【ITニュース解説】Building a Bitcoin Service with ICP and Fetch.ai
2025年09月04日に「Dev.to」が公開したITニュース「Building a Bitcoin Service with ICP and Fetch.ai」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
AIとブロックチェーンを連携しBitcoinサービスを構築するフレームワークが公開された。ICPがバックエンド、Fetch.aiエージェントがAIで自然言語クエリを処理し、ICPを通じてBitcoin情報を取得する。開発者は分散型アプリでAIとブロックチェーンを統合し、Codespacesで手軽に試せる。
ITニュース解説
現代のIT分野では、ブロックチェーン技術と人工知能(AI)の組み合わせが大きな注目を集めている。この二つの技術を融合させることで、これまでにない革新的なサービスが生まれる可能性を秘めているからだ。今回紹介するプロジェクトは、インターネット・コンピューター・プロトコル(ICP)とFetch.aiという先進的な技術を組み合わせ、ビットコイン(Bitcoin)のサービスを構築する実験的なフレームワークを提示する。これは、開発者が分散型アプリケーション(DApps)でブロックチェーン上のデータとどのように連携できるかを示す重要な一歩であり、より賢く、より拡張性の高いサービスを生み出すための道筋となる。
このプロジェクトの核心は、大きく分けて二つの要素で構成されている。一つはICPを基盤としたバックエンド部分、もう一つはFetch.aiのエージェント部分だ。ICPバックエンドは、仮想的なビットコインサービスを模擬的に提供する。これは、ICP上で動く「Canister(キャニスター)」というプログラムで実現され、ビットコインの残高確認や未消費トランザクション出力の取得といった機能の入り口(エンドポイント)を用意する。現在のところ、これらの機能から返されるデータはテスト用のダミーだが、将来的に実際のブロックチェーンと連携するための土台を築いている。Fetch.aiエージェントは、ユーザーの自然な言葉の質問を理解し、ICPバックエンドに適切な指示を出す「賢い仲介役」の働きをする。このエージェントは、Fetch.aiのAIモデルであるAISI:Oneを活用することで、ユーザーの質問がどのICPのエンドポイントに対応するかを自動的に判断する。これにより、ブロックチェーンやAPIの専門知識がない人でも、AIと会話するようにビットコインの情報を手に入れられ、複雑な技術詳細を意識せず直感的にデータと対話できるのが大きな特徴だ。
このプロジェクトの開発において特に注目すべき点は、GitHub Codespacesという機能が活用されていることである。Codespacesは、開発者が自分のパソコンに特別なツールをインストールしたり、複雑な設定を行ったりすることなく、クラウド上で即座に開発環境を立ち上げられるサービスだ。このプロジェクトでは、.devcontainer設定により、DFINITY SDK(DFX)やPythonの関連パッケージといった必要なツールが全て自動的にセットアップされるため、環境構築の手間が省け、すぐにプログラミングに取り掛かれるメリットは大きい。また、プロジェクトのドキュメントも非常に分かりやすく丁寧に書かれているため、ICPやFetch.aiに初めて触れる人でも、指示に従うだけでスムーズに進められ、新しい技術への参入障壁が大きく下がっている。
もしこのプロジェクトに興味を持ち、実際に動かしてみたい場合は、いくつかの簡単なステップで試せる。まず、GitHubリポジトリの「Use this template」ボタンを使い、テンプレートを自分用にコピーする。次に、コピーしたリポジトリをGitHub上で開き、「Code」メニューから「Codespaces」を選び、新しい開発セッションを開始すれば、必要な開発環境が自動的に準備される。環境が整ったら、ICPの設定を行う。具体的には、ローカル環境でICPのレプリカを開始し、ビットコイン機能を有効にした状態で、Canisterをデプロイする。その後、Fetch.aiエージェントの設定に移り、Pythonで「uagents」というライブラリをインストールし、「agent.py」ファイルにAIモデルのAPIキーを追記する。これらの準備が全て完了すれば、Fetch.aiエージェントに対して自然言語でクエリを送り、ICP Canisterと連携する動作を実際にテストできる。
現在のプロジェクトは基本的なフレームワークを提供する段階だが、今後さらなる強化や機能拡張の余地が豊富にある。最も重要な次のステップは、ICP Canisterが使用するダミーデータを、実際のビットコインブロックチェーン上のデータに置き換えることだろう。これにはビットコインノードの構築や外部APIとの連携が必要になる。また、現在の「残高照会」機能に加え、ビットコイントランザクションの作成やネットワークへの送信といった、より高度な機能追加も期待される。Fetch.aiエージェントの側でも、AIによる自然言語処理能力をさらに向上させ、より複雑で多様なユーザーの質問にも適切に対応できるように改善が必要だ。そして、ビットコインのような金融サービスを扱う上では、秘密鍵やAPI認証情報などの機密情報を保護するための、堅牢なセキュリティ対策導入も不可欠となる。このプロジェクトは、ブロックチェーンとAI技術を組み合わせた高度なサービスを開発するための有望な出発点であり、開発者がこれらのステップを進めることで、分散型ネットワークとインテリジェントエージェントの力を最大限に活用した、洗練されたサービスが生まれる可能性を秘めている。