【ITニュース解説】急増する「なりすまし」メールの受信を防ぐDMARC、配信事業者の導入実態は
2025年09月04日に「@IT」が公開したITニュース「急増する「なりすまし」メールの受信を防ぐDMARC、配信事業者の導入実態は」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
DMARCは、メールの「なりすまし」を防ぐ技術。Gmailが導入し、総務省も対策を要請している。メール送信元の認証を厳格化し、不正なメールを排除する仕組みだ。記事では、メール配信事業者におけるDMARC導入の実態を調査し、現状と課題を明らかにしている。
ITニュース解説
DMARCは、メールの「なりすまし」を防ぐための技術だ。近年、企業や個人を騙る巧妙なメールが増加しており、フィッシング詐欺やマルウェア感染などの被害が拡大している。DMARCは、このようなメール詐欺から受信者を守るための重要な仕組みとして注目されている。
メールの送信元を詐称する「なりすまし」メールは、受信者を欺くために、正規の企業や組織のメールアドレスを悪用する。例えば、銀行からのメールを装って偽のログインページに誘導し、IDやパスワードを盗み取る手口などが存在する。DMARCは、このような不正なメールを検知し、排除するための技術的な対策を提供する。
DMARCの仕組みは、大きく分けて3つの要素で構成される。SPF(Sender Policy Framework)、DKIM(DomainKeys Identified Mail)、そしてDMARCポリシーだ。
SPFは、メールの送信元が正当なものであるかを検証する仕組みだ。具体的には、メール送信元のドメインが、許可されたメールサーバから送信されたものであるかをチェックする。DNSサーバに登録されたSPFレコードを参照することで、メールの送信元IPアドレスが、そのドメインの管理者によって許可されたものであるかを確認する。もし許可されていないIPアドレスからメールが送信された場合、SPFチェックは失敗となり、DMARCポリシーに基づいて処理される。
DKIMは、メールに電子署名を付与することで、メールの改ざんを検知する仕組みだ。送信者はメールに秘密鍵で署名し、受信者は公開鍵を用いて署名を検証する。もしメールが改ざんされた場合、署名の検証は失敗し、DMARCポリシーに基づいて処理される。DKIMは、メールの内容が送信されてから受信されるまでの間に変更されていないことを保証する。
DMARCポリシーは、SPFとDKIMの検証結果に基づいて、受信サーバがどのようにメールを処理するかを指示する。DMARCポリシーは、DNSサーバに登録されたDMARCレコードで定義される。主なポリシーには、「none」、「quarantine」、「reject」の3種類がある。
「none」ポリシーは、DMARCの検証結果を報告するだけで、特別な処理は行わない。受信サーバは、DMARCの検証結果を送信者に報告し、送信者はその情報を分析して、自社のメールシステムの改善に役立てることができる。
「quarantine」ポリシーは、DMARCの検証に失敗したメールを隔離する。受信サーバは、検証に失敗したメールを迷惑メールフォルダに振り分けるなどして、受信者の目に触れないようにする。
「reject」ポリシーは、DMARCの検証に失敗したメールを拒否する。受信サーバは、検証に失敗したメールを受信せずに削除する。これは、最も強力な対策であり、なりすましメールによる被害を大幅に軽減することができる。
DMARCを導入することで、企業は自社のドメインを悪用したなりすましメールによる被害を軽減し、ブランドイメージを守ることができる。また、顧客や取引先に対するセキュリティ意識の高さをアピールし、信頼性を向上させることができる。
ニュース記事では、メール配信事業者におけるDMARC導入の実態が明らかにされている。DMARCは、メールの送信者側だけでなく、受信者側の協力も必要となるため、普及には時間がかかる。しかし、Gmailなどの主要なメールプロバイダーがDMARCの導入を義務付けるなど、世界的な流れとして、DMARCの普及が進んでいる。総務省もDMARCの設定を要請するなど、日本国内でもDMARCの重要性が認識されつつある。
DMARCは、システムエンジニアを目指す上で、必ず知っておくべき重要な技術の一つだ。メールセキュリティの知識は、現代のITシステムにおいて不可欠であり、DMARCはその中でも重要な役割を担っている。DMARCの仕組みを理解し、適切に設定・運用することで、企業のセキュリティ対策に貢献することができる。また、DMARCは、DNSやメールサーバなどのネットワーク技術と密接に関連しているため、DMARCの学習を通して、これらの技術に対する理解も深めることができる。
DMARCの導入は、技術的な知識だけでなく、運用上の考慮も必要となる。例えば、DMARCポリシーを段階的に適用したり、DMARCの検証結果を継続的にモニタリングしたりするなど、適切な運用を行うことが重要だ。また、DMARCは、他のメールセキュリティ技術と組み合わせて利用することで、より効果的な対策を実現することができる。
DMARCは、メールセキュリティの分野において、今後ますます重要性を増していく技術である。システムエンジニアを目指す者は、DMARCの知識を習得し、積極的に活用していくことが望ましい。