【ITニュース解説】Benchmarking PostgreSQL Drivers in Node.js: node-postgres vs postgres.js

2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「Benchmarking PostgreSQL Drivers in Node.js: node-postgres vs postgres.js」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

Node.jsでPostgreSQLを使う際のドライバ性能を比較した。C言語ライブラリを利用する`pg-native`が最速で、JavaScript実装の`pg`も高効率だった。超高負荷な用途では`pg-native`が有利だが、一般的なアプリではAPIや運用面も考慮し選択することが重要だ。

ITニュース解説

Node.jsでPostgreSQLデータベースを利用するアプリケーションを開発する際、データベースと通信するための「ドライバー」と呼ばれるソフトウェア部品の選択は、アプリケーションの性能に大きく影響する重要な要素だ。このドライバーの性能が、データの要求から応答までの時間である「レイテンシ」や、一定時間内に処理できるデータ量である「スループット」に直結する。特に、多くのユーザーが同時に利用する高負荷なアプリケーションでは、適切なドライバーを選ぶことがシステムの効率性とユーザー体験の向上に不可欠である。

この記事では、Node.jsで広く使われるPostgreSQLドライバーの中から、主要なものをいくつか選定し、どれが最も高速に動作するかを客観的に比較するベンチマークテストを実施した。ベンチマークとは、システムやソフトウェアの性能を客観的に評価するテストである。テストには「mitata」という専用ツールを使用し、各ドライバーが同じデータベースクエリをどれくらいの速さで実行できるかを、50,000回もの反復処理を通じて精密に測定した。テストは、Intel Core i7プロセッサとNode.js 24.7.0の環境下で行われた。

ベンチマークの比較対象となったのは、主に二つのタイプのドライバーである。「pg-native」は、PostgreSQLの公式C言語クライアントライブラリ「libpq」を内部で利用し、高速なC言語コードで一部処理を行う。一方、「pg」と「postgres.js」は純粋にJavaScriptのみで実装され、Node.js環境で完結する。さらに、「postgres.js」には、特定の性能を追求する「unsafeモード」を使用したバージョンも比較対象に加えられた。C言語ライブラリを利用するか、純粋なJavaScriptで実装されるかが、性能の違いに影響を与える主な要因となる。

ベンチマークテストの結果、明確な性能差が確認された。最も高速に動作したのは「pg-native」で、1回のクエリ実行にかかる平均時間は約162.75マイクロ秒であった。これに続いて「pg」が約172.63マイクロ秒と、非常に近い性能を示した。三番手は「postgres.js」が約182.95マイクロ秒、そして最も実行時間がかかったのは「postgres.js (unsafe)」で約193.00マイクロ秒という結果になった。この結果から、「pg-native」が他のドライバーに比べて、わずかではあるが安定して速いことが示された。具体的には、「pg-native」は「pg」よりも約1.06倍、「postgres.js」よりも約1.12倍、そして「postgres.js (unsafe)」よりも約1.19倍高速であった。

「pg-native」が優れた性能を発揮した主な理由は、PostgreSQLの公式Cクライアントライブラリ「libpq」を活用している点にある。C言語で書かれたlibpqは、低レベルな処理を直接行えるため、クエリ解析の迅速化、ネットワーク通信のオーバーヘッド抑制、メモリの効率的な管理を可能にする。これにより、「pg-native」はJavaScriptからデータベースへのデータ送受信に伴う一部の抽象化コストをスキップでき、高速な処理が実現する。一方、純粋なJavaScriptで書かれた「pg」も、非常に高い効率と安定性を示した。C言語の力を借りずともこれほどの性能を出せるのは、実装が高度に最適化されている証拠だ。実際のところ、「pg-native」と「pg」の間の性能差は約6%と小さく、毎秒数万件のような極めて高負荷なクエリ処理でない限り、このわずかな差がユーザー体験に影響することは稀だろう。

このベンチマークテストの結果から、マイクロ秒単位の応答速度が極めて重要となる高スループットなNode.jsアプリケーションにおいては、「pg-native」が最有力な選択肢となることが示唆された。特にデータベース通信が全体のボトルネックとなる状況では、そのわずかな速度向上がパフォーマンスに大きく貢献する可能性もある。しかし、この性能差は劇的なものではない。一般的なアプリケーションでは、どのドライバーを選んでもユーザーが体感できるほどの大きな性能差は生じにくいだろう。したがって、ドライバー選択時には、ベンチマークの数値だけでなく、APIの使いやすさ、開発コミュニティのサポート、導入や運用における複雑さも総合的に考慮する必要がある。性能、開発のしやすさ、運用の容易さのバランスを見極め、プロジェクトの要件に最も合致するドライバーを選択することが賢明だ。