【ITニュース解説】Configuring Secure Access to Workloads with Azure Virtual Networking Services

2025年09月03日に「Dev.to」が公開したITニュース「Configuring Secure Access to Workloads with Azure Virtual Networking Services」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Azure仮想ネットワークで、アプリの外部向け通信をAzure Firewall経由に設定し、セキュリティ強化する方法を解説する。カスタムルートテーブルとユーザー定義ルートを活用し、サブネットからの全通信をファイアウォールに強制ルーティングする手順を紹介。ポリシー適用による安全なクラウド構築がポイントだ。

ITニュース解説

クラウドの世界では、たくさんのコンピューター(サーバー)が仮想的に組み合わされ、様々なサービスを提供している。これらのコンピューターやサービスが安全に、そして効率的に動くためには、データの通り道である「ネットワーク」をしっかりと管理することが非常に重要になる。この記事では、AzureというMicrosoftが提供するクラウドサービスを使って、仮想的なネットワークの中から外へ出ていくデータ(アウトバウンドトラフィック)の通り道を安全にコントロールする方法について解説する。

クラウド上で動くアプリケーションのセキュリティを考えるとき、単にアプリケーションそのものを守るだけでなく、そのアプリケーションが外部とどのようにデータをやり取りするのか、その流れを制御することが不可欠だ。例えば、アプリケーションがインターネット上の不正な場所にアクセスしようとした場合、それを阻止できる仕組みが必要となる。このプロジェクトでは、Azureの仮想ネットワークルーティングという機能を使って、アプリケーションからのすべてのデータが、必ず「ファイアウォール」というセキュリティの番人を通るように設定した。これにより、不審な通信がないかチェックし、決められたルールに違反する通信はブロックするといったセキュリティ対策を強制できるようになった。

この設定を行うためのシナリオはシンプルだ。アプリケーションの「フロントエンド」(ユーザーが直接やり取りする部分)と「バックエンド」(裏側でデータを処理する部分)という二つの領域からインターネットへ向かう全てのデータが、Azure Firewallという専用のファイアウォールを通過するようにする。

これを実現するために必要な要素は主に三つある。一つ目は「ルートテーブル」と呼ばれる、仮想ネットワーク内でのデータの行き先を指示する交通整理表のようなものだ。二つ目は、このルートテーブルをフロントエンドとバックエンドのそれぞれのネットワーク領域(「サブネット」と呼ぶ)に関連付けること。これにより、特定のサブネットからのデータはこの交通整理表に従って流れるようになる。そして三つ目は、このルートテーブルの中に「ユーザー定義ルート」という特別なルールを追加することだ。このルールは、「0.0.0.0/0」という、文字通り「すべての場所」へ向かうデータは、必ずファイアウォールを通過するように指示するもので、ファイアウォールのプライベートIPアドレスを次の経由地として指定する。

このプロジェクトを通じて、私たちはいくつかの重要なスキルを身につけた。具体的には、Azure環境で自分だけのカスタムルートテーブルを作成し、設定する方法、作成したルートテーブルを特定のサブネットに関連付ける方法、そして全ての外向きのトラフィックをファイアウォール経由で強制的にルーティングするルートを追加する方法だ。これらは、クラウド上で堅牢なネットワークを構築するために非常に基礎的でありながら、不可欠な知識となる。

このプロジェクトで構築したネットワークの全体像(アーキテクチャ)は、一つの大きな仮想ネットワークの中に、フロントエンドサブネット、バックエンドサブネット、そしてAzure Firewallが配置されているシンプルな構成だ。そして、この仮想ネットワーク内にある両方のサブネットに、先述のルートテーブルが適用されており、ここから外へ向かうデータは全てファイアウォールを通るように強制される。

具体的な設定手順を見ていこう。

まず、設定を始める前に、Azure PortalというAzureの管理画面で「app-vnet-firewall」という名前のファイアウォールを探し、その「概要」ページから、そのファイアウォールが持つプライベートIPアドレスを控えておく。これは、後でルートを設定する際に、ファイアウォールを特定の経由地として指定するために必要になる、いわばファイアウォールの「住所」のようなものだ。

次に、このファイアウォールを経由させるための交通整理表、つまり「ルートテーブル」を作成する。Azure Portalの検索バーで「Route tables」と入力して検索し、「+ Create」をクリックして新規作成画面に進む。ここで、「RG1」というリソースグループ(関連するリソースをまとめる単位)に、「East US」リージョン(データセンターの場所)で、「app-vnet-firewall-rt」という名前を付けて作成する。

ルートテーブルが作成できたら、そのルートテーブルを実際に交通整理したいサブネットと関連付ける作業を行う。作成した「app-vnet-firewall-rt」ルートテーブルを開き、「設定」セクションにある「サブネット」を選択し、「+ Associate」をクリックする。ここで、フロントエンドサブネットを選択して関連付け、同じ手順を繰り返してバックエンドサブネットとも関連付ける。これにより、これらのサブネットから出るデータは、作成したルートテーブルの指示に従うようになる。

最後に、作成したルートテーブルの中に、具体的な交通ルールを追加する。同じルートテーブルの画面で、「Routes」セクションを開き、「+ Add」をクリックして新しいルートを追加する。ここで、ルートの名前を「outbound-firewall」とし、データの行き先を示す「Destination type」には「IP addresses」を選択する。そして、「Destination CIDR」には「0.0.0.0/0」と入力する。これは「全てのIPアドレス」つまり「どこへ向かうデータでも」という意味になる。次に、「Next hop type」(次に経由する場所の種類)には「Virtual appliance」(仮想アプライアンス)を選択し、その「Next hop address」(次に経由する場所のIPアドレス)には、最初に控えておいたファイアウォールのプライベートIPアドレスを入力する。この設定により、フロントエンドとバックエンドのサブネットから外部へ向かう全てのデータは、まずはこのファイアウォールへと送られることになる。

このプロジェクトを通じて得られた重要な学びがいくつかある。Azureでは、デフォルトでシステムが自動的に経路を決める「システムルート」が存在するが、今回のように自分たちで作成した「ユーザー定義ルート(UDR)」を設定することで、このシステムルートを上書きし、より細かくデータの流れを制御できるという点だ。また、Azure Firewallのような「NVA(ネットワーク仮想アプライアンス)」を経由してアウトバウンドトラフィックをルーティングすることで、より強固なセキュリティポリシーを強制できることが理解できた。さらに、ルートテーブルをサブネット単位で関連付けることで、仮想ネットワーク内の異なる部分に対して、きめ細やかなトラフィック制御が可能になるという点も重要だ。これらのルートテーブルは、安全なクラウドネットワークを設計する上で欠かせない要素であることが再確認された。

この実践的な演習は、Azureでのネットワークルーティングとセキュリティについて、貴重な経験を与えてくれた。ユーザー定義ルートを適切に設定することで、アプリケーションがファイアウォールのセキュリティポリシーを迂回してしまうことを防ぐことができ、これは本番環境で稼働するセキュアなシステムを構築する上で極めて重要だ。もしあなたがAzureのネットワーキングを学んでいるなら、カスタムルーティングとファイアウォールの設定は、早い段階で習得しておくべきスキルの一つだと言える。なぜなら、ほとんど全ての企業向けのクラウドデプロイメントにおいて、この知識が必須となるからである。

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