【ITニュース解説】Blenderの機能の一つであるUV展開を行ってテクスチャを描こう

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3DモデリングソフトBlenderの「UV展開」は、3Dモデルの表面を2Dの平面図に広げる機能だ。この展開図にテクスチャ(絵や模様)を描いて貼り付けることで、立体オブジェクトにリアルな質感を設定できる。ゲーム開発等で広く使われる基本技術である。(119文字)

ITニュース解説

3Dコンピュータグラフィックスの世界では、単に物体の形を作るだけでなく、その表面に色や模様、質感を設定することで、リアルな表現を実現する。この、3Dモデルの表面に画像を貼り付ける技術をテクスチャマッピングと呼ぶ。例えば、木製のテーブルのモデルに木目の画像を貼り付けたり、キャラクターの顔に肌の画像を貼り付けたりすることがこれにあたる。このテクスチャマッピングを行う上で、不可欠な下準備となるのが「UV展開」というプロセスである。 UV展開とは、3次元の立体である3Dモデルの表面を、2次元の平面に切り開いて展開図を作成する作業のことである。3D空間の座標がX、Y、Z軸で表されるのに対し、2Dテクスチャ画像の座標はU、V軸で表される。このことから、3Dモデルの表面情報(頂点座標)を2DのUV座標に対応付ける作業をUV展開と呼ぶ。簡単に言えば、サイコロの箱を切り開いて一枚の平らな紙に戻すようなイメージである。この作成された展開図を「UVマップ」と呼ぶ。 なぜこのような作業が必要なのかというと、コンピュータは3Dモデルと2D画像をそのままでは関連付けることができないからだ。3Dモデルのどの面に、用意した画像のどの部分を貼り付ければよいのか、その対応関係を定義する設計図としてUVマップが必要になる。UVマップがなければ、テクスチャは意図しない形で引き伸ばされたり、歪んで表示されたり、あるいは全く表示されなかったりする。つまり、UV展開は、3Dモデルにテクスチャを正しく、そしてきれいに貼り付けるための極めて重要な工程なのである。 BlenderにおけるUV展開の具体的な手順は、主に「シーム付け」と「アンラップ」の二つのステップで構成される。まず「シーム付け」とは、モデルのどこにハサミを入れて切り開くかを決める作業である。展開図を作る際に、どこを切り離すかによって展開図の形は大きく変わる。この切り込み線、すなわち「シーム(縫い目)」を適切に設定することが、美しいUVマップを作成する鍵となる。一般的に、シームはモデルを実際に見たときに目立たないような、裏側や隠れる部分のエッジに設定することが推奨される。不適切な場所にシームを設定すると、テクスチャの繋ぎ目が不自然に見えてしまう原因となる。 シームを設定し終えたら、次に行うのが「アンラップ(展開)」である。これは、設定したシームに従って実際にモデルを展開し、UVマップを生成する操作である。Blenderには、選択した面を自動で展開する「スマートUV投影」のような便利な機能も存在するが、より制御された高品質な結果を得るためには、手動でシームを設定し、アンラップを行う方法が基本となる。アンラップを実行すると、UVエディターという専用のウィンドウに、2Dに展開されたモデルの各パーツ(UVアイランドと呼ばれる)が表示される。 UVマップが生成された後も、調整作業が必要になる場合が多い。UVエディター上で、各UVアイランドの位置や大きさ、回転を調整し、テクスチャ画像を効率的に使用できるように最適化する。例えば、モデルの中でも特に目立つ部分や、詳細なディテールを表現したい部分に対応するUVアイランドは大きく配置し、より多くのピクセル(解像度)が割り当てられるようにする。逆に、あまり目立たない部分は小さく配置することで、テクスチャ空間を無駄なく利用できる。 このUVマップが完成したら、それを画像ファイルとして出力し、PhotoshopやGIMPといった外部のペイントツールでテクスチャを描き込むか、Blenderに搭載されているテクスチャペイント機能を用いて、3Dモデルに直接色や模様を描き込んでいく。そして、完成したテクスチャ画像をBlenderのマテリアル設定でモデルに適用することで、ようやく3Dモデルに質感やディテールが与えられる。UV展開は地道で少し複雑な作業に感じられるかもしれないが、この工程を丁寧に行うことが、最終的な3D作品の品質を大きく左右する。3Dグラフィックスを扱うシステム開発、特にゲームやVR、シミュレーション分野においては、こうしたレンダリングの基礎知識が非常に重要となる。

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