるテンプレートを用いて定義される。Airflowには、特定のコマンドを実行するBashOperator、Pythonの関数を実行するPythonOperator、データベースに対してSQLクエリを実行するための各種オペレーターなど、様々な種類のオペレーターが標準で用意されている。開発者はこれらのオペレーターを組み合わせるだけで、多様な処理をタスクとして簡単に実装できる。もし既存のオペレーターに必要な機能がなければ、自分で独自のオペレーターを作成して拡張することも可能であり、高い柔軟性を備えている。

定義されたワークフローは、Airflowのスケジューラによって管理され、指定されたスケジュールに従って自動的に実行される。例えば、「毎日午前3時に実行」「1時間ごとに実行」といった設定が可能である。実行されたワークフローとその中の各タスクの状況は、Airflowが提供するWebベースの豊富なUI(ユーザーインターフェース)を通じて詳細に監視できる。このUI上では、どのワークフローが実行中で、どれが成功し、どれが失敗したのかが一目でわかる。タスクが失敗した場合には、その原因を特定するためのログを確認したり、手動でタスクを再実行したりすることも簡単に行える。これにより、複雑なワークフローの運用管理コストを大幅に削減できる。

Airflowは、特にデータエンジニアリングの分野で広く利用されている。具体的には、様々なデータソースからデータを抽出し(Extract)、利用しやすい形式に変換し(Transform)、データウェアハウスやデータレイクに格納する(Load)という、いわゆるETL/ELT処理の自動化に頻繁に用いられる。また、機械学習のパイプライン、例えばデータの前処理、モデルの学習、評価、そして本番環境へのデプロイといった一連のプロセスを自動化する用途でも活用されている。その他にも、定期的なレポートの自動生成、インフラのプロビジョニングやバックアップといった定型業務の自動化など、その応用範囲は非常に広い。

まとめると、Apache Airflowは、Pythonコードでワークフローを定義・管理し、それらをスケジュール実行・監視するための強力な基盤を提供する。タスク間の複雑な依存関係の管理、失敗時の自動リトライ、視覚的なモニタリング機能などを備えており、手作業や単純なスケジューラでは困難だったバッチ処理の自動化と安定運用を実現する。システムエンジニアを目指す上で、このようなワークフローオーケストレーションツールの知識は、データ駆動型のシステム開発が主流となる現代において、ますます重要になっていくだろう。

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