【ITニュース解説】%CPU utilization is a lie

2025年09月03日に「Hacker News」が公開したITニュース「%CPU utilization is a lie」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

CPU使用率はOSのスケジューラや割り込み処理の影響で、正確なCPU負荷を示さない場合がある。特にアイドル時のCPU使用率を基にした最適化は、誤った判断を招く可能性がある。パフォーマンス分析では、CPU使用率だけでなく、より詳細なメトリクスの確認が重要になる。

出典: %CPU utilization is a lie | Hacker News公開日:

ITニュース解説

この記事では、CPU使用率(%CPU utilization)の数値が、システムの実際のパフォーマンスを正確に反映していない場合があることを解説している。CPU使用率は、一般的にシステムがどれだけ処理に忙しいかを示す指標として用いられるが、いくつかの要因によって誤解を招く可能性がある。

まず、CPU使用率は、CPUがアイドル状態でない時間の割合を示す。しかし、CPUがアイドル状態でなくても、必ずしも有益な処理を行っているとは限らない。例えば、CPUがI/O(Input/Output:入出力)待ちの状態になっている場合、CPUはビジー状態と見なされるが、実際には計算処理は行われていない。I/O待ちは、ハードディスクやネットワークなどの外部デバイスとのデータ転送を待つ状態であり、CPUの処理速度に比べて非常に時間がかかる。そのため、I/O待ちが多いシステムでは、CPU使用率が高くても、実際には処理能力が十分に活用されていない可能性がある。

次に、CPU使用率は、割り込み処理の時間を含んでいる。割り込みとは、CPUが実行中の処理を一時中断して、別の処理を行うことである。例えば、キーボード入力やネットワークからのデータ受信などが発生すると、割り込みが発生し、CPUはそれらの処理を行う。割り込み処理自体は必要なものだが、頻繁に発生すると、CPUの処理能力を消費し、結果としてCPU使用率が上昇する。特に、デバイスドライバの不具合やネットワークの問題などによって割り込みが多発すると、CPU使用率が高止まりし、システムの応答性が低下する可能性がある。

さらに、仮想化環境においては、CPU使用率の解釈がより複雑になる。仮想マシン(VM)は、物理的なハードウェアリソースを共有して動作する。そのため、仮想マシン上で表示されるCPU使用率は、物理CPU全体の使用率ではなく、その仮想マシンに割り当てられたCPUリソースの使用率を示す。もし、物理CPUが他の仮想マシンによって過剰に使用されている場合、ある仮想マシン上でのCPU使用率が低くても、実際には処理能力が制限されている可能性がある。また、ハイパーバイザと呼ばれる仮想化ソフトウェア自体もCPUリソースを消費するため、仮想化環境全体のCPU使用率を考慮する必要がある。

また、最近のCPUは、クロック周波数を動的に調整する機能を持っている。CPU使用率が低い場合はクロック周波数を下げて消費電力を抑え、CPU使用率が高い場合はクロック周波数を上げて処理能力を向上させる。そのため、CPU使用率が常に高い状態が、必ずしもシステムのパフォーマンスが最大化されている状態とは限らない。むしろ、クロック周波数が低い状態でCPU使用率が高い場合は、CPUがボトルネックになっている可能性がある。

これらの要因から、CPU使用率だけでシステムのパフォーマンスを判断することは危険である。より正確なパフォーマンス分析を行うためには、CPU使用率だけでなく、I/O待ち時間、割り込み回数、メモリ使用量、ネットワークトラフィックなど、他のメトリックも総合的に考慮する必要がある。また、パフォーマンス分析ツールを使用することで、より詳細な情報を収集し、ボトルネックとなっている箇所を特定することができる。

初心者のシステムエンジニアは、CPU使用率を単なる数値として捉えるのではなく、それが示す意味を深く理解することが重要だ。システムのパフォーマンスを改善するためには、CPU使用率だけでなく、他のメトリックも分析し、ボトルネックとなっている箇所を特定し、適切な対策を講じる必要がある。例えば、I/O待ちが多い場合は、ストレージの高速化やキャッシュの導入を検討し、割り込みが多い場合は、デバイスドライバの更新やネットワークの最適化を行う必要がある。また、仮想化環境においては、物理CPUのリソース配分を見直すことも有効である。