【ITニュース解説】企業の営業秘密の漏えいが大幅に拡大--IPA調査

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ITニュース概要

IPAの調査で、企業の営業秘密漏えいが増加していることが判明。前回調査より漏えいの認知度が高まり、原因も多様化している。技術情報の漏えいは企業競争力に直結するため、セキュリティ対策の重要性が増している。システムエンジニアは、安全な情報管理システムの構築と運用に関わる必要性が高まっていると言える。

ITニュース解説

情報処理推進機構(IPA)が発表した企業の営業秘密管理に関する実態調査結果は、企業における情報セキュリティ対策の重要性がますます高まっていることを示している。特に、営業秘密の漏えいに対する企業の認識が大幅に増加し、その原因も複雑化している現状は、システムエンジニアを目指す上で知っておくべき重要なポイントだ。 まず、営業秘密とは何かを理解する必要がある。営業秘密とは、企業が持つ技術情報やノウハウ、顧客情報など、事業活動において競争優位性を保つために秘匿されている情報のことを指す。これらの情報は企業の財産であり、漏えいしてしまうと企業の競争力を大きく損なう可能性がある。 今回の調査で注目すべき点は、営業秘密の漏えいを認知している企業が大幅に増えたことだ。これは、企業が情報セキュリティに対する意識を高め、より積極的に漏えい事案を把握しようとしていることの表れとも言える。しかし、同時に、実際に漏えい事案が増加している可能性も否定できない。 漏えいの原因も多様化している。従来の不正アクセスやマルウェア感染といった外部からの攻撃だけでなく、内部関係者による持ち出しや誤操作、退職者による情報の不正利用なども増加している。これは、情報セキュリティ対策が技術的な対策だけでなく、人的な対策や組織的な対策も包括的に行う必要があることを示唆している。 システムエンジニアが営業秘密の保護に関わる場面は多岐にわたる。例えば、社内システムの設計・構築においては、アクセス権限の設定や認証システムの強化、データの暗号化など、情報漏えいを防ぐための様々な対策を講じる必要がある。また、従業員が利用するPCやスマートフォンのセキュリティ対策、ネットワークの監視体制の構築なども重要な役割だ。 さらに、クラウドサービスの利用が増加している現代においては、クラウド環境におけるセキュリティ対策も重要となる。クラウドサービスプロバイダーが提供するセキュリティ機能の活用はもちろん、自社でデータの暗号化やアクセス制御を行うなど、多層的な防御体制を構築する必要がある。 内部不正対策もシステムエンジニアの重要な役割の一つだ。従業員のアクセスログの監視や、不審な操作の検知、退職者のアカウントの適切な管理など、技術的な側面から内部不正を防止するための対策を講じる必要がある。 近年、サプライチェーン攻撃と呼ばれる、取引先を経由して自社システムに侵入する攻撃も増加している。システムエンジニアは、自社だけでなく、取引先のセキュリティ状況も把握し、連携してセキュリティ対策を強化する必要がある。取引先との情報共有体制の構築や、定期的なセキュリティ監査の実施などが有効だ。 営業秘密の漏えい対策は、一度構築すれば終わりというものではない。技術は常に進化しており、新たな脅威が次々と生まれてくる。そのため、システムエンジニアは、常に最新のセキュリティ情報を収集し、自社のシステムを最新の状態に保つ必要がある。また、定期的な脆弱性診断やペネトレーションテストを実施し、システムの弱点を洗い出すことも重要だ。 今回のIPAの調査結果は、システムエンジニアを目指す人々にとって、情報セキュリティの重要性を改めて認識する良い機会となる。企業が抱えるセキュリティリスクを理解し、技術的な知識だけでなく、組織的な対策や人的な対策も含めた包括的なセキュリティ対策を提案できるシステムエンジニアは、今後ますます必要とされるだろう。今回の調査結果を参考に、情報セキュリティに関する学習を深め、社会に貢献できるシステムエンジニアを目指してほしい。

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