【ITニュース解説】How To Implement HttpClient in C# (4 Ways)

2025年09月03日に「Dev.to」が公開したITニュース「How To Implement HttpClient in C# (4 Ways)」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

C#のHttpClientは、REST APIとHTTPリクエストで通信する仕組みだ。リソースの効率的な管理やテストのしやすさのため、IHttpClientFactoryを使った実装が推奨される。Named、Typed、Refitなど、アプリケーションの規模や要件に応じて複数の実装方法を選択できる。

出典: How To Implement HttpClient in C# (4 Ways) | Dev.to公開日:

ITニュース解説

現代のWebアプリケーション開発において、異なるサービスやシステム間でデータをやり取りすることは日常的に行われる。たとえば、自分の作ったアプリケーションが天気予報サービスから情報を取得したり、ユーザー管理サービスにデータを登録したりする場合がこれに該当する。このような外部サービスとの連携は、通常「REST API」という技術を使って行われるが、.NET環境でこのREST APIとの通信を簡単かつ効率的に行うための強力なツールが「HttpClient」である。

HttpClientは、HTTPリクエスト(情報を要求するメッセージ)を送信し、HTTPレスポンス(返ってくる情報)を受け取るという一連の処理を非常にシンプルにしてくれる。GET、POST、PUT、DELETEといった様々なHTTPメソッドに対応しており、これらを使ってデータの取得、作成、更新、削除といった操作が可能だ。さらに、現代のアプリケーションでは処理の応答性を高めるために「非同期操作」が重要となるが、HttpClientは最初から非同期処理をサポートしているため、アプリケーションが外部サービスからの応答を待っている間も他の処理をブロックすることなく、スムーズに動作し続けることができる。

しかし、単にHttpClientを生成して使うだけでは、いくつかの問題に直面する可能性がある。特に重要なのが「リソース管理」と「ソケット枯渇」という問題だ。HttpClientを毎回新規作成すると、そのたびにネットワーク接続のためのリソースが確保され、使用済みになったリソースが適切に解放されないと、やがて利用可能なネットワーク接続が枯渇してしまう「ソケット枯渇」という状態に陥る可能性がある。これはアプリケーションの性能低下やクラッシュにつながる重大な問題である。

この問題を解決し、より効率的で堅牢なAPI通信を実現するために登場したのが「IHttpClientFactory」だ。IHttpClientFactoryは、HttpClientインスタンスを適切に管理し、再利用するための仕組みを提供する。具体的には、一度作成された「HttpMessageHandler」という、実際のHTTPリクエスト送信処理を担当する裏側のコンポーネントを再利用することで、ソケット枯渇を防ぎ、リソースを効率的に活用する。また、IHttpClientFactoryを使うことで、HttpClientの設定をプログラム全体で一元的に管理でき、異なる設定を持つ複数のHttpClientインスタンスを簡単に作成できるようになる。これは、アプリケーションの「依存性注入(DI)」という設計パターンとも非常に相性が良く、コードの可読性やテストのしやすさを向上させる。現在では、.NET Coreやそれ以降のバージョン(.NET 5/6/7/8/9など)でHttpClientを使う場合の「ベストプラクティス(最良の実践方法)」として推奨されている。

IHttpClientFactoryを利用したHttpClientの実装方法には、いくつかの主要なアプローチがある。

一つ目は「Named HttpClient(名前付きHttpClient)」だ。アプリケーションが複数の異なる外部APIと連携する場合、それぞれのAPIでベースURLやヘッダー、タイムアウト設定などが異なることがよくある。Named HttpClientを使うと、それぞれのHttpClientインスタンスにユニークな名前を割り当て、その名前ごとに異なる設定を定義できる。これらの設定は通常、アプリケーションの起動時に一元的に行われ、コードの様々な場所でその名前を指定してHttpClientを注入・利用できる。これにより、設定ロジックの重複を防ぎ、コードの可読性を高め、どのクライアントがどの外部APIと通信しているのかを明確にする。複数のAPIを利用する大規模なアプリケーションにおいて、非常にスケーラブルな設計を可能にする。

二つ目は「Typed HttpClient(型付きHttpClient)」だ。これは、特定の外部APIとの通信ロジックをカプセル化(まとめる)した独自のクラスを作成する方法である。例えば、ユーザー情報を取得するAPIがある場合、UserServiceClientのようなクラスを作成し、その中にGetUsersAsync()のようなドメイン固有のメソッドを定義する。このUserServiceClientクラスは内部でIHttpClientFactoryから提供されたHttpClientインスタンスを利用する。Typed HttpClientを使うことで、API通信のロジックが特定のクラスに集約され、コードの再利用性が高まり、保守が容易になる。また、インターフェースを使ってTyped HttpClientを抽象化することで、ユニットテストでのモック(模擬オブジェクト)化が非常に簡単になり、テストの信頼性を向上させることができる。さらに、Pollyのようなライブラリと組み合わせることで、ネットワークの一時的な障害に対するリトライ処理や、過負荷を防ぐサーキットブレーカーといった「回復性」のある通信を簡単に実装できるのも大きなメリットだ。

三つ目は「Refit HttpClient」と呼ばれる、サードパーティライブラリを利用する方法である。Refitは、C#のインターフェースを使ってREST APIのエンドポイントを宣言的に定義するだけで、その実装を自動的に生成してくれる優れものだ。開発者は、APIのURLやHTTPメソッドをインターフェースのメソッドに属性として記述するだけでよく、手動でHttpClientのインスタンスを作成したり、リクエスト・レスポンスの処理を行うボイラープレートコード(定型的なコード)を記述する必要がなくなる。Refitは型付きのメソッドを生成するため、コンパイル時に型チェックが行われ、エラーを早期に発見できる。また、JSONなどのデータ形式のシリアライズ(オブジェクトをデータに変換)とデシリアライズ(データをオブジェクトに変換)も自動的に行ってくれるため、開発者はビジネスロジックに集中できる。RefitもIHttpClientFactoryや依存性注入とスムーズに連携し、非常にクリーンで保守性の高いコードを実現する。

結論として、HttpClientを実装する方法には、様々な選択肢がある。小規模でシンプルなアプリケーションであれば、IHttpClientFactoryを使わない基本的なHttpClientの利用でも十分かもしれない。しかし、アプリケーションの規模が大きくなり、複数の外部APIと連携したり、テスト容易性や保守性を重視する場合には、IHttpClientFactoryを導入し、Named HttpClientやTyped HttpClient、あるいはRefitのような強力なライブラリを活用することが強く推奨される。プロジェクトの要件やチームの習熟度に応じて最適なアプローチを選択することが、スケーラブルで高性能な現代のアプリケーション開発において非常に重要となる。