【ITニュース解説】プロダクトの「機能廃止」を決断した理由とは？ 約30年にわたり人事労務を支える「COMPANY」の事例に学ぶ

この記事では、大手企業向け人事システム「COMPANY」が、長年の歴史の中で積み重ねてきた機能を整理し、廃止するという決断に至った背景と、その具体的な取り組みについて解説する。これは、システムエンジニアを目指す上で重要な「システムのライフサイクル」と「変化への対応」を学ぶ良い機会となるだろう。

COMPANYは、30年近くにわたり、多くの企業の人事・労務業務を支えてきた。その間、法制度の変更やユーザーからの要望に応え、さまざまな機能を追加してきた結果、システムは非常に複雑で大規模なものになった。しかし、時代は常に変化する。近年、特にその変化のスピードは加速しており、COMPANYもクラウド版への移行を進め、より迅速に変化に対応できる体制を整えようとしている。

ここで重要なのが、クラウド版への移行は単に技術的な刷新だけではないということだ。長年運用してきたシステムには、利用頻度の低い機能や、現在の業務プロセスに合わなくなった機能が数多く存在する。これらの機能をそのままクラウドに移行しても、システムの複雑さを増すだけで、パフォーマンスの低下やメンテナンスコストの増大を招く可能性がある。

そこで、COMPANYの開発チームは、積極的に機能の廃止に取り組むことにした。これは、ユーザーにとっては使い慣れた機能がなくなることを意味するため、慎重に進める必要がある。そのため、開発チームは以下の点に注意を払っている。

まず、どの機能を廃止するかを決定するために、徹底的なデータ分析を行う。各機能の利用状況を詳細に分析し、利用頻度が低い機能や、類似の機能が存在するものを洗い出す。また、ユーザーへのアンケートやインタビューを通じて、機能に対する意見や要望を収集する。

次に、廃止する機能について、ユーザーへの丁寧な説明を行う。なぜその機能を廃止する必要があるのか、代替となる機能やワークアラウンドは何か、移行期間はどの程度かなどを明確に伝える。また、ユーザーからの質問や疑問に真摯に対応し、不安を解消するよう努める。

そして、機能の廃止は段階的に行う。いきなり全ての機能を廃止するのではなく、まずは一部のユーザーからテスト的に廃止し、フィードバックを収集する。その結果を踏まえて、改善点があれば修正し、段階的に廃止範囲を拡大していく。

このように、COMPANYの開発チームは、機能の廃止を単なる技術的な作業として捉えるのではなく、ユーザーへの影響を最小限に抑えながら、システムの最適化を図るための重要なプロセスとして捉えている。

システムエンジニアは、システムを開発するだけでなく、その後の運用や保守も担当する。システムは、一度作ったら終わりではなく、時代の変化やユーザーのニーズに合わせて、常に進化し続ける必要がある。そのため、システムのライフサイクル全体を考慮し、長期的な視点を持ってシステムを設計・開発することが重要となる。

また、変化への対応も重要なスキルだ。新しい技術やトレンドが登場するたびに、システムをアップデートし、常に最新の状態に保つ必要がある。そのため、常にアンテナを張り、新しい技術や知識を習得する努力を怠らないことが大切だ。

今回のCOMPANYの事例は、システムエンジニアがシステムのライフサイクルと変化への対応について学ぶ上で、非常に貴重な教訓を与えてくれる。長年運用されてきた大規模システムであっても、常に改善の余地があり、変化に対応することで、より価値の高いシステムへと進化させることができる。システムエンジニアを目指す君にとって、この事例は、今後のキャリアを考える上で、大きなヒントになるだろう。