【ITニュース解説】Building a Well-Known Token Registry

2025年09月04日に「Dev.to」が公開したITニュース「Building a Well-Known Token Registry」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

ブロックチェーン上のトークン情報を標準化する「Well-Known Token Registry」が提案されている。これは、既存のWeb標準である.well-known URIを活用し、トークンのメタデータへアクセスする統一的な方法を提供するもの。APIエンドポイントやセキュリティ対策も整備され、開発者、ユーザー、業界全体にメリットをもたらす。

出典: Building a Well-Known Token Registry | Dev.to公開日:

ITニュース解説

ブロックチェーンの世界では、新しいトークンが日々大量に生まれているが、アプリケーションがそれらを効率的に発見し、検証する標準的な方法がないという課題が存在する。この問題に対処するため、「Well-Known Token Registry」という解決策が提案されている。

現状の問題点はいくつかある。トークンのメタデータが様々なAPI、ウェブサイト、データベースに分散しており、データの形式も統一されていない。アプリケーションは独自のトークンリストを管理するか、中央集権的なサービスに依存する必要があり、ブロックチェーンごとに異なるアドレス形式や検証ルールに対応する必要があるため、開発者はトークンリストの維持と検証ロジックの実装に多くの時間を費やしている。

そこで、この解決策は、確立された.well-known URI仕様を活用し、ウェブ上でトークン情報にアクセスするための標準化された発見可能な方法を提供する。.well-known URI仕様は、サービスのメタデータを予測可能な場所で提供するための標準的な方法を定義しており、OAuthプロバイダー、OpenID Connect、セキュリティポリシー、WebFingerなどの主要なサービスで使用されている。この標準に従うことで、トークンレジストリは予測可能なURLで発見可能となり、既存のウェブインフラストラクチャと相互運用可能となり、確立された規約に従って標準化され、CDNやブラウザによってキャッシュ可能となる。

アーキテクチャは、クライアントアプリケーション(ウォレット/DEX)、サーバーレス関数、ストレージ(トークンデータ)で構成されている。クライアントアプリケーションはサーバーレス関数にリクエストを送信し、サーバーレス関数はストレージからトークンデータを取得し、クライアントアプリケーションに返す。サーバーレス関数は、アドレスチェックなどの情報も提供する。

APIエンドポイントとしては、ステータスエンドポイントとトークンエンドポイントがある。ステータスエンドポイントは、レジストリの稼働状況やバージョン情報を提供する。例えば、/.well-known/tokens/status/pingにGETリクエストを送信すると "pong"というレスポンスが返ってくる。/.well-known/tokens/status/versionにGETリクエストを送信すると、バージョン情報(例:{"version": "0.1.0", "environment": "prod"})が返ってくる。/.well-known/tokens/status/healthにGETリクエストを送信すると、ヘルスチェック情報(例:{"currentTime": "2024-01-15T10:30:00.000Z", "health": "ok"})が返ってくる。

トークンエンドポイントは、トークンの一覧取得や特定のトークン情報の取得を提供する。/.well-known/tokens.json?prefix=cb&limit=50にGETリクエストを送信すると、"cb"で始まるトークンアドレスが最大50件まで返される。レスポンスは、トークンアドレスのリスト("data")とページネーション情報("pagination")を含む。/.well-known/tokens/:token.jsonにGETリクエストを送信すると、特定のトークンに関する詳細情報が返される。例えば、/.well-known/tokens/cb19c7acc4c292d2943ba23c2eaa5d9c5a6652a8710c.jsonにGETリクエストを送信すると、トークンのティッカーシンボル、名前、小数点以下の桁数、シンボル、タイプ、URL、ロゴなどの情報が返される。

このソリューションの利点は、スケーラビリティ、一貫性、ネットワーク効率性である。数千のトークンを効率的に処理でき、ページネーションを通じて結果は安定しており、最小限のデータ転送で済む。アドレスプレフィックスによるフィルタリングもサポートしている。

セキュリティ面では、すべての入力値の検証、レート制限によるDDoS攻撃対策、CORSの設定、本番環境と開発環境の分離などが考慮されている。

今後の改善点として、ストレージを複数のソース(KVストレージ、IPFSデータベース、ブロックチェーンデータなど)に接続することが挙げられる。

このレジストリは、開発者にとってトークンリストの管理が不要になり、標準化されたAPIを利用でき、アドレス検証が自動化され、高いパフォーマンスが得られるというメリットがある。ユーザーにとっては、トークンの発見が高速化され、アプリケーション全体で一貫したトークン情報が得られ、信頼性が向上するというメリットがある。業界全体にとっては、相互運用性が向上し、分散化が進み、透明性が高まり、スケーラビリティが向上するというメリットがある。

Well-Known Token Registryは、確立されたウェブ標準がブロックチェーンの課題を解決できることを示している。.well-known URI仕様を活用することで、発見可能で、標準化され、スケーラブルで、信頼性の高いソリューションが実現する。

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